先輩インタビュー_今西さん_Title

WBS先輩インタビュー ~ 起業家編 ~  (株)EmotionTech 今⻄良光さん

早稲田大学ビジネススクール(WBS)の出身者へ、ビジネススクールでの経験についてインタビューを行いました。
今回は「起業家編」第1回目として、株式会社EmotionTech 今西良光さんのインタビュー(2017年7月12日実施)を公開いたします。
 ※ 本インタビュー記事は、岡本匡弘さんが行ったものをベースにしており、早稲田大学 広報から公開されている「MBAは起業に貢献するか」調査結果と同内容です。
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<今西良光さん プロフィール>

埼⽟⼤学⼯学部システム⼯学科卒業後、株式会社⽇⽴製作所に⼊社。
情報通信グループ/ネットワーク営業統括本部に所属し、主に⼤⼿SIer とパートナーを組み、官公庁向けにIT ソリューションおよびシステムコンサルティングサービスの提案営業を実施。
2010年5 ⽉、4年間勤務した株式会社⽇⽴製作所を退職。株式会社ファーストリテイリングに幹部候補枠として⼊社。営業部に所属し、店舗のマネジメント業務(損益管理、⼈事労務管理、商品売場管理など)に従事。
同社退職後、2012年4⽉に早稲⽥⼤学ビジネススクール全⽇制グローバルコースに⼊学し、東出浩教教授ゼミに所属(アントレプレナーシップ)。
2012年末から起業準備を進め、在学中の2013年3⽉に株式会社wizpra(現株式会社Emotion Tech)を創業、代表取締役に就任。2013年4⽉から休学し、2015年にWBS中退。

起業仲間と資⾦調達や経営の知識を得るため⼊学

Q起業を決意したのはいつですか。
今西︓⼊学前から起業をしようと考えていました。マネジメントを学ぶことを⽬的に、若くてもマネジメントを経験できるファーストリテイリングに転職。ユニクロの店舗のマネジメント業務をトータルに経験し、組織やマネジメントのさまざま課題に直⾯するなかで起業を意識するようになりした。

Q実際に起業したのはいつですか。
今西︓修⼠課程1年の後半である2012年の年末くらいか起業の本格的な準備を始め、3カ⽉間ほどの準備期間を経て2013年3⽉に起業しました。当初は早稲⽥インキュベーションセンターに登記して、最初の事業である従業員のための社内向けアプリの開発をスタートしました。

QWBSに⼊学した理由を教えてください。
今西︓起業することを⽬的に⼊学。ファーストリテイリング退職後にすぐに起業するか迷ったものの、すぐに起業する勇気がなく、起業するための仲間と資⾦調達や経営するための知識を得るために⼊学しました。
起業を考えていたので、WBSでは全⽇制グローバルでアントレプレナーシップの東出ゼミに所属していました。

Q起業のアイデアの着想は、どこから得ましたか。
今西︓実務の経験から得ました。ファーストリテイリング時代に組織やマネジメントの⾮効率について仕組みづくりで解決することはできないか、と漠然と思っていました。それが創業時の最初の事業の原体験となり、社内で従業員がほめ合うアプリサービスを考え出しました。

Q起業アイデアをどのようにビジネスモデル化しましたか。
今西︓講義での学びは、ビジネスモデル化する時に活⽤しました。特に「アントレプレナーシップ(東出教授)」、「ベンチャー・ファイナンス(樋原准教授)」、「スタートアップ・ファクトリー(⻑⾕川教授)」の講義が役に⽴ったと感じています。

Q起業前のバックグラウンドと起業時のビジネスに関連性はありましたか︖** 関連性がある場合は、どのような部分で起業に役⽴ちましたか︖**
今西︓業種的な直接の関連性はありません。ファーストリテイリング時代に感じた、業務上の⾮効率や時間の制約から⼀⼈⼀⼈のスタッフに関与しきれないという課題を、仕組みづくりで解決することができないかと思い悩んでおり、最初のサービスの原体験となりました。

Q起業時の法⼈の形態を教えてください。
今西︓株式会社としてwizpraを創業。早稲⽥インキュベーションセンターに登記しました。

使えるネットワークはフルに使って開発を開始

Q創業メンバーは、何⼈いましたか。またその⽅はどのような⽅ですか。今西︓共同創業者であるWBS全⽇制の同期と起業しました。証券会社出⾝でファイナンス系の同期がCFOに就任。アイデアや営業は⾃分、ファイナンスや管理は同期の共同創業者が担当し2⼈でスタート。
開発の担当者がいなかったので、WBS同期のシステムエンジニアにハーフコミットでプロジェクトマネジメントしてもらいました。同期はSEだったが開発はできなかったので、早稲⽥⼤学の理⼯学部の学⽣2名と東京⼯業⼤学の学⽣1名で開発を始めました。
理系の学⽣とはWBSフットサル部の活動で理⼯学部との試合があり、そこに参加していた学⽣に紹介して欲しいと伝え、数珠つなぎ的に開発メンバーを紹介してもらいました。東⼯⼤生はユニクロ時代のアルバイトの東⼯⼤⽣に紹介してもらいました。
使えるネットワークはフルに使って開発を開始しました。その後、アプリ開発が初めての学⽣では納得いくものができず、途中から外部のエンジニアにハーフコミットしてもらうようになり、2013年末にそのエンジニアがフルコミットすることになってからは彼が担当して開発を進めてきました。

