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『イタリアではキラキラネームが存在しない?』

イタリアでは暑さのピークが7月なのですが、今年はとにかく朝晩も含めてとても暑く、7月下旬には体温を上回る38度も記録しています。
海に面した町や州は比較的風があり、気温の割に過ごしやすいのですが、ミラノやトリノは海から遠く、また山に囲まれた平野はパスタを茹でる寸胴で過ごしているかのようです。
街の中は随分と閑散としてるのは、多くの人が海や山に行った証でしょう。

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今日はイタリア人の名前にまつわるお話です。
欧米では姓より、名前でお互いを呼び合っていることが多いですが、学校などでは名前だとかぶる率が高く、幼い子どものクラスを除き、姓で呼ぶことが多いようです。ちなみに日本で一番多い姓の『佐藤』さんにあたるのが、イタリアでは『ROSSI/ロッシ』さんです。それでも名前より姓の方がかぶり難いです。

逆にどうして名前がかぶるのか、王道の名前をつけ続けている歴史的背景カトリックが大半を占めるこの国では徳を積んだ聖人にあやかる名前先祖の名前を子どもにつけるためです。
また、今でも南イタリアでは長男に祖父の名前、長女に祖母の名前をつける家庭も多いです。

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イタリアの法律で禁止されている名前は、
・ 第二次世界大戦のイタリア独裁者、ドイツ独裁者の名前
・ 架空の人物の名前
・ 生物学上の性別と異なる名前

  *ラテン語に女性名詞、男性名詞があるように、名前も生物学上の性別として付けられるのが一般的です。同じような名前であっても、女性と男性では少し違います。例えば、『ミケーレMichele』は男性、『ミケーラMichela』と少し語尾の母音が変わります。これまでイタリアでは『アンドレアAndrea』は男性の名前でしたが、女の子にも付けられる名前として最高裁で判断されています。これは、ほかの言語で女性にも付けられる名前だからだそうです。そして、女性の名前『マリアMaria』などは、男性であってもミドルネームとしては使えるようです。
・ 親と同じ名前
・ 歴史的人物の名前
(これは少し曖昧なルールな感じですけれど…)
数字や記号を含む名前
・ コンマで区切られていない3つ以上の名前

  *3つ以上の名前の場合、書類上有効なのは最初の2つとされています。
・ 親の常識に任せるしかないのですが、侮辱、不幸、障害等を連想させる、または攻撃的な可能性がある名前

余談ですが、イタリアの子どもは一般的に父親の姓を受け継ぎます。
夫婦別姓なので、夫と妻どちらも姓が変わることはありません。
現在、これまでどおり父親の姓を受け継ぐ場合二重姓が認められています。
父親ではなく母親の姓を選ぶ場合は、法整備段階なので裁判所で手続きをする必要があるようです。
名前ではないのですが、親がいない、不明な場合、そのことを連想させる、そのような状況の子どもによく付けられていた姓があります。
現在はその悪しき慣習を制限することが定められているようです。
さて、例にあげた名前『ミケーレMichele』ですが、これは男性の名前女性の場合『ミケーラMichela』になります。
面白いことにこの名前は世界中に存在しています。イタリア人のミケーレさん、ミケーラさんが多くの国で暮らしている?と言う意味ではなく、ヨーロッパの言語で使われている名前のひとつだからです。

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イタリア語:Michele
フランス語:Michel
英語:Michael
スペイン語:Miguél
ドイツ語:Michael  
*英語とスペルは同じですが発音は異なります。
ポルトガル語:Miguel
ロシア語:Mikhail, Misha
スウェーデン語:Mikael
ギリシャ語:Mikalis
ルーマニア語:Miku e Mihail

男性と女性では若干違うのでその例を少しあげておきますね。
イタリア語:Michela
フランス語:Michelle
英語:Michelle, Micky
スペイン語:Micaéla
ドイツ語:Michaela, Micheline

イタリア語の名前でイレギュラーを除き、男性の名前は母音『o』女性の名前は母音『a』で終わります。

日本語では名前に漢字、ひらがな、カタカナを使い、また漢字には音読み・訓読みなど複数の読み方が存在しているので、難解で正確に読めないこともあります。これは名前だけでなく、地名や姓にもあてはまりますね。

かわいい名前、素敵な名前、色々ありますが、どれも大切な名前であるのはもちろん、それよりもどの子どもたちにも安心してのびのびと育ってもらいたいですね。
これだけでは終わらない名前の話、機会があればニックネームについても書いてみたいと思います。

楽しい夏休みをお過ごしください。Buone vacanze! 

『L'essenza della vita(レッセンツィア・デッラ・ヴィータ)~ 暮らしへのエッセンス ~』


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