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来場者3万人超・福井のものづくりの祭典「RENEW」が大事にしてきたこと

人口4000人の小さなまちから、3日間で3.2万人が集う産業観光イベント「RENEW」はいかに生まれ、成長してきたのか?

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こんにちは、RENEW元事務局長・プロジェクトマネージャー(2021年3月末退任)の森一貴と申します。

このnoteでは、2015年に福井県鯖江市東部の人口4000人のまち「河和田(かわだ)」から始まった、年に一度のものづくりイベントRENEW(リニュー)が、3日間の会期で来場者数3.2万人(2020年度実績)が集う、国内最大級の産業観光イベントにまで成長してきた軌跡と、私たちが大切にしてきたことを振り返り、まとめてみたいと思います。

私たち自身もまだまだ完璧ではありませんが、本記事を通じて「ものづくり」や「まちづくり」といった領域で、私たちはなにを大事にし、なにをしていけばよいのか、ということを、少しでもお伝えできたら嬉しく思います。

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※開催日程などについては公式サイトを御覧ください。 https://renew-fukui.com/

※壮大な文章になってしまいました。全てをお読みいただける方は、ぜひ十分なお時間を。そうでない方は目次から、みなさんにとって必要なところをピックアップしながらお読みいただけたら嬉しいです。

1. RENEWとはなにか?:持続可能な地域づくりを目指す工房一斉開放イベント

「RENEW(リニュー)」は、福井県鯖江市・越前市・越前町(丹南エリア)を舞台に年に一度だけ開催される、「持続可能な地域づくり」を目指す工房一斉開放イベントです。2015年から始まり、2020年で6回目を迎えました。

1-1. RENEWの開催地・福井県丹南エリア:7つの地場産業が集積

RENEWのことを説明する前に、RENEWの開催地である、福井県の丹南エリアの産業について簡単に紹介させてください。

RENEWが開催される福井県鯖江市・越前市・越前町(一般にここに池田町・南越前町を加えて「丹南(たんなん)地区」と呼ばれています)は、越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼、およびメガネに繊維と、7つの地場産業が根付いています

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丹南地区だけで、メガネフレームの国内生産のシェアは約96%、越前漆器は業務用漆器(旅館や料亭で出てくる蓋付きのお椀など)の国内シェアは8割。和紙は日本で唯一の「紙の神様」を祀った大瀧神社・岡太神社を有するなど、それぞれの産業が、それぞれに厚みある歴史を積み重ねてきました。

これら7つの地場産業は、半径10km以内、およそ車で約40分の円の中に集積しています。これほど密度が高く多様な産業が集積する地域は全国的にも稀なことから、福井県丹南エリアは「ものづくりのまち」として知られています。

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そんな丹南地区では近年、新たな店舗やギャラリーの出店が相次いでいます。その他にも通年で工房見学を楽しめる施設も開設され、就職者・移住者も増加するなど、この町の景色は少しずつですが、しかし着実に、変わってきています。

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(ここ数年で開業した店舗。上・漆琳堂、下・ataW

1-2. RENEWの風景:職人とともに工房見学やワークショップを楽しめる

そんなまちで、1年に3日間だけ、70社以上の工房を一斉開放する産業観光イベントがRENEWです。

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訪れた人々は、工房見学やワークショップ、ショッピングなどを通じて職人さんたちとお話をしながら、私たちが普段使っているモノの裏に、どんな顔の人が、どんな場所で、どんな技術で、どんな想いをもってものづくりに関わっているのかを体感することができます。

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工房見学だけではなく、マーケットやトークイベントなども同時開催。

RENEWを通じて、「ものづくり」をまるごと体感できるようなイベントになっています。

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実際の風景については、以下のRENEW2018の動画をご覧になってみてください。

私たちはよく、RENEWを通じて、「訪れた人に、このまちのファンになってほしい」と言います。見て、知って、体感してもらうのはもちろんのこと、このまちの職人さんたちと、友だちになっていってほしい。また来年も来ますね、と言葉を交わしてほしい。

