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色々むずかしい

 冬休みなので子供が一日中家にいて、時間をつぶすのが大変だ。

 朝、四歳にはひらがな、六歳には小学校の先取り学習の漢字と算数のワークをやらせて、簡単なお弁当を持って公園に行って、その足で図書館に行ってモールで食料品を買って、絵日記かかせて……としてもまだ三時半だったりする。恐ろしい。

 我が家のクリスマスプレゼントは、Nintendo Switch(あつ森バージョン)だった。これは三月ごろからずっと欲しかったのだけれど入手不能で、先月やっと店頭で見かけて買ったもので、子供の要望(ヒーリングステッキだの鬼滅アクアビーズだの⦅これも一時期のSwitchのようにプレミアが付いて楽〇などで三倍、四倍で売られている⦆)に沿ったものではないので心配したのだけれど、子供はそこそこはまってくれた。

 ※Switchだけでは一人一つのプレゼントにならないので、お菓子のブーツとか鬼滅の缶バッジとかをプラスした。

 毎日一時間と決めて、虫を捕ったり果物を収穫したりたぬきと会話したりしているのだけれど、子供にとってコントローラーの操作そのものが難しいらしい。魚は逃げるし斧は宙を切るし、住人と会話したいのに間合いが詰められない。そのうちにさくさく操作できるのかもしれないし、最初からさくさく操作されてしまうと見守らなくてよくなって、うっかり時間を超過してしまいそうだからこれでいいのだろうけれど、「ねーできなーいー」と二分おきくらいにいわれるのは結構面倒くさい。そのくせ操作を全部任せるのも嫌なようで、塩梅が難しい。私はあつ森でモノを作るとかモノを売るとか人と交渉するみたいなのの疑似体験がさせられればいいのかなあと思っているのだけれど、大人の方はここでも生活をしなきゃいけない、やるべきことに追われなきゃいけないみたいな気持ちになってしまったりする。まだ始めたばかりだからしんどいのかなあ。色々道半ばである。


 それとは別に、鬼滅にハマっている二人が、無惨様のセリフを覚えて「花札のような耳飾りを付けた鬼狩り……(炭治郎のこと)」としきりに言うので、ふむ、ここらで花札を教えてあげてもいいのかもと花札を買った。オールドジャパニーズボードゲームである。

 実家には花札も百人一首もあって、何度となく遊んだことがあった。なんならその百人一首は事実上借りパクしているのだけれど、花札ってこんなに難しかっただろうか? こいこいなど、遊んだことのあるはずのルール名をいくつかGoogleに放り込んで調べてみたけれど、どれも結構複雑だ。子供用に役を少なくした猪鹿蝶を見つけて印刷し、さっそくやってみたけれど、やっぱりまだちょっと早いみたいだった。

 何が難しいか。

 花札はどんなルールのものでも、同じグループなり絵柄のカードを揃えるのがゲームの目的で、点数の高い役をいかに揃えるかが勝利の条件だ。そのためにはまず花札の種類を覚えないといけないのだけれど、それが幼児には結構大変みたいだ。トランプは色形と数字だけなのでそこまで苦労していなかったけれど、花札は絵なので直感的に理解できにくいらしい。

 また、トランプにせよ他のテーブルゲームにせよ、終了時に勝敗がパッと分かるものが多いのだけれど、花札は終わった後、点数計算をしなければならないのが幼児には分かりにくいらしい。全員の手元にカードがあるけど、これはどういう意味なのと戸惑い、戸惑いは怒りに変わる。上の子と同い年の姪は家でポーカーをやっているらしいから、慣れれば六歳でもできるようになるのだろうけど、とにかく戸惑いばかりの初回だった。四歳はそもそも手札を場札と合わせたりする時点で飽きてしまった。

 そして、二人ともただ札の華やかさだけを愛でていた。まあ、可愛いよね花札……。

 あと、花札には鬼のカードがあるので、「ほんとうに鬼滅みたい!」と喜んでいた。まあ良かったね……。

 同じオールドジャパニーズボードゲームでも、百人一首にはぼうずめくりというとても偉大なゲームがあって、幼児でも楽しんで遊べるのですごくいいのだけれど、花札は賭け事で使うようなカードゲームだから、多少複雑なのは仕方がないなと思う。

 鬼滅から発展させて色々学ばせようとしている私グッジョブと思いたいのだけれど、私の場合、最初の意気込みは良いのに、緒戦で子供の反応がはかばかしくないと、気持ちがへこたれてしまって、継続して働きかけなくなってしまうのが良くないなと思う。何事も子供に嫌々させるものではないとは思うけれど、現状、私が働きかけないと縄跳びも自転車も、お友達関係の構築維持の場作りも、子供に習得させてあげられないので、そういうプレッシャーは思いのほか強い。自分ができていたわけではないのに子供に教えるのか、スーパーマンでいられない自分は情けないなって、自分の不完全さは身に染みているくせに、つい思ってしまう。

 でもこの苦悩は、子供とちゃんと向き合おうとしている証拠だ。そこだけは自分を認めてあげてもいいかもしれない。


note30日チャレンジ21日目 累計 33,307文字(オフライン含め35,720文字)

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