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名言続出! ゆる言語学ラジオ x 柳亭小痴楽トークセッション「もっと上手に話したい!」


担当している配信番組、
「もっと上手に話したい!」。

第2回のゲストは気鋭の落語家、
柳亭小痴楽さん。

特にすごいと感じたやりとりを
切り出しました。(順不同)
一部、チャットコメントも交えて
掲載しています。

……………………………………………

今回ゆる言語学ラジオが感じた
しゃべりの流儀は、
「刻みこまれた身体知」


さて、詳細ご覧くださいまし。


(小痴楽)
二ツ目の頃。
自分が出た高座を全部録音して
聞き返していた。
同期に負けたくなかった。
病的にノートを取っていた。
お客さんの人数。
男女比率。
年齢比率。
その日に入れた「くすぐり(ギャグ)」も書き出して、どの層にウケてたか全部データにしてた。
半年、1年繰り返してたら
ウケるようになってきた。
データって落語にも必要だなと思った。

ところが…
高座の最中お客さんがいるのに、
お客さんが見えなくなっていて。

データばかり浮かんできて…
こういうお客さんだからあのギャグを
入れようとか…
これはいま目の前にいるお客さんに失礼だと、データを取るのをやめた。

録音はいまだにして聞き返している。

それから…
枕で会場の感触を探りながら、
どこで笑うかなみたいなデータを測ったりはしている。

あそこのお客さんはカラッと笑う人だなとか…

笑いは連鎖するからターゲットを決めてそこから広げていってみんなが笑う感じにする。

ただ、すごいゲラでも笑い方に特徴のある人は黙らせますwww

寄席は客席がよく見えるよう
客席の電気が明るいんですよね。

落語で絶対やらないようにしてることがある。それは、自分で笑って笑いを誘うような、”誘い笑い”。

自分を出しちゃダメというか…

自分の見せたい噺に、自分は要らない。

(水野)
スベりまくったら
誘い笑いに手を染めたくならない?

(小痴楽)
スベリまくるともう気持ち良くなる。
こんなにスベッてるやついねぇぜ!ってwww
そんな日の方が胸はって帰れますね!

(水野)
録音聞きますか?それ?

(小痴楽)
涙流しながらww

(小痴楽)
きょうはここに来る前、
群馬県の高校生、
そのあとに世田谷の女子大生の前で
公演してきた。

女子大生のほうは、
あんまり落語に興味ないかなみたいな
空気があった。

客層によって、
本能的に落語のトーンを変えている。
枕を喋りながら、探る。

(堀元)
小痴楽さんは実質シェイクスピア。
シェイクスピアはお客さんによって
脚本を調整してた。
貴族が多い会場だったら
ラテン語の高尚な…
庶民だけだったら下ネタを増やす…
みたいなことをやっていた。

(小痴楽)
僕だけじゃなくて落語家はみんなそう。

「上手も下手もなかりけり、
 行く先々の水に合わねば」

という言葉もある。

(堀元)
身体知。
姿勢まで含めて身体で覚えさせる技術があって…自転車の乗り方とかに近いかもしれないですよね。

(小痴楽)
話の覚え方とかも、
前座のときは一言一句覚えてた。
あるときから大事なところしか
覚えないようにした。
骨の部分しか覚えないようにした。
キャラクターさえしっかりしてれば、
あとはキャラクターが適当にやってくれる。

(小痴楽)
間の埋め方。
うーんとか、えーとかを、
すごく長くやる人もいますよね。
「うーん、だから……」と言ったら
全員がこっちを見るじゃないですか。
次の言葉を待つために。
それを僕がやったら、
お客さんは「言葉出てこないの?」と
思う。
でも、70才、80才の師匠がやったら、
どんな洒落た言葉を出そうとしてるんだろうって錯覚させられる。

瀧川鯉昇師匠は、
高座上がって頭下げて、
「………‥……………‥……」

全然喋らない!
これすごいことで、
みんなが1度はマネする。
でも、できない。

空間を支配する無言の時間。

鯉昇師匠はすごいこと言ってる
”1番すごいのは、
15分間無言で降りること”。



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