キノコとモウセンゴケを見に
夜勤明け、小雨の水曜日。葦毛湿原にモウセンゴケを見に行ってきた。
ここは豊橋市の静岡県側の県境に広がってる山んなかの湿原で、毎年このぐらいの時期になるとトウカイコモウセンゴケという小さなモウセンゴケを見に行くのが楽しみなのだ。
もう何年になるか、また今年も見に行こうと思っていたけど何となく行きそびれてて。今日なら涼しいし、小雨の湿地で深呼吸したら気持ちよさそうだったし、ヒトも少なさそうでいいなと。着いてみたら雨も止んでて、そのままノコノコ歩いてゆく。
湿原に入るまでの遊歩道?には小さな水路や切り株、切って横倒しになった樹木があって、そこに沢山キノコが生えている。コレを見るのも好きで、今日も色々生えていた。
ホントに今日は登山客も見物客も少なくて、いつもなら写真撮ってる人とか、奥にある登山道を目指す人とか結構いるんだけど全然だった。
から、湿原に入ってモウセンゴケを見つけると、もう這いつくばるようにして存分に楽しめた。
湿原のなかを歩くには木で出来た、なんかこう、細長くて多少ぐらぐらする、あの~、
がんばれゴエモン2~奇天烈将軍マツギネス~
みてえな足場を渡るんだけど(伝われっ!)そこに最初はしゃがんでたんだけど、足場の下とか、ちょっとビミョーな距離のところにも、イイ感じでお花が咲いてたり、トウカイコモウセンゴケって変わった形をしてて、私が我が家で育てているアフリカナガバモウセンゴケと違って、丸っこい葉っぱが放射状に、曼荼羅みたいに丸く広がってるんだよね。で真ん中からニューっと花茎が伸びて可愛いお花が咲くのね。それが良く見えないんでどんどんどんどん体制が低くなって、しまいに這いつくばってたら木の足場(ゴエモンステップ)から足音が伝ってくるわけ。人が殆ど居ないし話声もなく、トコトコ歩いて来るのだけが伝わるんだよ。
で、そのうちにボソボソ声が聞こえて来て、私の近くまで来たんで邪魔だよな、と思って体を起こしたところで二人組の、小太りで口髭のおじさんと、ヒョロ長のおじさんが来てさ。
ちょうど70歳ぐらいのマリオブラザーズみてえなおじさんたちで、その口髭のおじさんが私と目が合って
「おっ、何を探しとるだん?」
と三河弁で聞くんで
「いやーモウセンゴケを見に来てね、毎年これが楽しみで…」
と答える。この肥満児は、こういう時に愛想がいいのが取り柄なので、そこでマリオみたいなおじさんと湿地帯の植物トークで2~3分盛り上がる。
小雨だけど、こういう天気だからこそ来たんだ
というと感心された。ヒョロ長のおじさんは
「モウセンゴケを見に来たの?」
と驚くやら呆れるやらのあとで
「粋だねえ~」
と言っていた。ワヤだ、と言われなくてよかった。結局こんな天気の日に、ここに居る時点で同類だと思ってくれたみたいだ。マリオブラザーズは向こうの山から下りて来たみたいで、また別方向に歩いて行った。
私はキノコやらモウセンゴケやらチョウチョやら、あとトカゲも居たのでトカゲを追い掛けたりして。
帰り道には毎年見ている大きな切り株を見つけて、ついに半分ぐらい朽ち果ててボロっと崩れていたのに気が付いた。
この切り株は去年も写真に撮っていて、その時は白くて若いサルノコシカケがブワーっと生えてて壮観だったんだ。
でそれを今日(2021年6月15日)見たら、もう殆ど切り株ごと朽ちてるか、焦げ茶色になってすっかり萎れてるんだよね。サルノコシカケも。
サルノコシカケってのは枯れ木を分解するキノコで、サルノコシカケのあとにもタヌキノチャブクロだとか色んなキノコが順繰りに生えてはバラしてく、ってのは幼稚園の頃に読んだキノコ図鑑で知ってたんだ。賢いガキだろ?そのころから肥満児だったけどな。
でもさあ、生えて育ってバラした後どーなってくのか、全然考えたことなかったんだよね。それを目の当たりにしてさ。
ああ、サルノコシカケも、切り株ごと朽ちるんだ
って思ったら、なんかまたキノコ、面白くなっちゃってさ。家に何冊もキノコの図鑑や本があるし、ついこの間、鳳来寺自然科学博物館で簡単だけど面白いキノコと毒キノコのパンフレット(受付にて50円で販売中)を買ってきてさ。それ見てから来るんでキノコの名前とか生える場所なんかわりとわかるんだけど、こう、知らなかったことや、考えもしなかったことが不意に沸いてきて学びになるんで、やっぱり外に出るってのはいいもんで。
なんつーかなー、こういう豊かさを失わずに生きて居たいよね。
ここで焚火したり、映えるのなんのって足突っ込んだりして怒られる奴も居るだろうし、実際、いま葦毛湿原に注意書きの看板すげえ増えたんだもん。馬鹿でもわかるんじゃなく
馬鹿にわからせる
もしくは、もう馬鹿に対してしっかり罰するために、
言ったカンナ!許さないカンナ!
橋本かーーんな!
ってことにするための看板でしょアレ。あんなもん立てなきゃならん世の中なんて、ホントに心身と財布の貧しい社会だと思うよ。
帰ってたまねぎ4玉、ニンニクも4玉使った豚丼を作った。ひたすら皮をむいて刻み、炒め、イイ感じのところでお肉を入れてちょっと炒めて、あとはダシや糀富(はなとみ)さんの尾張みりん、麺つゆなんかを適当に入れて煮込む。
美味しく出来ました。
糀富さんは名古屋市中川区にあるみりん屋さんで、今はラーメン屋さんの営業もしています。お近くの方は是非
ここの味醂は本当に美味しいしファンも多いのですが、残念ながら現在みりんの製造は行っておらず…再開が待ち遠しいです。
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