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COFFEE の魔法


ずっとコーヒーが飲めなかった私は

あんなにも苦い飲み物を
とても美味しそうに、そして幸せそうに
毎朝飲む母を
いつも不思議な眼差しで見ていた

あまりに美味しそうに飲むものだから
何度か私にも飲めるかも、

と試してみたが
やっぱり苦い。。。

「何がそんなに美味しいの?」
と母に尋ねると

「大人になったら分かるよ」
とお決まりのフレーズが返ってくる

すでに20歳を過ぎているのだが、

と思いながらも私もいずれ
コーヒーを片手に仕事をするのかな
なんて考えてワクワクしたりした

コーヒーが飲めない割に
コーヒーの香りだけは
昔から大好きで

朝、母が淹れるコーヒーの香りが
部屋に漂ってくると自然と目が覚めた


今私が住んでいるオーストラリアでも
カフェが至る所にあって
どこでもあの懐かしいコーヒーの香りがする

だいたいカフェは朝の6時前後から開いていて
早朝にも関わらず
皆コーヒーを買っていく

「そんなに美味しいのかね。」

とまた、好奇心が疼いた私は
オーストラリアで人気な
フラットホワイト」を頼んでみることした


もちろん全部飲めるか不安だったから
サイズはsmallサイズ

可愛いカップに入った
コーヒーを一口飲んでみる


....

「あれ、?」
 

もう一口飲んでみる


「あれ、やっぱり苦くない」

そう!全然苦くない!

フラットホワイトはミルクが多めの
ホットコーヒーなのだが、
これが驚くほどに飲みやすい

全部飲めるか不安だったsmallサイズも
あっという間に空になった

この日を境にコーヒーが
飲めるようになった私は
ある事に気づく。

ミルクが苦手だ、、

味は好きなんだけど
どうしてかお腹を壊してしまう

きっかけはフラットホワイトだったけど、
それから色々試して
今は、ブラックのアイスか、
アイスソイラテに落ち着いた

コーヒーが飲めるようになって、


今では私も母と同じように
毎朝コーヒーを飲むのが習慣になった

朝コーヒーを淹れて、
定位置のソファに座りながら
窓の外の空を眺める



まだ薄暗い明け方の空を見ながら

毛布を羽織って
携帯も見ずにただ、


ボーっとコーヒーを飲む


時には
しとしと降る雨を見ながら



またある時には
昼前のポカポカな日差しを見ながら


コーヒーを片手に
ベランダに置いてある
植物に挨拶をするのが
私にとって
たまらなく幸せな大事な時間になった


コーヒーがくれる魔法は
時間を少しゆっくりにしてくれる魔法

朝の寝ぼけまなこから
少しずつ目覚めさせてくれながらも

ホッと一息つかせてくれて
焦らなくてゆっくりでいいんだよと
不思議な安心感を与えてくれる


母が言った
「大人になったら分かるよ」


って言葉の意味が
年齢とか中身の問題じゃなくて

人生で
生き急いで来た時に

ふと時間をゆっくりにしてくれる
コーヒーの魔法が

必要になったら
飲めるようになるよ

って意味だったのかなって



今日のコーヒータイムに思ったのだった












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