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『パスポートはいつ手にできるのか ~イタリアパスポート事情 2023年~』

1年で一番寒いと言われている1月最後の3日間も終わりました。
もしよろしければ、『ツグミが知ってるイタリアで一番寒い日』もどうぞ
春に向けて色いろ動きはじめるひとがたくさんいるからなのか、イタリアではただ今、パスポート申請・更新の行列が各地で発生しているようです。

パスポート申請・更新難民が発生?

日本国内でのパスポート申請・更新についてあまり記憶がはっきりしませんが、整理券を求めて夜中の3時台から並ぶ人はサスガにいなかったです。
そして、申請から発行まで1週間程度とはイタリア人から見ると奇跡に近い国でしょう。その上、世界最強と言われるパスポートが16000円で手に入るのですが、日本人のパスポート保有率は20%を切ったと言われています。
 
こちらイタリアでは、コロナ期間にパスポートが必要なところへの渡航を控えていた人もじゃんじゃん旅行する傾向にあるのか、パスポート申請・更新も一苦労のようです。
2019年日本のパスポート発行数は456万冊ですが、イタリアの2022年の発行数は181万冊、人口が約半分なのと去年度の数字ですので、今年度はどこまで数が増えるのかはわかりません。 

主要各紙もいつものスルーはなし

最近の事情を知らせる主要各紙の記事には『8万回の海外出張、1億5千万ユーロのビジネス損失』などショッキングな見出しも目にします。
少々のことではお役所仕事に動じないイタリア人も驚き?お手上げの証だと想像します。
具体的に起きていることは、これまでの想定申請・更新者を超える人数がパスポートの申請・更新をしていることです。ほかの要因として渡航先のひとつであるイギリスは、これまでEU加盟国でしたが、EUを離脱したことによりパスポートが必要になります。比較的仕事が探せる国、ビジネスチャンスが多かった国であるため、イタリア人の往来、在住が多いためでしょう。
 
今回イタリアで起きているのは、簡単に言えば、窓口・事務処理のキャパオーバーです。*イタリアは内務省管轄、各県の警察署・県警本部で手続きします。
通常、パスポートは国民へ提供されるサービスのひとつですが、イタリアらしく?来る人をかなり雑に扱っているようで、それが起因して各所でひと悶着起きているようです。その上、オンライン予約が必要なのですが(これも自治体と窓口により条件が異なります)、一例をあげると予約可能なのが毎日午前8時からで、時間通りにサイトを開けたところでもう予約ができない事態も生じていたようです。
それでもパスポートが必要な人は根気強くこの作業を毎日続けるのですが、2か月経過しても予約が取れないありさまです。ひどい自治体になると今年の10月まで予約が取れないようです。7月あたりに旅行の計画を立てようと早目に動き出した人でさえ、この状況にはサスガに納得できないようです。

申請側もやはりイタリア人らしい?

そこでイタリア事情をご存知、いや勘がいい人ならお分かりかもしれませんが、窓口業務はもちろん申請・更新に携わる人がお友だち優先にしていないかとの疑いさえ起きているカオスな状態です。その真相は謎ですが、よくほかのことでも知り合い、知り合いの知り合い、いわゆるコネ社会ですから十分にあり得ることかもしれません。日本だと大問題になりそうですが、案外世界はクリーン一辺倒では動いていないのではないのでしょうか。
 
ちなみにトリノ県(イタリアは市町村と州の間に県が置かれています)ではオンライン予約なしでオープンデーと位置付けた日を設けたようですが、14か所の窓口に6000人が寒い中殺到したようです。
ここで起きたのが、冒頭に書いた”朝の3時台から整理券を求めて並ぶ” なのです。オンライン予約ができなかった人が、唯一の可能性を求めてオープンデーに並んで何とか整理券を手に入れるのです。ある窓口では朝の7時過ぎで400人弱が並び、整理券を配布するも100枚のみ、残念なことに寒い中並んだ100人を超えた人たちは家に帰される始末です。

役所側は苦し紛れに?「今後、対処しますのでご安心ください。」のようなコメントを出すも、現実的には航空券予約でパスポートは必要ですし、パスポート残存期間が3か月、6か月など入国ルールを決めている国もあります。

単に休みに旅行するだけではなく、出張、海外で暮らす家族に会いに行く、もちろん制限なしの往来ができるようになってからの久しぶりの海外旅行、多くの人が必要としています。
ビジネスチャンスを失った企業、回復しつつ旅行業界でのキャンセル、様ざまな不利益が生じているのが今のイタリア、そして管轄官庁等でのオフィシャル情報は皆無なので、現地に足を運んで情報収集、ルールの変化に乗らないと待ちぼうけを食らってしまいます。
 
今の時代らしからぬ光景、今回ばかりは家族ビザ電子化で長期間予約が取れない筆者も、外国人だけでなくイタリア人の苦労が身に染みてわかります。SNS社会、ネット社会の今日ですが、それ以上の情報収集は案外『人伝なイタリア』何だかチグハクなところも笑えるような笑えないようなお国です。

『L'essenza della vita(レッセンツィア・デッラ・ヴィータ)~ 暮らしへのエッセンス ~』


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