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ホメオパシーのはじまり

「みんなにホメオパシーを知って欲しい!」
という思いだけで突っ走ってきた15年間。

その思いの源は、私が考え、感じたこと、伝えたい、表現したいとモヤモヤしながらうまくまとめることができず、探し求めてた「何か」が、哲学として言語化され、さらには人をしあわせで健康に導くために体系づけられているホメオパシーこそが私の求めていたものだという喜びでした。

ホメオパシーの全体像を捉えた時に、全てがまるっと私の中で収まった気がしました。
この世界観を知ってもらえたら、みんなの生活が、世界が変わるはず!と直観的に感じたのです。

「素晴らしさを伝えたい!」そんな気持ちの集大成がこの本「ホメオパシーのくすり箱」です。富山の置き薬の様に一家に1つのレメディキットtと私の本が備え付けられているイメージで、セミナーやヒヤリングを何度も行い、利用者の問題点を把握し、できるだけ使いやすく工夫をして書き上げました。

前回は私とホメオパシーのはじまりについて書きましたが、
今回は私が魅了された哲学、考え方をできるだけわかりやすく、ホメオパシーのはじまりに遡ってお話をしたいと思います。
この連載を1年間にわたり読んでいただく事で、ホメオパシーがただの症状緩和に使われたりする医療や民間療法ではないことをわかっていただけるのではないでしょうか?

日本では、病名を決めるのも、病気を治すのもお医者様にしかできない事となっています。
私たちホメオパスほか、セラピストやヒーラーができることは、人を整えること。
それをすることで、”体と心が整うことで、結果的に病気が治ることもあります”とお伝えしています。
病気は直接治す行為は一切していないのに…なぜ?

それは、ホメオパシーで言う所のヴァイタル・フォース(Vital Force)を正常に機能させるからです。
ヴァイタル・フォースとは、私たち一人一人が持っている生命力であり、体や心を司る指揮者の様な存在のことです。東洋医学で氣と言われるものと似た存在です。
この指揮者が正常に指揮しているとき、私たちは心地よいハーモニーが体内中に響き渡り、健康で入られますが、一度指揮が乱れてくるとガタガタと調和が乱れ、不協和音が増幅していってしまい、不調が不調を呼んでいくのを想像してください。
そんなときにホメオパシーがすることは、指揮者にその人らしい音楽が奏でられる様に楽譜を渡し、再び美しいハーモニーが奏でられる様にお手伝いをするのです。
この楽譜がレメディと呼ばれる植物や動物や鉱物など自然界にあるものから作られたものです。
レメディという言葉には調和を取り戻すものという意味があります。

ここが大切です!
病気を治すのではなく、人を調和のとれた健康な状態に戻すこと。
これこそが、私たちホメオパスに課せられたミッションなのです。
しかも、早く穏やかに、そして永久的に治癒しなくてはいけないのです。

ホメオパシー全盛期の20世紀初めごろに使われていたレメディキット
画像はwellcome collectionより

ところで、ホメオパシーはなんでそんな名前なの?
聞いたこともないし、想像もできないから覚えるのも大変と思っている方も多いのでは?

もともとホメオパシーは2つの言葉、ホメオ+パシーから成り立っています。
「ホメオ」というのは英語のsimilar「似た、同じような」という意味で、「パシー」はsuffering「辛さ、痛み」という意味です。
つまり似たものが似たものを癒すという意味です。

今旬の話題といえば、花粉症!
そろそろ飛び始めたという話をよく耳にします。
ホメオパシーで花粉症の人によく使う物質は、赤タマネギです。

赤タマネギを切ったとき、どんな症状が起きますか?それと似た様な症状に対して、レメディとして使うことでヴァイタル・フォースが修正するべき点を指揮し始めて調和が取り戻されるのです。
RDNE Stock projectによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/10432440/

玉ねぎのみじん切りをすると、涙や鼻水が出てきますよね?
健康な人に赤タマネギが起こす症状は、その赤タマネギをほんの少量摂取することで、健康な人に起こしたような症状を癒すことができるという考えがホメオパシーの原点です。
風邪や花粉症の症状で、鼻水や涙などといった玉ねぎによるものと似たような鼻水や涙の症状が出た時は、この赤タマネギから作ったレメディのアリウムシーパ(Allium -cepa.)が役に立つというわけです。

とはいえ、花粉症だったらみんながアリウムシーパというわけではないところが、ホメオパシーの面白さであり、複雑なところです。
その人の症状にあったものを選ばなくてはいけないので、少しでも症状が異なると、レメディも変わってきます。
しかも、場合によっては表に出ている症状だけでなく、奥深くにある肉体的、または精神的なことも考慮して、より広く、その人全体へと視点を広げて診た上でレメディを選ぶ必要も出てくることがあります。

ホメオパシーの創始者、サミュエル・ハーネマン
画像はwellcome collectionより

ホメオパシーを確立したのは医師であったサミュエル・ハーネマンです。

病を悪化させたり、患者を死亡させたりする当時の野蛮な医療にがっかりしていたハーネマンは医師を辞め、翻訳家に転向します。
翻訳を進める中で、出会った植物の薬効が書かれたマテリアメディカという本の中で、「マラリアにはキナの皮が効く」というのを知り、疑問に思ったところからホメオパシーへの道が始まりました。

ハーネマンはキナを取り寄せて摂取してみると、健康なはずのハーネマンもお弟子さんたちにもマラリアの様な症状が起きたのです。
そこから、健康な人にある物質が起こす症状があるということは、それと似た症状を持っている人に対して、その物質を使うことで治癒に導けると気がつきました。
ただ、そのままだと健康な人対して危険なものであることが多いため、その影響がないくらいまで薄めることを思いつき、実験したところ、治癒の効果が残っていたそうです。
原物質を安全な状態に薄めて、人体に利用することができるようになりました。
これがホメオパシーの始まりとなります。

ロンドン博物館の「DiseaseX」というロンドンで伝染病が発生したら?「過去の事例から
学んで未来に対策する」というテーマの展覧会で撮った写真で、右側がキナの皮です。
皮肉にもこの翌年コロナが蔓延したのでした。。。

その後、ハーネマンは実験を重ね、レメディの作り方、ホメオパシーとは何か、ホメオパシーが人に対してが何をするのかなどについて、自分の考えを1810年に出版されたOrganon of the Art of Healing (Organon der rationellen Heilkunde) という本にまとめました。
経験や実験から考えが変わったり、新たに発見したことを常に更新し、第2版からは名前が変わり、Organon of Medicine (Organon der Heilkunst)として第6版まで改定を重ねていきました。
それが200年以上経った今も、私たちホメオパスの指南書となっています。

そんなサミュエル・ハーネマンは生きていたら4月10日で269歳を迎えます。
世界中でこのお誕生日から1週間ホメオパシーをより多くの方に知っていただく活動が行われます。
この期間に皆さんも是非ホメオパシーを知って、誰かにお知らせしてもらえたら嬉しいです。
小さな力が集まれば、大きな変化が起こるに違いありません!

毎月第3火曜日に更新予定です。
お楽しみに!

Madoka Fujita SDSHom