私たちはそんなことを思いながら、毎年RENEWに取り組んでいます。

1-3. RENEWのコンセプト:来たれ若人、ものづくりのまちへ

RENEWのビジョンは「持続可能な地域をつくる」こと。

しかしこのビジョンは言葉が大きく、具体的なアプローチが曖昧になりがちです。そこで私たちは、コンセプトを以下のように具体化しました。

「来たれ若人、ものづくりのまちへ」('17〜'19)
「共につくろう、変わりつづけるものづくりのまちを」('20〜)

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「来たれ若人、ものづくりのまちへ」に関して、少し説明しておきます。

ディレクターの新山さんはよく、「RENEWはものづくりの人たちにとっての、甲子園のような場でありたい」と言います。後継ぎや職人としての移住者など、ものづくりを志す若者が、継続的に訪れ続けるまちであること。それが「持続可能な地域」の具体的な景観であると私たちは考えているのです。

加えて、「来たれ」と呼びかけているのは、ものづくりの人々だけではありません。カフェをやりたい人、ゲストハウスをやりたい人、お店をやりたい人、あるいは全く関係のない人々…。多様な人々がまちに行き交い、多様な変化が起こる。

そんな未来が、「持続可能な」未来なのではないでしょうか。

(※そんな「じゃない人」について、先日記事にしていただきました↓)

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2. RENEWのこれまで

2-1. RENEWが始まった経緯:「欲しい未来は、自分たちでつくろう」

RENEWがはじまった場所は、福井県鯖江市東部・人口約4000人の河和田(かわだ)という地区。約200ほどの越前漆器の工房が集積し、「うるしの里」と呼ばれています。

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このまちで2015年、河和田に住む谷口眼鏡の社長・谷口康彦さんと、そこへ移住してきたデザイン事務所TSUGI代表の新山直広さんとが出会ったことが、RENEWが始まるきっかけになりました。

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(鯖江市河和田地区。三方を山に囲まれた、人口約4000人の小さなまちです。撮影 @cityflaneurs

谷口さんは、眼鏡の企画・製造を行う谷口眼鏡の二代目として、長らく河和田地区に根をはってきた、いわば「土の人」。

RENEWがはじまる以前には、河和田地区の区長会長という立場を担ったこともあります(一年ごとの持ち回りですが、旧河和田町の9つの「区」を束ねる、いわば「村長」です)。この区長会長の経験が「どうしたらこのまちを元気にできるだろうか?」という意識に繋がり、谷口さんは地域の若手経営者が集い、まちの未来を探る「かわだとびら」を創設するなど、まちの持続的な未来のために自主的な活動を続けてきました。

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(谷口眼鏡・谷口康彦さん。 撮影:ミネシンゴ)

一方新山さんは、「福井豪雨」という2004年に起きた豪雨災害を機に始まった復興アートプロジェクト「河和田アートキャンプ」への参加をきっかけに河和田に縁ができ、2009年に鯖江市河和田に移住。

その後新山さんは、仕事の縁で、偶然漆器の産業調査を行う機会を得ます。目の当たりにしたのは、漆器産業の厳しい現実でした。

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ピークだった1980年代から2012年のたった30年ほどの間に、漆器産業は30年間の間に、出荷額・従業者数とも約1/3にまで減少しているのです。

一方で、新山さんのまわりにも徐々に職人として移住する仲間が増えるなか、よく話題にあがったのがこんな話だったといいます。

「20年、30年、あるいは50年先にも、このまちに産業は残っているのだろうか?」

そんな危機感のなか、新山さんは地域の人々と関わりながら「このまちに必要なのは、デザインだ」と感じ始めます。そこで新山さんは独学でデザインをまなび、2015年にデザイン事務所TSUGIを法人化しました。

