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ウィリアム・モリス「輝く平原の物語』を読む

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■ 登場人物

◎ホールブライズ クリーブランド・バイ・ザ・シーのレイヴァン家の若者。誘拐されたホスティッジを探して旅に出る。=槍の勇者。

◎ホスティッジ ローズ家の娘。ホールブライズの許嫁者。(許嫁=いいなづけ、って古風だけれど良い表現ですね。最近は『婚約者』の3文字のほうを多く見てばかりいる気がする)

◎三人の探求者たち 〈不死なる者たちの国〉を求めて旅をしている
①悲しげな男=かつては法の大家(たいか)だった人物
②長い白い髭の老人=かつては強大な一族の王だった人物
③年老いた男=?

◎ピューニー・フォックス ラヴジャーズの海賊。ホールブライズをランサム島に連れてゆく

◎シー・イーグル  ホールブライズと共に〈輝く平原〉にゆき、若さを取り戻す。

◎金髪の髪の乙女  シー・イーグルの恋人。シー・イーグルとともにホールブライズの旅を助ける。

◎〈輝く平原〉の王  〈不死なる者たちの国〉の王。=〈不死の王〉=〈海の宝の支配者〉
娘のワガママを聞いてやったフシがある?

◎王の娘  本の中のホールブライズを愛している。
 実はラヴジャーズの者らに命じてホールブライズを自分のもとに連れてこさせた張本人。美人。ホールブライズのことが書かれた本を読み、ホールブライズという存在に執着している。
 まあまあ重要人物なのに名前がない。王もだけど。

◎アーン  ラヴジャーズの首長たちの中の首長。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

外から来た脅威に許嫁を拐われるという悲劇から始まる

 刊行順に読んでいるわけではないのだが、主人公の妻が不義を働いたのがスタート地点となっている「世界のかなたの森」と、似た部分が無いでもない『許嫁がさらわれる』という主人公の危機。うん、主人公が動く理由付けがなにかないとね…。読む者にも『それは助けに行かないと!』と思わせないといけないし。

 で、半分くらいまで読み進めました。
 ここからはワードや感じた点などを。

・レイヴァン家=レイヴァンの意味は大鴉(おおがらす)
・レイヴァン家の紋章は「殺戮の野を探し求めている鳥の両翼」⇦なんかカッコいい

・さらわれた許嫁の捜索に、人さらいが常の海賊に助力を請うという皮肉。イキイキと描かれる海賊らの生活。

若返ったシー・イーグル

 シー・イーグルは上陸時にはヘロヘロで瀕死の状態のようにも見えたが若返る。主人公も誰だか分からないくらいに。
 近くにいた三人の美しい乙女の中から一人選び彼の乙女とし、主人公に向かい「他の2人からお前の女を選べ」と促す。
 主人公はそれを拒否する。

 シー・イーグルが選んだ金髪の乙女が、王のもとへと案内してくれる。

〈輝く平原〉の王、ホールブライズには許嫁だと思わせて娘に会わせる(人の弱みにつけこんだ策士)

「あれは私の探していた人物ではありません」
「お前はお前を愛する者と言っていたではないか」
「いっそ殺して下さい」
「あんなに美しいワシの娘が気に入らないのか」

王宮から出る主人公

〈輝く平原〉の王国内を探し歩くこと6ヶ月、聞き込みするも見つからず、再び王と謁見
相変わらず王は許嫁については答えてくれない。

ホールブライズは絶望しこの国を出る決意を固める。

攻撃も邪魔もしないとは言ってくれた。

若返ったシー・イーグルとその乙女が旅に同行してくれることに

 シー・イーグルの記憶は、若返った時点からのほうが明確で、ヨボヨボ時代は忘れている。ショックを受けるホールブライズ。
 彼の乙女は、ここにいて考えた方がいいとやんわり引き止める。

出発

・〈恐怖の砂漠〉(デザートオブトレッド)に入る前に食料を調達

しばらく進む

〈さいはての館〉(アターモウスト)の番人(ウオーデン)=真紅の服を着た大男がいる

ここの館にいっときの食住を世話になる一行。(避難小屋?)

