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「女性とともに学ぶWell-being×DX勉強会」第1回テーマ「フェムテック」

地域の企業がDX化に向かい、変革を果たすために、女性の視点事例紹介やニーズの探求を行う「女性とともに学ぶWell-being×DX勉強会」を3回シリーズで第1回は2024年1月19日(金)に開催しました。

第1回は、「フェムテック」をテーマに、ジェンダーギャップの課題として不妊治療とDXを取り上げ、病院連携や医療オンライン化などのデジタルサービスで地域の不妊治療の課題解決に挑むスタートアップvivola株式会社より代表の角田夕香里をさん迎え、地域医療の課題解決とDXの取組について、現場目線での事例を伺いました。

【ゲストプロフィール】
角田 夕香里(vivola株式会社 代表取締役CEO)
2009年、SONY株式会社にて機能性デバイスのR&Dや新規事業開発を経験。その後、フリーになり主に、企業の研究所で新規事業開発の伴走に従事。自身の婦人科系疾患や不妊治療の経験から、患者の治療に関するデータエビデンスへのアクセシビリティを上げたいと思い、vivola株式会社を設立。晩婚化、晩産化の傾向にある現代社会にて、女性の様々なライフステージにおいて、データ解析というテクノロジーで主体的な選択に貢献していきたい。

「フェムテック」を知る

冒頭に、エイチタスより「注目!フェムテック/ジェンダード・イノベーションとは?」と題して、いま話題の「フェムテック」や「ジェンダード・イノベーション」について解説を行いました。

Femtech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決するための製品・サービスを指すものです。月経、妊活、婦人科疾患など、身体的な健康課題へのアプローチから新たなサービスを生み出す傾向があります。世界のフェムテック市場は2025年には5.3兆円に至るとの予測もあります。

また、科学・技術分野における研究や開発のプロセスに、積極的に性差分析を組み込んでいくことで、イノベーションと発見を実現するという概念として「ジェンダードイノベーション
」というものもあり、ジェンダーギャップ(性差)に着目し、科学技術、ビジネス、社会それぞれの変革にも期待が集まっています。

女性に対して、男性側の性差に着目した「メンテック」という領域もあり、精子の動きを超音波で制御する避妊デバイスなども存在します。

不妊治療の課題

vivolaは、不妊治療の領域に特化して複数のサービスを展開しています。その前提として、女性のライフステージが変化したことにより、特に地方での不妊治療のニーズが満たされないという課題が起こっています。

不妊治療は、治療に必要な設備や人材がそろっている大きな病院に通う必要があります。しかし、そうした病院は大きな都市に集中し、地域で暮らしている女性にとっては、通う負担もかかります。近年は、平日日中は働いているのが当たり前になり、仕事との兼ね合いなどで不妊治療そのものも諦めてしまう傾向もあるそうです。

一方で、不妊治療は、治療や検査において様々な手段を選べる状態にあり、多くの人たちが、他の治療患者のネットでの発信を参考に情報収集をされているケースもあり、そうした人たちは何が自分に適切なのか、専門家ではないため判断に迷うといった課題もあります、

ビッグデータでユーザを救う

vivolaでは、不妊治療患者向けの治療データ分析アプリ「cocoromi」をリリース。このアプリでは、自分のデータを入力すると、自分と似たようなデータを持つ人が、どのような傾向になるのかを教えてくれます。不妊治療で妊娠した人の統計や、年齢やホルモン値、妊孕性に影響する男女の疾患など、不妊治療に関する様々なデータから、ユーザに情報を届けてくれます。

病病連携のシステム構築

vivolaは、働きながら不妊治療に取り組む人たちの課題には、「病病連携」の仕組みづくりで解決を目指しています。

遠隔連携システム「vivola-KARTE」には、地域の一般の産婦人科と不妊治療を専門とするクリニックで、患者のデータを共有できるシステムがあり、これにより、検査は地域のクリニックで済ませ、治療行為は専門医に委ねるといったすみわけができるようになります。通院時間が大幅に短縮され、不妊治療にあたり、常に大きな病院に通わねばならない状態から解放されます。

職場の啓発も重要

デジタルの力で不妊治療に取り組みやすくなるサービスを生み出す角田さんは、不妊治療のアクセス改善には、テクノロジーだけではなく、社会的な課題の解決も必要と考えます。そのひとつが、職場の理解です。職場での不妊治療への理解が進まないと、治療にあたって仕事を断念するか、仕事のために治療を断念するという不幸な選択をしなければいけなくなってしまいます。

vivolaでは、全国各地で行政との連携で、地域の企業向けに仕事と不妊治療の両立をサポートしたい企業向けにセミナーを展開。医療従事者などの専門家を招き、具体的な話を聞ける場を提供しています。

変革に必要なこと

角田さんは、ご自身の体験も土台となり、医療、IT双方の専門家を仲間に迎えながら、サービスの構築を続けています。ユーザ、医師、研究者、エンジニア、行政、企業など、様々な立場の人たちの理解と支持を得ることで、新しいサービスとともに、不妊治療の課題に対する世間の認識も拡がっていきます。

職場の理解については、参加者のみなさんのうなずきも多く、また、不妊治療は、子どもを望む男性にとっても、自身が取り組むべき課題として認知されるべきという視点もあります。DXを「変革」と捉えるのであれば、その変革は、人の意識や社会のあり方そのものにも迫っていくことになるというのが、角田さんの挑戦からはっきりと伺うことができました。

次回は、「働き方改革」をテーマに株式会社ケイリーパートナーズの鷲谷恭子さんを迎えます。

宮城県内で活躍する地域の企業が、今後も成長を図りながら生き残っていくために、「地域のDXを加速させるみやぎコネクトプロジェクト(略称: みやぎコネプロ)」では、引き続きみなさんと一緒に未来を創る活動を続けていきます。

*本イベントは宮城県「令和5年度異業種連携促進支援事業業務」にて実施したものです。

宮城県では、DXに取り組む企業やサポート企業が参加するイベントを開催しており。ICTポータルサイト「オープンイノベーションみやぎ」では、県内に拠点をもつIT企業を検索できます。
宮城県の支援制度や、団体・自治体からの情報も公開中です。

https://ictdb.pref.miyagi.jp/

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