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財前ぜんざい@オリジナル小説
2016年2月20日 02:27
寝苦しい暑さで目が覚めた。ふと時計に目を向けると、午前九時を回っていた。 額の汗を拭い、息をつく。十二時間以上も眠っていた。最近眠れていなかった分を、取り戻すかのように深く眠っていた。 暑さはともかく、頭の中は比較的すっきりしていた。ここ一週間では一番調子が良い。やはりたくさん眠ると、心も身体も楽になる。毎日こんな風に眠れたら、きっと私の健康状態は改善する。しかし、長時間眠ることが難しい
2016年2月12日 18:13
静けさに包まれる。胸の上に手を置くと、もう動悸は治まっていた。自分の身体なのに、なぜ自分の意思でコントロールできないのか。まるで誰かに身体を支配されているかのようだ。「俺の電話番号とメールアドレスを書いておいたから、何かあったらいつでも連絡して。夜中でも大丈夫だから。遠慮しなくていい」 リビングから彼の声がした。電話番号とメールアドレスという単語を聞いて、私は驚いた。どうして私に教えるの
2016年2月5日 23:04
テーブルの上を探る音が止むと、キッチンから食器が鳴る音がした。やがて水道から水が流れる音が聞こえ、彼が再び近づいて来る気配を感じた。「半分に割ったのがあったけど、一錠飲んだ方がいいんじゃないか?」 右手にコップを、左手に半錠に割った薬と一錠の薬を持った彼がいた。なんて気が利くのだ。私は別にそこまで求めていないのに。 彼の左手から一錠の薬を手に取り、彼の右手からコップをもらい、口へ流し