掲げたビジョンは「創造的な産地をつくる」。新山さんは、産地の人々がクリエイティビティをもち、自分たち自身で変化を起こしていくことを、会社のビジョンに掲げています。

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(TSUGI。新山直広さんは左から3番目。)

さて、TSUGIを運営するなかで新山さんが思いついたのが、「工房を開放する」というアイデアでした。

「このまちの強みは、漆器や眼鏡の工房が集積していること。ならば実際に産地に来てもらい、職人と出会ってもらえば、ものづくりの価値は必ず伝わるはずだ

こうしてある日、外からの目線とアイディアを持つ新山さんと、河和田に根を下ろし、まちの未来を描いてきた谷口さんとが出会いました。

谷口さんは新山さんのアイディアを聞いて、「これを絶対に形にしたい」と即座に思ったそう。こうして始まったのが「RENEW」だったのです。

02_谷口と新山の出会い

「待っていても、スーパーマンは来ない。欲しい未来は、自分たちでつくろう」

当時、谷口さんと新山さんは、こんな会話を交わしていたといいます。

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こうした産地にいる人々の思いをベースにはじまったRENEWですが、はじめから順風満帆だったわけではありません。

2015年当時は産業観光のようなコンセプトも広く知られていない中、また新しいイベントをつくるのか、こんなまちに人なんて来るはずない、という声もあったといいます。

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(RENEWの記念すべき第一回目の会議。新山さんは地域の社長らを前に構想を語りましたが、当時は「冷や汗がとまらなかった」と回想します)

谷口さんや新山さんらは「まずは試しに一回やってみましょう」と、自分たち自身で地域の工房に足繁く通いました。そしてやっと集まった21社と取り組んだのが、第一回目のRENEWだったのです。

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運営は3年目まで、完全にボランティアでした(さらに言えば、RENEWの運営事務局だった私(森)は当時TSUGIにバイトとして雇われていた身で、TSUGIとしては完全なる赤字でした)。

こうした予算がない中でも、若手職人の移住者らが中心になり、展示什器の制作や当日設営を次々とDIYで実現させていく様子は、「ものづくりのまち」ならではだな、と感じたのをよく覚えています。また同時に、内側にデザイナーがいる(=予算がないなか、手弁当でデザインを担える)という環境もまた、「まずはやってみる」なかで価値を生み出していくスタートダッシュ時期においては、とても重要な要素だったのではないかと思います。

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初年度の予算に関しては、出展者の出展料や協賛金を中心に運営。出展者21社に対し初年度予算は76万円で、予算のほとんどは、印刷費や材料費に消えました。

そんな手づくりイベントながら、初回・2015年10月31日は私たちにとって、記念すべき日になりました。

普段は全く人のいないまちに若い人々が集い、気づけばこのまちに、これまでに見ることのなかった景色が広がっていたのです。

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当時の来場者数はおよそ1200人(実数予測値)。決して大きな数字ではなかったと思いますが、なによりも大きな意義は、このまちの人々と「描きたい未来の景色を共有できた」ことだったのではないかと私は思っています(詳細は後述します)。

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RENEWは徐々に実を結び、2017年には中川政七商店と共催で「RENEW×大日本市博覧会」を開催。ハンドメイドマーケットcreemaによる「creema craft caravan」も同時開催されるなど、出展者85社、来場者数延べ4万2000人を記録しました。

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2017年のRENEW×大日本市博覧会をきっかけに、RENEWはエリアを鯖江市河和田地区から丹南エリア全体に拡大。鯖江市河和田地区だけではなく、越前市(和紙、箪笥や刃物)、鯖江市の神明地区(眼鏡)など、丹南エリアのものづくり事業者も広く参加するイベントになっていきました。

同時に来場者数も大きく増加。2017年には鯖江市・越前市のホテルがどこも空いていない!という、嬉しい悲鳴もありました。

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このようにして紆余曲折を経て挑戦を繰り返してきたRENEWですが、2020年度はコロナ禍が日本中に拡大。RENEWも当然、難しい局面に立たされました。

