やっぱりさ、


「いよいよ12月ですか......」
「そうだなぁ〜、1年早いよなぁ〜。おれ達来年受験生とか信じらんないわ」
「そうだな」
「どうした? 元気ないじゃん」
「元気が無いわけじゃない」
「そうなのか」
「そんなことより大事なイベントがあるだろ?」
「え? 3日後の期末試験?」
「なわけないだろ!」
「なわけはあるだろ?! え、期末試験終わりにみんなでカラオケ行こうってやつ?」
「違う。お前ってやつはなぜそう鈍感なんだ……? あるだろ? 12月、男も女も全ての遺伝子が喜ぶイベントが」
「あぁ、クリス……」
「クリスマスだ!!!」
「え、うん。あるけど。お前イベントに力を入れるタイプだったっけ?」
「クリスマス、彼女と2人、てっぺんに星がついたツリーの下で告白をする……」
「あ、まだ付き合ってないんだ」
「うるせぇ。よし、そのための準備、するぞ」
「なにすんの?」
「告る練習」
「はぁー? 告る練習とか1人でしろよ。なんで俺が巻き込まれてんだよ。まあいいや。んで? 好きだよとか言うわけ?」
「いや、そんなベタな告り方はしない。もっと相手にギューンって来るやつがいいな」
「ギューン ってなんだよ。例えば?」
「そうだな〜。パンチがきいてて印象的かつ想いが伝わるやつがいいよな。分かった。」
「どんなの?」
「『スーパー 薔薇色 愛してる』かな」
「いや待って? ......は? もう1回言って?」
「『スーパー 薔薇色 愛してる』」
「……それはやばいでしょ。相手の子引くよ? 現に今おれが引いた」
「これじゃあ響かないのか......」
「響かないとかそういう問題じゃないんだよ」
「じゃあこれは?『僕のベイビーが君を欲しがってるんだ! 愛してる!』」
「おまわりさーん!」
「待て待て、警察呼ぶなよ」
「お前安定のやばさだよ。やめときな」
「なんだよ〜。そうやって俺のプロポーズ? 無視するけどさ」
「まだ告白な。結婚前提なら話は別だけど」
「お前はどう言うんだよ」
「……言わねぇけど?」
「それずるくね? 俺いったのに?!」
「お前は勝手に言ってたんだろーが」
「ききたいなーすっごくききたいなーきかせてくれないかなー」
「甘えた声出すな。別に思ってること言えばいいだろ」
「例えば!」
「まあ、『クリスマスプレゼントにもらっていいですか?』......みたいな?」
「なにそれ……」
「なんだよその反応」
「俺決めたわ」
「何を?」
「やっぱりさ、俺、お前とクリスマス過ごすわ」
「なんでだよ」
「お前に惚れた」
「は? ……冗談いうなって」
「流石に惚れたは冗談だけど」
「あ、冗談なんだ」
「お前、ほんとおもしれぇよな」
「はー? お前にだけは言われたくないんですけど」
「なんでだよ。あ、そういえば某ハンバーガー店、新しいの出たって行こうぜ」
「テスト勉強しないのかよ」



サークルのラジドラに選ばれなかったのでここで供養。
こんなにテンポ感を意識して書いたのは初めて。

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