Q設⽴メンバー、役員にMBAホルダー(先輩後輩、他⼤学MBA含む)はいますか。
今西︓ WBSの同期が共同創業者としてCFOを担当。その後もWBS出⾝者が加わり、現在、WBS1名、グロービス1名のMBA⼈材が社内にいます。

Q創業時の資本⾦や起業後の資⾦調達について教えてください。
今西︓ 創業時は⾃分と共同創業者の⾃⼰資⾦と⾦融機関の融資でスタートしました。その後、創業半年以上を経た2013年11⽉にNTTドコモベンチャーズのアクセラレーションプログラムに参加。転換社債として数百万円を調達しました。2014年5⽉にシードステージとしてVCのファーストラウンドの調達をしました。

Q資⾦調達において、MBAの学びや⼈脈は役に⽴ちましたか。
今西︓ 資⾦調達⾯においては特にありません。

Q︓WBSの⼈脈からの顧客獲得はありますか。また、営業活動においてどのような点で活⽤しましたか。
今西︓最初の事業である社内コミュニケーションツールのアプリのプロトタイプ(β版)のサービスをWBSの同期の会社に採⽤してもらいテスト使⽤してもらいました。スタート時でも約3社で導⼊いただきました。
最初の導⼊企業は⼤企業ではなく、同期⾃⾝が意志決定できる⽴場のポジションにある会社に社内導⼊してもらいました。WBSの在学⽣には意志決定できる⽴場にあるポジションの⼈が多かったので、その後も⾃社のステージに合わせて、時間を経てから再度提案に⾏くことによって導⼊いただけるケースもありました。トータルでは⼤企業含めて10社くらいはWBSの⼈脈からビジネスに繋がっています。

Q会社の組織運営において、MBAは役に⽴ちましたか。
今西︓組織マネジメントの⾯では倫理観などで、平野正雄先⽣の講義の影響を受けて実践しています。創業時に共同創業者と社員に⾔えない意識決定はしないようにしようと創業時に決めました。
社内の仕組みづくりなどでは、学びを活⽤している点は特にありません。

ピボットのきっかけはVCのファーストラウンドの調達をしたこと

Q起業後に事業ピボットなどは実施しましたか︖** その場⾯で、MBAは役⽴ちましたか︖**
今西︓ 創業1年半を過ぎたころにピボットをしています。その後社名も「Emotion Tech」に変更しました。
ピボットのきっかけは2014年5⽉にシードステージとしてVCのファーストラウンドの調達をしたこと。当時、⽚⽅は構想で、⽚⽅は実績があるアプリ事業をプレゼンし、実績のある社内アプリ事業に出資してもらったのですが、VCに構想段階のサービスを含めた2つのサービスを紹介したところ「どちらのサービスをメインするのか決めた⽅がよい」というアドバイスがあり、2カ⽉間調査した上で、伸びる事業はどちらかを⾒極めました。
ベンチャーはリソースが⾜りないので、何を事業のメインにしていくか、を⾒極めて決めていくことは重要なことだと考えています。

事業成⻑のフェイズで、いつも同期が助けてくれた

Q︓WBSに⼊学したことは、起業においてどのような場⾯で役⽴ちましたか︖また、それは具体的にどのような点ですか︖
今西︓ とにかくWBSのよさは⼈脈だと感じています。全般として、何よりも⼤切だったと思うのは、共同創業者と出会うことができたこと。
また、何の信⽤もない中で、同期の繋がりから約10社にサービスの導⼊をいただけたことも⼤きいです。創業時から成⻑時まで、事業成⻑のフェイズに合わせて、いつも同期が助けてくれました。
監査役としても東出教授に就任していただいており、指導教授がコミットしてくれてます。また、⼈材組織の⼤滝先⽣にはビッククライアントの案件で、コンサルティング会社の紹介を通じて助けていただいたこともあります。
つまり、WBSで形成される⼈脈が起業におけるとても⼤きなメリットだと思います。WBSは国内のビジネススクールとして(⼤⼿企業所属の在職中の学⽣もいることで)起業に有効ではないかと感じています。
WBSに⾏かなくても起業したとは思いますが、タイミングや事業内容がどうなっていたのか…。いまのビジネスでいまの成⻑があるのはWBSがあったからだと感じています。
サービスをつくる、プロダクトをつくるという部分においてはWBSで教えてくれるわけでなく、またセールスも同様です。
強いて⾔えば、「サービス」と「セールス」について学ぶことでできればよかったと感じています。

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**今西さんが設立した 株式会社EmotionTech とは **

会社名:株式会社Emotion Tech (エモーションテック) ※旧株式会社wizpra設立:2013年3月8日
資本金:4億9,579万円(資本準備金含む)
URL: https://www.emotion-tech.co.jp/
事業内容:
 カスタマー・エクスペリエンス解析クラウド「EmotionTech」及び
 従業員エンゲージメント解析クラウド「EmployeeTech」の開発・運営
役員: 代表取締役 今西 良光、 取締役 飯尾 礼治、取締役 田邊 賢司
受賞歴・採択歴:
2015年12月:Infinity Ventures Summit ファイナリスト
2015年11月:新日本有限責任監査法人 Job Creation 2015 受賞
2015年8月:Rising Expo 2015 ファイナリスト
2014年4月:経済産業省「新事業創出のための目利き・支援人材育成等事業」にかかる支援案件
2014年3月:CVG2013 経済産業大臣賞
2013年12月:NTTドコモイノベーションビレッジ第2期

※ 本記事中の画像は株式会社EmotionTech のHPキャプチャを使用しております。

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