槍ヶ岳で本物の天の川を見た
高校の登山部の後輩たちが一緒に槍ヶ岳に登ろうと誘ってくれました。
後輩から誘ってくれるなんて先輩冥利に尽きるというものです。
日程は2020/9/12~15となります。
photographと写真は違う
世の中たくさんの天の川の写真が出回っていますが、そのほとんどが現像という名の加工をした偽物です。実際に肉眼で180度の天の川を見られる場所なんて限られています。例えば私が下田で撮影した以下の写真。天の川が写っていますが、実際のところ肉眼では雲なのか天の川なのか分からないレベルでした。
でも、この写真は写真で良いと思いませんか?カメラを通すことでしか表現できない技法で自分が見た星空や天の川を肉眼で見られた喜びを表現できるのは印象派のアートとして確立されるべきだと思います。元々photographの意味はphoto(光)でgraph(かく)。いわゆる絵画とは画材が異なるだけに過ぎないのです。
一方でカメラには真を写すと書くように記録手段という役割があると考えています。限りなく自分の眼で見た通りの絵にする。写実主義的な思想です。これら2つは本来ならば「写真」という1つの定義に押し込むべきものではないと感じています。なので、あえてここではフォトと写真と区別します。今回槍ヶ岳で撮影した天の川は見たものに限りなく近づけた「写真」だと思ってご覧ください。
1日目(中房温泉~燕山荘)
北アルプス三大急登の合戦尾根を登ります。花崗岩で覆われる燕岳の山肌は白く美しく北アルプスの女王とも呼ばれます。今回は悪天候により登頂は断念しました。
2日目(燕山荘~大天荘)
2日目はヒュッテ西岳を目指し活動開始です。
ここからかなり鎖場も増え危険個所が続いていきます。順調に進んでいくこと1時間。天気予報では荒れる様子はなかったのですが、突然の雷雨に襲われます。途中大天井ヒュッテで雨宿りをするのですが、やむ気配はなく低体温症の危険もあったので槍ヶ岳からは遠ざかりますがエスケープルートで大天荘に宿泊する決断をします。
3日目(大天荘~槍ヶ岳)
気を取り直して槍ヶ岳に向け出発です。
月が明るく朝焼けも見えていましたが、それでも満点の星空でした。
この日は快晴で、完璧な登山日和でした。
東鎌尾根はヘルメット推奨で危険個所が多々ありましたがこれぞ槍といった感じでかなり楽しく登山できました。
そしてとうとう槍ヶ岳山荘に到着です。ここからは荷物を最小限にまとめて頂上にアタックします。
危険個所多数ですが、高いところでワクワクするタイプの私にとっては最高でした。
4日目(天の川~下山)
撮影中はとんでもなく寒かったです。カメラを操作する手には全く感覚がありません。でも、それでもずっと見ていたいと思える絶景でした。小屋の前で撮影しているとそこそこの頻度で他の登山客が星を見に出てくるのですが、絶対に「すげぇ…!」「すごい…」と言葉が漏れていました。
小屋とは逆方向の天の川です。小屋側のような、いわゆる天の川と聞いて想像するような明るい部分は見たことがあったのですが、反対側の部分まで肉眼で見ることができたのはこれが初めてでした。というか天の川って180度あったんだな…というのがファーストインパクトでした。
翌朝下山を開始して振り返るとそこにあったのはモルゲンロート。
今回の登山はあまりにも濃く良い経験となりました。
山の景色ってもうそれ自体で感動できてしまうのでフォトである必要がないんですよね。肉眼や写真で感動できる。それが山の偉大さなんだと思います。
誘ってくれた後輩諸君に感謝を。