飯塚市でDXと雇用について考える

地方でDXに取り組む必要性

そもそもDXとは

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

経済産業省 デジタルガバナンス・コード実践の手引き2.0

更に「『DX 推進指標』とそのガイダンス」(2019 年、経済産業省)においては、よりシンプルに以 下のように述べられています。

DX は、本来、データ やデジタル技術を使って、顧客視点で新たな価値を創出していくことである、そのために、ビジネスモデルや企業文化などの変革が求められる。

つまり、DXとはデータとデジタルを活用した
①製品・サービス・ビジネスモデルの変革
②組織・プロセス・企業文化・風土の変革
以上2つのことを指します。

地方におけるDXの取組が果たす役割

現在我々は雇用創出の取組を行う中で様々な事業所の経営者の方や、人事担当者の方から「人が足りない」「今すぐ人が欲しい」という言葉を耳にします。
この状況が好転するにはどうすればいいのか、、、いつもこの言葉を耳にするたびに考えます。

確かに"人と事業所を繋げる"マッチング、というのも我々が果たす重要な役割です。しかしこれから数年先、十数年先、本格的に突入していく”人口減少社会"においては人材不足、人手不足は益々深刻化していく一方であり、課題の根本的解決には至りません。
今後各事業所のDXへの取り組みを後押ししていくこと、DX人材育成に取り組むことで、企業の競争力を高め、人口減少社会においても貴重な人的資源を本来果たすべき業務に充てることができる、そして顧客からも人材からも選ばれる企業となる後押しをすることこそが、我々にとって「人が足りない」「今すぐ人が欲しい」という課題を解決していく重要な役割だと認識しています。

そのために我々は①製品・サービス・ビジネスモデルの変革、②組織・プロセス・企業文化・風土の変革というDXの2本柱を軸に、事業所向けのDXセミナー、求職者向けのデジタル人材育成セミナーを年間通じて開催しています。
そこで今回、事業所向けセミナーにご参加いただいた事業所のご担当者の方々から、セミナーに参加した経緯等をインタビューしました。
(実施セミナー:DXなしにマーケティングも採用も語れない!DXビジネス戦略講習会~DX×人材採用×マーケティング編~|e-ZUKA DX STUDIO(飯塚地域雇用創造協議会) - 福岡県飯塚市で成長していきたい全ての人への支援プロジェクト (e-zuka-dxstudio.com))

セミナーに参加した事業所のインタビュー

No.1 ハート歯科クリニックいまい (院長:今井 光さん)


  1. セミナーに参加したきっかけを教えてください。
    少子化により、歯科医療業界も将来的に働き手不足になりつつあるのが肌で感じるようになってきました。そんな中、ふと、SNSの中での飯塚地域雇用創造協議会が発信した「DX」✕「採用」をキーワードとした全5回セミナー開催発信が目にとまりました。当医院の休診にあたる木曜日開催で、約3時間程度のセミナー、しかも無料という内容でしたので(笑)
    飯塚市の求職者の情報収集のため気軽に参加申し込みをいたしました。

  2. セミナーに参加してDXに対する認識はどう変わりました(変わりつつある)か?
    今回セミナーに参加して、セミナー講師よりなぜDXが必要なのか?DXによりどう会社が変わり、成長していくのかを事例示していただき知る事ができました。
    また社内にてDXを導入する上でのスモールステップ、ノウハウを学ぶことができました。そして、ひとたびDXを促進させると、そこに立ちはだかる壁(TOPのマインド、スタッフのマインドなど)の存在。
    セミナー中において他業種との数分のワークショップがあり、日頃、多忙の日常業務を行う中でのDXの困難な要素はどこも似たようなものだと感じました。世の中DXは、もっと自分の中では進んでいるものだと思っていましたがある特定の職種、あるいは地域だけが進んでいるのであって、全体的にはまだまだこれからの課題だと認識しました。
    また、この筑豊地区、飯塚市におけるDXはまだまだで、人財、労働力不足の業界分野から必要に迫られ、すすんでいくのではないかと思いました。働き手も来ないし、DXにのり遅れた業界、業態は果たして生き残れていくのかという不安も持ちました。
     当医院としても、歯科医療業界としてもDXは今後も避けられない課題で多忙な日常業務とは別に、DXに取り組む時間的、経済的投資を惜しむべきではなく、これは、将来必ず到来する人財難への事前対応だと思っております。

  3. 現在の自社でのDXの取り組み内容
    1日の仕事の時間の中で10%は、何かを探しているとある本に書いてありました。
    多分何かしら重要な情報が書いてある紙です。当院では、この非効率な「探す」という作業を止めるべくできるだけ院内ペーパレス化を図っています。各スタッフ、IPadにて情報を共有しております。以前は、紙を探し、その紙を移動させるために人が動いているという状態でした。
    患者さんとの診療予約もアプリを使い、ネットで予約いただいております。そうすることで、院内スタッフの労力も軽減され、患者さんも電話するという手間が省けます。受付も患者さんはスマホでQRコードを読み込みチェックインされます。
     会社内のデータ管理はクラウドに一元管理し、いつでもスタッフは情報にアクセスすることができます。情報を探すという時間がなくなり、ストレス軽減につながっています。
     医院内業務は動画撮影を行い、入職者の教育に使用しています。