それでも私たちは、悩みながらもRENEWの現地開催を敢行。

そこで掲げたのが「くたばってたまるか」というフレーズです。

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もちろん、開催には大きなリスクがありました。それでも決行を決めたのは、「ここに、ファイティングポーズを取り続けている人がいるんだ」ということを伝えたかったからです。

産業観光イベントは行政の支援が入っていることが多く(RENEWも決して例外ではありませんが)、民間でも様々なイベントが中止になるなか、ましてリスクを取ることが難しい行政主導のもとでは、2020年度はほぼ全ての産業観光イベントが「中止」という選択を取らざるを得ない状況でした。

しかし、全国のものづくり事業者が大きな打撃を受けている今だからこそ、コロナ禍でも前を向き続けている人たちがいるのだ、というメッセージを、産地の内側にも、日本全国のものづくり産地にも届けなくてはいけないのではないか。

そして私たち自身にとっても、覚悟を持って前を向こうとする、そのためのフレーズが「くたばってたまるか」だったのです。

結果、76社の出展社がともに連帯を表明してくれ、無事に感染者を一人も出すことなく、延べ約32,000人の来場者に訪れていただくことができました。

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コロナ禍でのRENEWを終えて、RENEWに関わる人々の声を残した動画を以下に掲載しておきます。

「多くのイベントが中止をする中で、『私たちはがんばるぞ』というメッセージをあげられたと思うんですね。そういうメッセージが、日本中の本当はやりたいんだけど、という方々が自分たちのやりたいイベントをやっていこうという"勇気"につながってくれるといいなと思います
――RENEW実行委員長 谷口康彦

(コロナ禍での様子は以下を参照。)

2-2. RENEWの実績:3日間で約70〜80の出展、約30,000人の来場

こうして紆余曲折を経ながらも、2015年より6回の開催を数えるRENEW(※本記事は2021年5月執筆)。そのこれまでを数字で振り返ってみます。

来場者数推移_2020

2015年当時は出店者数21社、来場者も約1200人と、小さなローカルイベントのひとつに過ぎなかったRENEW。しかし2017年の来場者数・4.2万人をピークに、2020年度実績でも出店者数76社・来場者数延べ3.2万人を数え、多くの方に訪れていただけるイベントに育ちました(※2015,2016年度の来場者数は実数推測値、2017年度以降は延べ人数となっていることに注意)。

さらに、私が一番嬉しいなと思っているのは、2015年よりおよそ5年間で、地域内に新たな店舗や宿、工房が30社増加したこと。まちの人々と一緒になって、まちを作っていこうという空気感が生まれてきたように思います。

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少なくともRENEWを直接のきっかけにして、およそ10名が就職。移住者も次々に増加しているほか、RENEWをきっかけに、会社全体のリブランディングや、産地を超えたコラボレーションなどもスタートしています。

上記のような実績を評価いただき、これまでに国交省・地域づくり表彰 国土交通大臣賞(最優秀賞・2020年)、総務省・ふるさとづくり大賞 総務大臣表彰(2019年)、地域活性化支援センター・ふるさとイベント大賞 優秀賞(2019年)、グッドデザイン賞受賞(2019年)といった、数々の賞をいただきました。

本当に、産地にいる方々それぞれがともに手をとりあったことで、初めて獲得できた賞だと思います。みなさん、いつもありがとうございます。

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2-3. RENEWの体制:内外が支え合う

RENEWは私たち地域の事業者らが、任意団体「RENEW実行委員会」を構成して取り組んでいます。

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(2020年度のおおまかな体制図)

実行委員長・谷口康彦さんおよび副実行委員長は、地元に長らく根ざしてきた地域事業者の社長陣。

ディレクションはTSUGIの新山直広さんが担い、とりわけクリエイティブ領域では、TSUGIに在籍するデザイナーをはじめ、カメラマンやWEBデザイナーなど、県内のクリエイター陣とともにRENEWを支えています。

