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「一番伝わる説明の順番」から学ぶ思考整理の重要さ

「伝え方」について、難しいと悩む方も多いのではないでしょうか。
私もあまり得意ではなく、様々な本を読んで実践できるように意識しています。

そんな「伝え方」、特に人に説明する際に大事なポイントについて、戦略コンサルタントの田中耕比古さんが書いた本「一番伝わる説明の順番」からまたひとつ学びました。

本書で書かれているポイントとしては大きく2つ。
話す前に思考を整理することと、その上で順番を意識して話すこと。
「話す順番」は、タイトルにもなっているテーマですね。この順番を意識するためにまずは準備が大事だということです。

話す前に思考を整理する

話すことが苦手な人は、そもそも自分が話したいことがわかっていないことが多い。
そのため、まずは自分の思考を整理する必要があります。

そして、説明する際には常に相手が存在しているということを意識する。
自分が話したい順番で話すのではなく、「相手が聞きたい順番」で話す必要があります。

思考をまとめるステップとして紹介されているのは下記の4つ。

  1. 相手の知りたいことを明確にする

  2. 自分が伝えたいことを明確にする

  3. 情報のギャップがないか確認する

  4. ギャップを埋めるために、何が必要か考える

「相手が知りたいこと」を考えて自分の思考を整理する

人に説明をするためにもっとも重要なことは、「相手が何を知りたいかを考えること」です。

例えば、営業先のお客様に話す際に、相手は何が知りたいのか?
多くの場合、販売している商品やサービスの詳細ではなく「自分の抱えている課題を解決してくれるか、課題解決に少しでも役立つのか」の方が知りたいはず。

上司について報告をする際も、行動を知りたいのではなく「期待した成果が出そうかどうか、もし成果が出ないとしたら、どういう対策を行う必要があるのか、そして、その対策において、自分がどういう支援をするべきなのか」が知りたいはずです。

仕事のコミュニケーションの目的は「人に動いてもらうこと」

「伝えたい内容」を考えるときは、この情報を受けて相手にどう変わってほしいのかを考えながら整理していきます。

なんとなく自分が伝えたいことを考えるのではなく、「商品・サービスを買いたくなる」「支援の手を差し伸べたくなる」ためにどう伝えるべきかを逆算して考えてみましょう。

相手の思考を整理する

自分の思考を整理した上で、相手の思考を整理できるように、説明する順番を意識していきます。

まず、説明には「自分主導の説明」と「相手主導の説明」があります。
「自分主導の説明」の説明は、自分の主張や何かしらの結論がある場合に行う能動的な説明のことで、「相手主導の説明」は相手から説明を求められる質問をされた、問いに答える説明のことをいいます。

「自分主導の説明」におけるポイント

まず、「自分主導の説明」は下記の順番を基本として話していきます。

  1. 前提をそろえる

  2. 結論・主張・本質

  3. 根拠・理由・事実

  4. 補足情報

  5. 結論・相手に促したいアクション

結論や主張と合わせて「本質」を伝える

「結論から話せ」ということは伝え方や話し方でよく言われることだと思いますが、伝えたいことや説明したいことを一言で話せるようにしておきましょう。

なお、説明を受けた聞き手がなんらかのアクションを行う必要がある場合は、「この提案を、本日この場で承認していただきたい」「改善すべき点をアドバイスしてほしい」など先に「期待する行動」を伝えておくとスムーズです。

そして何かを主張する訳ではなく、事実だけを伝える場合には「その事象をうまく表した一言」を要約できるようにできることを意識します。
下記の枕詞に当てはめて考えるとイメージしやすいです。

「要するに〇〇」
「つまり〇〇」
「一言で言うと〇〇」
「端的に言えば〇〇」
「シンプルに言えば〇〇」
「すなわち〇〇」

「相手主導の説明」におけるポイント

「相手主導の説明」の際に意識すべき点は下記の3つ。

  1. 大きいポイント(幹)から小さいポイント(枝葉)の順番で説明する

  2. 相手が知りたいのはあなたの解釈か事実かを見極め、相手が聞きたいほうから話す

  3. 事実を話す際には、客観的なものを選択する

枝葉ではなく幹から伝える

相手に話すときは、大きいポイント(全体)から小さいポイント(個別)という流れで話すことを意識していくと相手に伝わりやすくなります。
全体を説明する前に個別のことを話してしまうと、まどろっこしくて相手は混乱してしまいます。

例えば、売上が下がっている現状の課題について聞かれたとき。
下記のような回答は枝葉から話してしまっている例です。

・大口顧客のA商事との取引が、最近落ち込み気味である
・部材の値上がりが進んでいる
・新商品の販売が振るわない
・新規開拓中のB物産のガードが固くて、なかなか取引にいたらない

枝葉から話してしまうと、「結局どれが課題なのか」「要するに何なのか」がわからず、議論が前に進みません。

一方、同じ問いに対して「新規顧客の開拓が進まないことです」のように幹から話すと「なぜそう思うのか」「それが課題だとしたらどういった打手があるのか」と答えを受け取った上で議論が前に進んでいきます。

まず、自分が伝えたいことをきちんと伝えないと、議論が前に進みません。
そのために枝葉に惑わされずに幹を見抜くことも大事です。

サマライズとクリスタライズ

簡潔に話すことは大事ですが、単に短くするだけでは伝わりづらくなってしまうこともあります。
文章を短くするための技術には「クリスタライズ」と「サマライズ」というものがあります。

クリスタライズは本当に重要な物事だけにフォーカスし、本質を表すキーワードを選び取る技術。
サマライズは、長い文章から要点をくくり出す技術です。

よくあるサマリー(要約)の失敗として、「要約」の「約」という部分だけに注目して情報を薄っぺらいものにしてしまうということがあります。
「結論は何?」という質問に対しては結果だけがわかれば良いですが、「サマライズしてください」というオーダーに対しては回答が違ってきます。
単なる結果だけではなく、「具体的な状況をイメージさせるキーワードを選んだまとめ」になるように意識していきましょう。

なお、本書ではサマライズトレーニングとして、ビジネス書をサマライズして結果をシェアするということが取り上げられています。
まさに私が続けていることなのですが、やっていく上でだんだんと要約する力が身についてきた気がします。

今回は、本書に記載されていることも意識しながら書いてみました。
単純な「伝え方」だけではなく、物事の整理の仕方からとても学びになる一冊でした。
「伝え方」「説明の仕方」「ものごとの整理の仕方」に課題を感じている方はぜひ読んでみてください。現在Kindle Unlimitedの対象にもなっています。


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