  4. 自社でのどのような課題をDXにより解決していきたいか。今後の展望。
    セミナー中考えていたことは、DXが目的ではなくDXというツールを用いて、当院がスタッフにとって働きやすい職場であって欲しいと思っております。特に、歯科医院は女性が多数を占める職場です。出産、育児が落ち着いたら、また現場へ復帰しやすい、環境づくりにDXを活用したいと思っております。業務効率化による、時短勤務、労働時間軽減を考えている最中です。
    また、長期勤務するプロフェッショナルなスタッフが多くいることで、受診される患者さんサービスにつなげていこうと思っています。
     当医院は、非常に分かりにくい場所に立地しており、採用活動には毎年苦戦します、どこもそうだと思います。
    採用活動もDXにて医院の魅力を発信し続け取り組みたいです。

No.2 株式会社赤尾組(建築事務 高橋理沙さん)


  1. セミナーに参加したきっかけを教えてください。
    まずは社内でDXに対する意識を浸透させていくうえで、DXの必要性・重要性を社内で共有していくいつ用があると思います。そのため、DXに取り組むための知識や情報が知りたく、自社で取り込めそうなアイデアが聞けるかも知れないと思い、参加しました。

  2. 高橋さんはもともとデジタル人材育成セミナーに求職者側として参加され、その後飯塚市合同会社説明会に参加されてマッチングとなりました。協議会のセミナーに参加されてきた方の中でも子育てと仕事の両立含め一緒にたくさん議論させていただきました。実際企業に就職されて求職者側からの目線で見て当協議会の求職者のセミナーを受けた視点から、もっと社内でデジタル化は推進していけるところはあると感じますか?
    採用面において、就職を考えている方の目線では、"可視化できる"ことが重要だと思っていて、会社の事業や働き方、雰囲気等広報の仕方もDXの一つとして重要だと持っております。これからこのセミナーを通して感じたこと、勉強したことを社内に持ち帰り、社内全体での議論をしていければと思っています。

  3. 今後社内におけるDXにより目指す姿を教えてください。
    まずはペーパーレス、ハンコレスとそれらに変わるサインや伝達方法の具現化。オフィスに紙やファイルが多いので、クラウド化等によるオフィス内整備を進めていきたいと思います。また、この人がいないと・・・という属人化した状態について複雑な作業やルールを作るに至った背景などを可視化し、解決していきたいと思います。

No.3 株式会社らぶはーと(施設長:佐藤綾子さん)

  1. セミナーに参加したきっかけを教えてください。
    飯塚地域雇用創造協議会が昨年開催した飯塚市役所でのDX促進合同会社説明会に参加したことがきっかけでした。そこに参加されていた企業が地域に根付いた素晴らしい企業ばかりで、求職者とのマッチングの他、地域事業としての新たなコミュニティにぜひ仲間入りしたいと思い、セミナーにも続けて参加しています。

  2. 本セミナーに参加してDXに対する認識はどう変わりましたか?
    DXを推進するためには、大きなシステムの導入や、改革を必要とするものだと思っていました。セミナーに参加したことにより、小さなことや経営者・スタッフのマインドの持ち方でもDXに取り組めることがわかり、DXに対するハードルが低くなりました。

  3. 今後社内におけるDXにより目指す姿を教えてください。
    現在保育園を4園運営しており、その他にも多業種に関わっているため、スタッフ間の共通認識を共有することが大切です。そのため毎日リモートで合同ミーティングを行い、社員全体での問題解決意識の向上に努めています。
    また、事務・経理の業務負担を軽減すべく、バックオフィス業務に関して今年2月にRPAのトライアル導入、3月から本格的に導入し業務効率化を図っています。DXを推進することで、何か問題が起こったときにそこで立ち止まって終わるのではなく、解決方法を模索しながら新しいことにチャレンジするような社員全体の問題解決意識の向上にも繋がっていくものと思います。

No.4 社会福祉法人 佐与福祉会(運営企画室 森勇樹さん)

  1. セミナーに参加したきっかけを教えてください。
    私自身、もともとDXには興味があり、自分なりに調べたりしていました。ただ、「どうやったらそれを自社で行うことができるのか?」「そもそもそれは本当にDXと言えるのか?」そう悩んでいた時に上司にこちらのセミナーを勧められ、参加しました。

  2. セミナーに参加してDXに対する認識はどう変わりました(変わりつつある)か?
    今までは「DX=デジタル化すれば良い」という認識が強かったのが正直なところでした。ですが、数々のセミナーに参加して、「DX化=デジタル化」だけでは無く、その先の「新しい価値を生み出す」ことまでが「DX」なんだと認識を改めることができました。

  3. 現在の自社でのDXの取り組み内容
    現在自社では「社内でのチャットツールアプリの導入」「スマートフォンやタブレットで入力することができる記録システム」「施設内どこにいても情報共有することができるインカム」「事故や転倒の防止になり、職員の負担軽減にも繋げることができる見守りカメラの導入」など、様々な取り組みを行っています。

  4. 様々な業務の効率化によりご利用者の方の支援やケアにもより多くの時間を注げるようになりますね。DXに取り組むことで求人の応募にも効果はありますか。
    デジタルツールを導入した当初は慣れない業務に逆に時間を割いてしまうこともありますが、現在スタッフ全体の変化に対する不安の解消に努めています。
    セミナー受講後、介護業界を目指す方向けの企業説明会でDXの取組に焦点を当てて積極的に発信した際、求職者の関心の高さを感じました。
    今回セミナーに参加して「組織やビジネスモデルを変革して新しい価値を生み出す」ことまでが「DX」なんだと認識を改めることができたことにより、まずは一つひとつの取組について成功例を積み重ねながら、更なるDXに繋げていければと思っています。

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