RENEWの実働は「RENEW事務局」が担っています。2020年度時点では事務局長(私・森)をトップに、およそ5月頃から11月頃まで稼働してくれるスタッフ(3名・2020年度)や1ヶ月〜3ヶ月程度の範囲で在籍してくれるインターン(4名・2020年度)が集いました。事務局長の私は2018年度から2020年度末まで、鯖江市の「地域おこし協力隊」の制度を活用して報酬を担保。その他スタッフやインターンは、移住者や大学生が多く携わってくれています。

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(幹部チーム。左から、チーフデザイナー・寺田千夏、副実行委員長・瀧英晃、実行委員長・谷口康彦、副実行委員長・内田徹、ディレクター・新山直広、事務局長・森一貴。いずれも肩書は2020年度)

3. RENEWが大事にしていること

3. 大事にしていること① 役割の多様性をつくる

さて、ここまでRENEWの概要、コンセプト、経緯、実績、体制について述べてきました。色々な人に支えてもらいながら、例年約70〜80の出展、および約30,000人の来場者に訪れていただけるまでに大きくなってきたRENEW。

これ以降の章では、RENEWが大事にしてきたことについて、ご紹介したいと思います。

私の主観であり、かつ本質的には無数の要素が絡み合っていることを重々承知しつつも、RENEWは大きく、3つのことを大事にしてきたのではないかと考えています。

一点目は「役割の多様性をつくる」(第3章)。
二点目は「『わたし』から始める」(第4章)。
三点目は「地域のエンパワメント」(第5章)。

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まず一点目は、「役割の多様性をつくる」。説明のため、上記2-3で述べた「体制」を再掲します。

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RENEWの体制上、特に重要な点は幹部組織における「地域」「クリエイティブ」「事務局」が担うそれぞれの役割の違いにあると私は考えています。ざっと整理すると、以下のようになります。

【役割の違い】
・正副実行委員長:
地域連携
・クリエイティブ:クリエイティブ=発信、域外連携
・事務局:ロジカル=マネジメント、人材調達

上記は、こんな風にも再整理できるかもしれません。

[ はじめる人―ささえる人―まとめる人 ]

実行委員長・谷口さんは現在、福井県眼鏡協会のトップをつとめるなど、実行委員長および副実行委員長は、地域産業の中で一定の役割を担っています。このことから、地域の人々に思いを伝え、一緒に協力してくれるよう巻き込んでいく「ささえる」役割を担っています(もちろん、最も前提の部分として「地域でものづくりに取り組む当事者としての視点」は、なにより欠かせないものだということを付記しておきます)。

つづいて、ディレクター新山さんはまさにRENEWでは「旗を振る人=はじめる」役割を担っています。また、新山さんおよび新山さんが代表を務めるTSUGIは、鯖江市河和田地区に拠点を構えるデザインファームとして「つたえる」役回りを一貫して請け負っているのも特徴でしょう(デザインの重要性を理解し、見え方をコントロールできる人材が内部にいることは、想像以上に大きなインパクトがあります)。また、県外のクリエイティブチームとのつながりも多いため、「まち/ひと/しごと」(後述)に見るように、全国各地のクリエイターとRENEWを「つなぐ」役割も担っています。

事務局では、私・森一貴が元々コンサルティングファームを出自としており、プロジェクトマネージャーとして「まとめる」役割を担ってきました。加えて、シェアハウスの運営や移住者支援などに取り組んできた立場から、毎年の事務局やインターンの募集など、RENEWおよび産地を支える人材を「あつめる」役割もまた担っています。

上記を整理すると、以下のようになるでしょうか。

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これまでRENEWに5年以上にわたり取り組んできた実感として、私は「はじめるためのスキルと維持する(まとめる)スキルは、全く異なる」と感じています。

