桜の花びらより春を待てなかった
僕らは今年は桜を見れなかったね
赤いツツジが通り道を飾ってるよ
僕らは今年ずっと冷たい白い壁の
病室にまるで閉じ込められていた
窓から見えるの国道に飾るライト
それだけが生きている証だったね
冬が春に追い越されて緑が芽吹く
それにつられるように僕は回復し
君は氷の女神に愛されてしまった
二人で過ごした病室を去った日に
灰色がにじんだ壁にカーテンの影
どこにも君はいなかったんだもう
生きてる時間を増やしていくだけ
それだけでは意味がないんだよと
この部屋を飛び立った君の横顔を
思い出そうとするが思い出せない
病院の中庭の桜さえ追いつけない
君は誰からも遠い世界で君らしく
縮めた羽根広げて痛みも消え去り
自由にこの世界を見下ろしている
生きている時間でなにができるか
僕はひとりきりでさがしてみるよ
はるか彼方からの君の視線感じて