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40代の女性は、マンモグラフィで、2人に1人の乳がんが見つからない

衝撃的な書き方でごめんなさい。でも、これは本当なんです。

どういうことか、説明します。


乳がんを持つ2人の運命



もしあなたが40代の女性で、かつ、自分では知らないけれど、自分の乳房にがんができていたとします。

もう一人、別に40代の女性がいて、同じように、自分では知らないけれど、自分の乳房にがんができていたとします。

この2人が、検診のために、マンモグラフィを受けます。わかりやすくするために、Aさん、Bさんと呼ぶことにしましょう。

そうすると、どちらか一人だけ、例えばAさんだけが、乳がんだと正しく診断してもらえます。

でも、Bさんは、乳がんがあるのにもかかわらず、「異常なし」というレポートをもらいます。

これが、タイトルに書いた文「40代の女性は、マンモグラフィで、2人に1人の乳がんが見つからない」という意味です。

病院に行ける人 ・ 知らないまま乳がんが育ってしまう人

正しく診断してもらったAさんは、びっくりしてすぐ病院に行きます。すごくショックだけれど、そこから治療に向かって進むことができます。

正しく診断してもらえなかったBさんは、どうなるでしょう。

もちろん、何事もなかったように過ごします。

唯一、昨日までと違うのは、「検診マンモグラフィを受けて異常なしと言われた」という自信を持って過ごすことです。

しかし、実際には乳がんがあり、知らない間に、だんだんと大きくなるのです。もし、しこりを感じることがあっても、「異常なしと言われたから大丈夫」と思いますよね。

それに、ちょっとしこりを感じても、それが乳がんかもしれないなんて嫌だから考えたくないし、そもそも病院に行くのは半日以上時間を潰すし、痛いことされちゃうかも、と想像するから、容易には行けません。

そうして、病院に行く日が、どんどんと遅くなり、ついには、進行がんになってしまうこともあることでしょう。

まさか「40代の乳がんの2人に1人が診断できない」とは、夢にも思わないですね。

だって、毎年10月には、ピンクリボン運動だって行っています。

だから多くの方が「70%ぐらいは診断してもらえる」と、信じていることでしょう。でも本当は、47%の確率でしか、正しく乳がんと診断してもらえません。

論文が明快に説明している

「まさかまさか」ですね。本当なんでしょうか?

最近このことを明確に説明してくれる記事がでてきました。

論文としては、日本乳癌検診学会雑誌(2023 年 32 巻 1 号 p. 17-25)に掲載されているのですが、これは普通の方は難しいです。

一般的に入手しやすい雑誌として、以下があります。その内容を一部引用します。わかりやすくするために、改行をいれますね。

ランダム化比較試験のJ-START(読み:ジェイスタート)から導き出された、

「40歳代日本人女性に対する検診マンモグラフィ単独の感度 47%」が意味するところは、

40歳代日本人女性が 毎回定期的に乳がん検診マンモグラフィを受診しても

既に発症している乳癌を持っている女性2人のうち1人は

検診マンモグラフィで発見できないという、

非常に感度の低い乳がん検診をわが国では実施していることになる。

「日本人女性の乳がん検診マンモグラフィに死亡率減少効果のエビデンスはない -ブレスト・アウェアネスとリスク層別化乳がん検診に基づく次世代乳がん検診への期待-」( Rad Fan Vol.21 No. (2023))

この論文では、さらにこんなことも書かれています。

  • 日本の乳がん検診は、既に検診マンモグラフィを施行して23年経過しようとしているが、今もなお日本人女性の乳癌死亡率が増加を続けている。

  • この23年の日本の検診マンモグラフィの歴史は、皮肉にも日本人女性に対する 検診マンモグラフィに救命効果がないというエビデンスを構築した。

  • 科学的根拠がない検診マンモグラフィをこのまま続けることは乳がん検診の利益である乳癌死亡率減少効果を未来永劫にわが国は享受することが不可能であることを意味する。

