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[6月第4週] DAOレポート Vol.24 | 分散型ID(DID)がDAOにとって欠かせないピースである理由 | 市場規模80兆円試算も

イントロ

今後のDAO発展のために必要なピースの一つと言われているのが分散型ID(Decentralized Identity or DID) だ。市場規模は5600億ドル(約80兆円)という試算もある分散型ID業界。なぜDIDがDAOに欠かせない存在なのか本日は解説する。

(上記の話は、DAOとは「地理的に分散した人々が、偽名も選択肢の一つとして、ネットで繋がって現実世界では果たせない共通の理想を叶える為コミュニティ」という定義のもとに成り立っている。よく地理的に集中した場所(つまり〇〇村や〇〇島、〇〇個人のコミュニティ)にDAOを取り入れようという話があるが、これは最初から矛盾が生じているように思える。なぜ、トラストレスが武器のブロックチェーン技術をトラストで既に成立している世界に取り入れるのか?トラストレス技術の魅力は、地理的に分散したところから集まる人々、つまりお互いに顔も知らない人々が偽名で活動しても、安心して取引を成立させられるところにあるはずだ。この点は脱線となるので後日詳しく話す。)

DAOの偽名文化を特徴づけるのが、イーサリアムのアドレスである英数字の羅列に代表される個人だ。DAOの参加者はプロフィールを偽名で設定したりアドレス表示のままにしたりする人が多い。これによって、現実世界の自分の本業の評判を落とすことなく、一風変わったアイデアや大胆な提案が可能になり、DAOのダイナミズムに繋がっていた。

しかし、ここには大きな課題がある。例えば、イーサリアムのアドレスは誰でも幾つでも作ることができる。ある悪意のある人が、あるイーサリアムアドレスでDAOから技術的なタスクを請け負いコードにバックドアを仕込む。DAOはそのイーサリアムアドレスをブラックリストに入れることができるが、悪意ある人は別のイーサリアムアドレスを発行し、何食わぬ顔でDAOに戻ってこれる。

また、DAOが複数のアドレスを使ったシビル攻撃にさらされるリスクもある。異なるアドレスで複数回の投票することは「1人1票」の原則から外れる。

解決策として注目されるのが分散型ID(DID)だ。何らかの方法でオンチェーン(イーサリアムアドレス)とオフチェーン(アドレス作成者)をつなげる。ただその際、偽名文化を守る必要がある。DAO参加者は、実名や住所、年齢、顔写真など免許証に書かれているような網羅的な紋切り型のIDを見せたくないだろう。アイデンティティとは、「あなた自身を定義する要素全て」と言う人もいる。政府系のIDを使わなくとも「あなた」を証明する方法はあるはずだ。

例えば、KlerosのProof of Humanityは、あなたのスキルや経験とアドレスを紐づけることであなたのDAO参加を承認する仕組みの構築を目指している。他にも具体的なプロジェクトとして、Soulbound NFT、Proof of Existence、Spruce ID、などがあげられる。

分散型IDの普及はDAOの本来の意義である偽名文化を守ることにもつながろうだろう。偽名同士でありながらお互い安心して参加できる環境づくりはweb3の本質にも根ざした動きだ。

注目のプロポーザル

  • 📝 Polygon Labs ZK技術を用いたPoSチェーンのアップグレードを提案 |Pre-PIP Discussion: Upgrading Polygon PoS to a zkEVM Validium📝

    • Polygonは、zkEVM Validium技術を組み込む形で、既存のPoSブロックチェーンアーキテクチャをアップグレードする計画を発表。

    • アップグレードの動機としては、セキュリティの強化、Polygonの技術スタックのアップグレード、スケーラビリティの向上、トランザクションの高速化などが挙げられる。

    • 新たなPolygonの時代を迎えるPolygon 2.0に向けた一連のアップグレードの始まりを告げるものと位置づけられる。

    • アップグレードの承認に関する投票は2023年11月に行われる予定。

    • 提案が可決された場合、メインネットのローンチは2024年第1四半期の終わり頃と見込まれている。
      ✅ 投票開始: 未定
      ⏰ 投票終了: 未定
      ⚡ 投票: 未定
      💬 議論:https://forum.polygon.technology/t/pre-pip-discussion-upgrading-polygon-pos-to-a-zkevm-validium/12187?utm_source=substack&utm_medium=email
      ✍ 提案者: MihailoBjelic