「はじめる人」がそのまま「まとめる人」に変わっていくこと、両方担うことは相当難しい。だからこそ、チームを組む上では「はじめる-ささえる-まとめる」といった、異なる役割を担い、補い合える組織編成が重要なのではないでしょうか。

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もうひとつ重要な点は、私たちの「目指す地域像」自体に多様性があるということです。幹部体それぞれが、異なる、しかしどこかで相重なる地域像を志ざしており、その共通解が「持続可能な地域」なのだと認識しています。

例えば実行委員長・谷口は、地域に長らく根ざしてきたバックグラウンドから、「企業を超えて、産業、地域へ」という感覚を持っており、RENEWを足がかりに、持続可能な地域像として「福祉、教育、まちづくり」といった領域への関心を携えています。ディレクター・新山は「創造的な産地をつくる」を掲げ、熱量とクリエイティビティを育むことで、産地の人々自らがアクションを起こし変化していく産地を描いています。一方、事務局長・森は「自由と寛容」を掲げ、多様性や余白というワードに共感しながら、地域に多様な人々が行き交い、多様な生き方を選んでいけるフィールドとしての地域に関心を寄せています。

【目指す地域像の多様性】
1)地域コミュニティの充実:福祉、教育、まちづくり
2)創造性:クリエイティビティ、熱意、自発性
3)多様性:自由、寛容、多様性

それぞれの意志が重なりあい、刺激しあい、かつ尊重しあうなかから、例えば私のシェアハウスに訪れたフリーランスが、新たに店舗開設に踏み切った事業所の店舗運営を支えていく……といったような新しいエコシステムも、少しずつ萌芽が見えつつあります。

――それ以外にも私たちは、例えば「外の人と中の人」「デザイナー、地域事業者、コンサルタント」「地域事業者、学生、フリーランス」といったような様々な切り口において、多様性をなるべく担保するチーム編成をとっています。鶴見和子も「内発的発展論」で、地域の可能性について以下のように述べています。

「地域とは、定住者と漂白者と一時漂白者とかが、相互作用することによって、新しい共通の紐帯を創り出す可能性をもった場所である」(鶴見和子「内発的発展論の系譜」『内発的発展論』東京大学出版会、1989年、53頁)

もちろん結果的にそうなったのですが(それはまた、私が「多様性」を重視したいと考えているせいかもしれませんが)、こうした全く異なるバックグラウンドを携える登場人物同士が協働しあい、異なる役割、異なる思想が屹立しあってこそ、想像もしていなかったような、新しい未来が拓かれていくのではないでしょうか。

4. 大事にしていること② 「わたし」から始める

4,5章は重複もややありつつ、4章が「ビジョンを共有し、"RENEWを"ともにつくるという視点であるのに対し、5章は「自分自身で、"自分たちが暮らす地域を"つくる背中を後押しする」という視点でやや異なります。これを踏まえて、以下を説明していきます。

4-1. 「わたし」から始める

大事にしていることの2点目は「『わたし』から始める」。これは文字通り、RENEWが、行政や外圧=外発的動機から始まったのではなく、産地の内側に住む「私たち」の内発的動機から始めることが重要だった、という意味です。

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「内側から始まる」ことは、言葉にするまでもなく当たり前のように感じる人も多いでしょう。しかし「まちづくり」に分類される取り組みの多くは、行政主導であったり、はじめから補助金をアテにして(補助金があることを前提にして)始まったものがあったりと、ある取り組みが外圧を起点にしているケースは、決して少なくありません。

この点においてRENEWは、あくまで産地の内側、自分たちのまちへの、自分たち自身の危機感から、私たちの手で始まったイベント。上記に述べたように、RENEWが始まるきっかけになったのは「30年、50年後にも、私が暮らす/働くこのまちが残っていてほしい」という、素朴な、しかし地域に住む人々の、自分自身の思いと確かに紐付いた意志があったからです。

