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永遠の向こう側

日曜日の遊園地
ざわめきと雑踏
僕はチケットを
握りしめたまま
通りの向こう側
ポップコーンの
香りに誘われて
君を、見つけた

背中に届く髪が
天使の羽のよう
はじめて会った
あの時間ですら
こんなにも胸は
揺れなかった筈

キャラメルの香
君が微笑む姿は
あの頃と一緒だ
君が笑いながら
頬張る姿もまた
リスのようだね
何も変わらない

そこに君がいる
だけど動けない

自由へと、走る
そんな当たり前
だったことが今
もう、無理だと
遅すぎるのだと
理解してるから

君の隣の女の子
君によく似てる
その隣の男性は
君たちを優しく
見つめているね

お父さん早く!
そんな息子の声
せかされて僕は
現実へと帰るよ

違う道を選んだ
あれは10年も昔
優柔不断な僕に
背を向けた君を
恨んだ日もある

追うことを選択
しなかった僕に
君を責める資格
そんなものない

君との未来へと
続く道がもしも
今、この瞬間に
生まれているの
だとしても僕は

立ちすくむだけ

人混みに紛れて
君は消えていく

僕も僕の日々に
退屈で、窮屈で
夢も、愛もない
でも僕の選んだ
生活を過ごすよ

君すら知らない
再会はこうして
終わる日曜日の
遊園地にいつか
また来るだろう

君の影を探しに




【自己お題】
TM NETWORKの「Come On Let's Dance」の歌詞を使って

『自由へと走るのにどうして僕達立ちすくむ』


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