  • 📝 オズモシス トークノミクスのアップグレード版「OSMO 2.0」を発表 | Osmosis unveils Tokenomics upgrades, dubbed OSMO 2.0📝

    • オズモシス(Osmosis)は、より持続可能なエコシステムを構築するために、トークノミクスに一連の変更を提案。

    • 4月にOsmosisのガバナンスは、トークンのインフレ率を50%減らし、トークンの発行スケジュールを延長することを目指す二つの提案を承認。

    • 現在、Osmosisのコミュニティは、これらの変更を実装するとともに、可能であれば2つの追加的な変更を加えて既存のトークノミクスを全面改革することを検討。

    • Osmosisのガバナンスは、現在、以下の2つの提案について議論中

      1. プロトコルによって生成されたMEV(Miner Extractable Value)の収益を最適に活用する方法について

      2. OSMOのステーキング参加者に対する手数料スイッチをオンにするかどうかについて
        ✅ 投票開始: 未定
        ⏰ 投票終了: 未定
        ⚡ 投票: 未定
        💬 議論:
        MEVについて https://gov.osmosis.zone/discussion/11418-protorev-allocation-june-1st-due-date
        手数料についてhttps://gov.osmosis.zone/discussion/11577-introduce-a-protocol-taker-fee-for-osmosis-swaps
        ✍ 提案者: whitemarlin

  • 📝 HOP Protocol 競合他社のインセンティブ戦略調査で資金を要求 | [Grant Proposal] Incentive Strategy Research Report of Hop Protocol Competitors📝

    • Hopプロトコルの競合他社がユーザーインセンティブにどのように取り組んでいるかを分析する報告書の作成のための資金を要求。

    • 各競合他社、そのインセンティブ戦略、奨励しようとしているユーザー行動、そしてこれまでの各アプローチの成果を報告。

    • Hopプロトコルがすべての資産に対してHopトークンをインセンティブとして追加することの持続可能性についての懸念から生まれた。

    • 提案者のStableLabは、Hop DAOのデリゲートとして、Hopプロトコルのユニークなニーズに対応した報告書を作成するための必要な文脈を持っていると主張。

    • 報告書の対価として、HOPトークンで$2,500をこのアドレスに支払うことを求めている:0x9c489E4efba90A67299C1097a8628e233C33BB7B
      ✅ 投票開始: 未定
      ⏰ 投票終了: 未定
      ⚡ 投票: 未定
      💬 議論:
      https://forum.hop.exchange/t/grant-proposal-incentive-strategy-research-report-of-hop-protocol-competitors/930?utm_source=substack&utm_medium=email
      ✍ 提案者: Kene_StableLab

  • 📝ディセントラランド ガバナンスに誰が参加しているのか分析 | Understanding and Improving the Governance Participation in Decentraland📝

  • 📝メーカー プライバシーを守りつつMKRを出金する方法 | How delegates and facilitators can offramp while preserving their opsec📝

    • オンチェーンプライバシーを維持しながら、MKR保有を安全に出金するためのガイドを提供。

    • 大量の出金にはEthereumメインネット上のRailgunを使用することを提案。

    • プライバシーの重要性を強調し、暗号資産を長期間ホットウォレットに保存しないことを推奨。

    • 目立たない金額を預けて引き出すことを推奨。

    • MKRをWETHまたはDaiに変換し、ZKウォレットを作成し、預金を保護し、シールドされたウォレットからガスと手数料を支払い、取引を行い、ランダムな時間を待ち、預金の保護を解除し、最終的にトークンを特定されていないウォレットに引き出すといったステップが含まれている。
      ✅ 投票開始: 未定
      ⏰ 投票終了: 未定
      ⚡ 投票: 未定
      💬 議論:https://forum.makerdao.com/t/how-delegates-and-facilitators-can-offramp-while-preserving-their-opsec/21176
      ✍ 提案者: 0xDefensor

話題のTweet

The DAO事件から6年が経ちましたか・・・。

トレジャリーデータ

DeepDAOによると、6月26日時点でDAOトレジャリーの総額は202億ドルと前週比で11%増加した。内訳は、流動性のある資産(Liquid)が179億ドル、権利が確定していない資産(Vesting)が29億ドルだった。
ガバナンストークン保有者は680万人で、アクティブDAOユーザーは250万人だった。

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