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2023年、フィルム写真とどう向き合うか

年明け早々、サイバーグラフィックス社の一部銀塩製品の取り扱いを終了するアナウンスが流れた。

今後イルフォード、ケントメア製品はイルフォードジャパンから販売されると言うが、おそらく値上げは必至、あるいは製品によっては国内での取り扱いがされなくなる可能性も考えられる。

昨年末、ペンタックスよりフィルムカメラ製品のプロジェクトがアナウンスされた矢先の事。

いつからか、「フィルムは10年後にはなくなっている」などと言われるようになり、確かに数は減っているものの、今のところ値上げを繰り返しながらまだ販売は続いている。

それよりも問題なのは、薬品や印画紙の選択肢がなくなっていることで、昨年10月末にはコダックから、日本国内向けの薬品の製造販売を終了する旨が告げられた。
D76やXtolといった現像薬品は量販店では手に入らなくなり、個人系の輸入販売店から入手するか、直接B&Hのようなところから個人輸入するほかなくなった。
今回の件でハーマンテクノロジー社製品の日本国内での値段が爆上がりするか、あるいは取り扱いがなくなると、印画紙を買ってプリントするということができなくなってしまう。

フィルムで撮ることはできても、現像・プリントが出来なくなってしまうという事になりかねない。

正直、フィルムが真っ先に消えてなくなるものだと思っていたので、こういった状況になるとは予想していなかった。


フィルム1本1,500円に現像代と合わせて、たった36枚の写真にそこまでお金を掛けられるか。
そのために新品のカメラを買う価値があるのか。
フィルムで写真を撮る価値が…あるのか。




個人的な意見としては、流石にここまでくるともうフィルムで写真を撮ることをひとに勧めるようなことはできないし、やるなら相応の覚悟を持って飛び込んで来い、といったところだろうか。


自分の今後のフィルム写真との付き合い方としては、ひとまず35mmフィルムは暫く買う必要のないくらいストックがあるので、少なく見積もっても3年は余裕で持つだろう。

中判フィルムも、実はacrosが製造終了する前に買い溜めたものが冷蔵庫に眠っており、オークションで仕入れたRPX400もそこそこの本数がストックされているので、心配はない。

大判はしばらく停滞しているが、今年こそは引き伸ばし機を完成させてなんとか本格的に撮ろうと思っている。フィルムはまだあるし、大判のフィルムも値上げはしているものの35mmに比べて数は多く撮らないので、細々と続けられそうな気はしている。

現像薬品はrodinalとコダックのアナウンス後買い溜めたTmax developerがあるので、ひとまず困ることはない。
Xtolが手に入らなくなったのは残念だが、代替品を探すなどしてもうしばらく薬品の旅は続けるつもりでいる。

印画紙は早急に、2年分くらいは買い溜めをして様子を見ようと思っている
。今後の国内の印画紙事情を静観しつつ、35mmフィルムが尽きるまではひとまず印画紙を買って手焼きするという写真制作は続けるつもりだ。


35mmフィルムのストックが大量にあるので35mmカメラをメインで使い続けていくつもりだが、5年先くらいには徐々に大判の方へシフトしていきたいと考えている。
印画紙の入手が難しくなったり、コスト的に今のように使い続けることができなくなることを予想して、古典技法に着手しようと考えているためである。
コスト的には現段階ではまだ印画紙を買った方が安いレベルではあるが、今後値上げや入手難で海外輸入をせざるを得なくなってくれば、感光材を買って古典技法でプリントしてもトントン、技術的なことを考えれば古典技法の方がやる価値は上がる。
そうなると35mmでは撮っても引き伸ばせないので、大判で撮る必要がでてくる。


中判カメラは、ストラップを買って持ち出す準備を整えたものの、実はあまり使えていない。
35mmカメラに比べれば、どうやっても機動力が劣る。
というより、35mmカメラは機動力と画質のバランスという点で滅茶苦茶コスパがいい。充分すぎるのだ。
だから、わざわざ中判カメラを持ち出すことで増える荷物、落ちる機動力と得られる写真の品質を考えた時に、どうしても35mmカメラに勝てない。

とは言え、三脚を据えてストロボを焚いて撮るマクロの写真の品質は流石に35mmカメラには勝てないと思っている。
その一点のためだけで、まだ中判カメラを手放せないでいる。
なにかテーマになるようなマクロな被写体を見つけられれば、カメラもフィルムも無駄にならずに済むと思いつつも、まだ暫く出番は来そうにない。



自分の好きなフィルム写真の追及は、昨年度まででほとんど結果がまとまった。
今年は、どうすればフィルム写真を続けられるかを探究していく年になりそうだ。
自分の中でのフィルム写真の存在や価値が変わっていくかもしれない。

フィルム写真の技術的なノウハウの共有を目的に始めたnoteではあったが、あまり他人と同じことを書いても、という気持ちから王道な話題は避けつつ、そうするとコンスタントに取り上げるネタもなく…
結局、自分のフィルム写真との付き合い方のスタンスを軸に記事を書きがちで、一般論として共有できるものが少なく申し訳なさを感じてはいるものの、今年もフィルム写真は撮るし、ぼちぼちnoteの更新もする予定。
今後もお付き合いいただけると幸いです。




以下、行き場のない写真の供養。

フィルムで撮っても焼かずにお蔵入りになる写真を、デジタルで撮る事が増えた。
作品制作という気持ちはないが「カメラは持っていたいけど無駄にフィルムを使っても仕方がない」という気持ちから、デジタルを使うようになった。

ポケットサイズのコンデジとストロボがあれば、散歩や移動中のスナップには充分すぎる仕事をしてくれる。




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