番人「ワシは実は王のもとを離れる人を引き止める役割やねん」

ホールブライズ「いいえ、この国を出ます」
番人「しゃあないな あんたら武器も持ってるし」

シー・イーグルの乙女、泣き出す「ホールブライズ様はわたくしに従ってくれないのですか ヨヨヨ…」

ホールブライズ「友シー・イーグルよ。あなたたち2人はやっぱりこの国に残って下さい」

結局1人になる主人公

波打つ地と空。気絶するホールブライズ

なんか地面と空が尋常じゃないことに。気絶。目を覚ますもその後何度も気絶する

気がついたらかたわらに2人の男。1人はひざまずいて自分の頭を抱え1人はワインを飲ませようとしてくれていた。

もう1人いた。〈不死なる者たちの国〉を探していた例の3人だ。「かの国への行き方を知ってるか?」

ホールブライズ「自分の意思では脱出できず連れ出してもらったから行き方は知らない。でも命を救って下さったあなた方を助けるために一緒に戻って罠にかかりましょう」
3人、ホッとする。

出発するも、厳しい道、疲労、飢えで死にそうになる4人

岩のところに大鴉2匹。(ホールブライズの家名の『レイヴァン』は大鴉からきている)

それを見たホールブライズ。何故だかものすごく元気が出てきて 故郷の歌を歌い出す。(このあたり、詩人でもあるウィリアム・モリスの真骨頂といった感じもします)

洞窟発見

入って出たらめっちゃ綺麗なところに出た

〈さいはての館〉の番人、4人を入れてくれる(ええんかい!)

若返った3人

驚くホールブライズ。その中の1人の美丈夫が歌をうたっていた



男「レイヴァン家の若者よ、ありがとう」

この後、ホールブライズは森の中に1人で住み、その木を使って舟を作り再びこの国から出て行く。そこで海賊のピューニー・フォックスと再び出会う。

そしてランサム島へまた行くのです。

=====
読み終わりました。

とにかく歌と詩が出てくる

決闘、からの主人公の勝利。肩を組み合って「ブラザー!」みたいな荒くれ者たちの賞賛大会兼飲み会に流れてゆく。

そして主人公に「玉座をくれてやる」と言う。強い男に王の地位を授けるというお約束がまたここに。

随所に差し込まれる歌詞。文字で読むわけですからこれは詩です。

 ホールブライズ「贈り物の乙女たちは故郷に連れて帰って一族の姉妹にしましょう、玉座は預かっていて下さい」

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 さて、主人公は愛する許嫁に会えたのか否か。それは本書をお読みいただきたい。

 とにかく、鎧や鎖帷子や剣を持った男たちがなにかと言い争い、ワイワイガヤガヤやってる終盤。彼らの内部抗争もまた見どころかもしれません。

 彼らは異邦人である主人公に心酔したり、奴隷になると言い出したり。気に入ったんですね。おじさんの集団が、転勤してきた若者を愛でる感じに似てるなと思いました。

 訳者解説も面白いです。

主人公はモリス自身


若さを取り戻したシー・イーグルにホールブライズは

『日々は過ぎ去るが、あなたにとってこれ以上過ぎ去らぬだろう。そしていつの日にか、あなたは飽きてしまい、それを思い知り、忘れていた失ったものを懐かしむかもしれない』
と言う。

 【〈輝く平原〉はいつか飽きてしまうところであり、「それを思い知り、忘れていた失ったものを懐かしむかもしれない」世界なのです。
 ホールブライズの現実感覚と道徳観が、モリス自身のそれであることが分かるでしょう。
 そしてモリスはみずから描いた〈不死なる者たちの国〉ーーー限りない幸せを与える国、悲しみのない国の限界を語り、否定しているのです。】

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