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100.9:28 17年前のシャネルと今の私。パリ旅行記④

今日は最高気温35度という予想なのですが。
9月なのに。
大丈夫でしょうか、私の体調は。
朝晩は少し涼しくなってきたけれど、秋というには暑すぎる。
そんな9月5日。


現在パリでパラリンピックが開催中だ。
日本人の活躍は嬉しい。
そして、それ以上にパラリンピックが盛り上がっていることが嬉しい。
相変わらず、日本のテレビではほとんど中継されないが。
本当に残念だ。

そんなパリに旅行に行ったのは、2007年の3月だった。
え、17年も前だとは。
まだ学割が効く年だったなあ。
まあそれは置いておいて。

パリ旅行の思い出は、これまでもnoteに何度か書いた。

パリ恋(韓国ドラマ「パリの恋人」)がきっかけとなり、友人2人とパリに行って、はや17年か。
驚くほど年を取ったが、驚くほど成長していない自分がいる。

あの頃は、将来に不安はあったが、まだ「将来」は来ていなかった。
今は、その「将来」に生きている。
勿論私にもまだ未来はあるが、あの頃思い描いた「将来」はまさに今なのだ。
あの頃の私には思ってもみない「将来」になっていて、思わず苦笑いがでる。

パリに話を戻そう。
あの頃興味があったことは「お洒落」だった。
若者のご多分に漏れず、といったところか。
注意しておくと、決して自分自身がお洒落だったわけではない。
興味があったのだ。
そんな私たちは、パリで高級ブランドに次々に入っていった。
はっきり言って、そこにディスプレイされているものの多くはとてもじゃないが高くて買えない。
それでも、パリに行ったら高級ブランドに行かなければならないと思い込んでいた。
入り口で止められることは、さすがになかったが、フランス人の店員しかいない店内はとても気後れした。

何軒回っても買えるはずもないのだが、次々店に入った。
ただ、そこにいるだけで嬉しかった。
財布くらいは買いたいと思っていたのかもしれない。
結局買えなかったのだが、そんな自分が唯一買ったもの。
シャネルのカンボン通りにある本店。
そこで真っ黒なネイルポリッシュを購入した。
あの素敵なショッピングバッグ(小さいけれど)にカメリアがあしらわれ、気分は最高だった。

今思うと、なぜ日本でも買えそうなものを買ったのだろう。
パリという地で、高級ブランドで、買うという行為自体に意味があったのだ。

思い返せば、今とは全く違う価値観の自分がそこにいた。
過去の私は、「ブランド」であれば魅力があると思っていた節がある。
ブランド志向の人間だったのだ。
はっきり言って、シャネルがどういう歴史を持つブランドで、そのネイルポリッシュはどう良いのかなんてどうでも良かった。
世界的に認知されたシャネルで買う、これが達成されただけで、自分もお洒落な人なのだと満たされた。
見栄だったのだろう。

今の私はというと、高級で有名なブランドだからと言ってほしがることもなければ、必要ないものを買うこともなくなった。
見栄というものからは距離を置いて久しい。

きっかけは、「働く」こと、つまり「お金を稼ぐ」ことがいかに大変か、フルタイムの仕事をし始めてわかったからだ。
自分の生活すべてを自分自身の稼ぎで賄うことは、想像以上に責任を伴うことだった。
仕送りや奨学金といったまとまった収入と、パートタイムのアルバイトで得た趣味につぎ込めるお金があった時からは考えられない。

しかし、あの頃の自分が恥ずかしいとは思わない。
人はいろいろな価値観を経ながら変わっていくものだ。
ただ、どちらの自分が好きかと言えば、今の自分の方が好きだ。
ただそれだけなのだ。
輝かしい「将来」にはいない私ではあるが、自分自身が満たされた日々を送っていることを、あの頃の自分に教えてあげたい。

実はあの時買ったネイルポリッシュはまだ家にある。
なかなか捨てられない。
あの頃の自分が、なんだか可愛くて。
必死で大人になろう、お洒落になろう、としていたのだ。
もう使えないネイルポリッシュを見るたびに、パリを思い出している。

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