ちょっと冷や汗💦がでますね。

これを書いた著者は、乳癌関連学会で指導的立場にあり、教育講演や座長をいつも務めている、静岡県立静岡がんセンターの先生です。

「がん拠点病院」の先生が、『日本最大の研究(J-START)からは、こう読み取れる』ということを説明しているのです。

では、40代女性はどうしたら良いのか。

39歳以下のAYA世代の女性はどうしたら良いのか。

高濃度乳房(デンスブレスト)の人はどうしたら良いのか。

これらはほぼすべて同じ意味です。乳腺が豊富で、いわゆる高濃度乳房(デンスブレスト)である人はすべて該当します。最近では、50代、60代でも高濃度乳房のひとはザラにいます。

30代、20代の方は、さらにその確率が高いわけです。

これらの人は、マンモグラフィ単独検診を受けても、乳がんがあった場合、2人に1人以下の確率でしか見つけてもらえないわけです。

J-START(ジェイスタート)という、前項で示した論文の第一報では、

  • マンモグラフィだけの検診:1000人中 3.2人乳がんを見つけた。

  • マンモ+乳腺エコー(超音波)検診:1000人中5.0人、乳癌を見つけた。

ということが報告されています。
ここからは、40代の人は、マンモだけではなく、エコー(超音波)を受けられるなら、受けたほうが良い、ということは言えます。

もちろんお金がかかることもあるでしょうし、エコーは検査可能な人数が少なめですから、待ち時間も長くなるかもしれません。

別の機会に書きますが、お母さんが乳がんの方は、倍のリスクがありますから、これはやっぱりエコーも受けたほうが良さそうです。

先の論文では、こういったことを「リスク層別化検診」として提案しています。リスクのある人には詳しい検診をするという意味合いです。

ドゥイブス・サーチは圧倒的

ドゥイブス・サーチ(無痛MRI乳がん検診)の成績はどうでしょうか。

それは、先程の書き方で言えば、

  • ドゥイブス・サーチ(無痛MRI乳がん検診):1000人中20人、乳癌を見つけた。

ということです。3人とか、5人ではなくって、20人です。もう、圧倒的です。

事実として、非常にたくさんの乳癌が見つかっている事がわかると思います。

ですから、少なくともお母さんが乳がんなど、リスクが高いと思う人は、ドゥイブス・サーチを受けることをおすすめします。

「しこりを感じたら、ドゥイブス・サーチ」

ドゥイブス・サーチ(無痛MRI乳がん検診)は、平均して2万円程度しますから、普通の検診に比べて高額です。

しかし、もしあなたの乳房にしこりを感じたなら、直ちにお受けになることをおすすめします。

病院に行くのはもちろん推奨されますが、並ぶし、待つし、痛いし、半日使います。でもそれを嫌って何もしないことは、最悪の事態を招くかもしれません。

ドゥイブス・サーチは、お金がかかりますが、15分で検査が終わります。

日本で生まれた、正真正銘世界初の、「痛くない、見られない」乳がん検診です。服を来たままなので、全く乳房を他人に見られません。

夜にネット予約ができるし、病院には、全部合わせても1時間程度の滞在時間で済みますから、忙しいみなさんでも大丈夫です。

食事制限などありませんし、被曝もゼロです。

しこりがあるときに、最も確実に、乳がんだと診断でき、逆に、心配はないとお伝えできます。

レポートにしっかりとそれが書かれますから、自分の症状について本当の意味で安心ができるわけなのです。

レポートのデザインは、イメージです(わかりやすく文字部分を大きくし、ハイライトしました)

なぜこんなに診断能が高いのか

なぜ、このように診断能が高いの? 本当に診断能が高いの? と、疑問に思いますよね。これを読んだ医療関係者の方もまだまだ懐疑的でしょう。

その理由は、色々ありますので、また詳しく書きたいと思いますが、今日は、この辺で。

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