そしてそこにRENEWというアイディアが生まれて、谷口さんや新山さんら自身がまちの人々の工房へ足を運び、想いや描きたい未来を伝えながら、自分自身の身を削りながら、第一回目のRENEWを立ち上げてきました。

今では自主財源のみによる運営は難しく、行政予算を頂戴しているものの、いまだ産地の内側には、「予算がなくたって、これは自分たちがやるべきことなんだ」という熱量があります。そしてだからこそRENEWは生まれ、そして今日にわたるまで続いているのではないか、と思うのです。

RENEWの講演をすると、「どうやったらRENEWのようなイベント/プロジェクトはつくれるのでしょうか?」としばしば質問を受けます。

答えは簡単で、誰かが(あなたが)覚悟をもって、やること。それだけですと、いつもお答えしています。"パソコンの父"アラン・ケイも、こんな言葉を残しています。

「未来を予測する最良の方法は、つくりだすことだ」―アラン・ケイ("The best way to predict the future is to create it."--Alan Kay)

4-2. 「わたし」から「わたしたち」へ

さて、これは走り出してから3,4年目以降の話になるかもしれませんが、「わたし」から始まったRENEWでは、いかにして"わたし"を"わたしたち"に広げていったのでしょうか?

言い換えれば、プロジェクトは、はじめは数人の熱量からはじまるものです。その後私たちは、ビジョンをどのように広げ、どのように人びとを巻き込んでいけばよいのでしょうか。

プロジェクトやイベントごとは、どうしてもそこに「主催者」と「出展者」のような(あるいは「主催者」と「来場者」のような)対立構造が生まれてしまいがちです。"わたしたち"になっていくためには、この境界を溶かしていくこと(私はこれを「主客の融解」と呼んでいます)が極めて重要です。

その具体的なアクションとして、はじめは"全員"から賛同が得られなくとも、ともに未来を見てくれる仲間たちとともに、小さくはじめてみること。そして、「ともにその景色を見ること」がキーになるのではないでしょうか。

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RENEW第一回目は、準備期間も短い手づくりのイベントで、来場者数も1200人ほどでした。しかし、ここでの力点は「ともにその景色を見た」ことにあったと私は思います。

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(いずれも2015年、RENEW第一回目の様子)

「あの広いうるしの里会館の駐車場が、車でいっぱいになっている!」
「うちの小さな工房に、こんなにたくさん人が来てくれている!」

ビジョンを決めよう、とよく言いますが、「ビジョン」は言葉である以前に、何よりもまずやはり"景色(VISION)"なのではないでしょうか。

ビジョンを産地の人々に共有したくても、言葉でいくら「持続可能な地域をつくりたいのだ」と伝えたところで、実感として理解することは難しい。しかし、それが実際の「景色」として見ることができたら、どうでしょうか。

第一回目のRENEWとはまさに、「こんな未来の景色をつくりたいのだ」というビジョンを最小サイズで実現し、"ともに見る"体験だったのだと思います(ベンチャー的な言葉を使えば、いわゆるMVP=Minimum Viable Product、だと言ってもいいのかもしれません)。

こうしてともに描きたい未来の景色を、小さくとも"見て"、"共有する"ことで、「その未来なら共感できる、その未来なら一緒に実現したい」と言ってくれる人がじわじわと増えていく。こうして、「わたし」は「わたしたち」へと、少しずつその輪を広げていくことができるのではないでしょうか。

4-3.  「わたしたち」の裾野を広げる:あかまる隊

RENEWではさらに、「わたしたち」の裾野を広げることにも取り組んでいます。そのひとつの実践として「あかまる隊」の取り組みについてシェアします。

「あかまる隊」は、2020年に設立された、産地とRENEWのサポーターチーム。県内外30名程度(2020年度時点)、学生から社会人まで幅広い隊員が参加し、隊員それぞれの思いを基点にSNSの更新や産地ツアー、職人とのオンライン飲み会などを通じて、産地と新しい関係性をつむいでいます。

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あかまる隊はもともと、産地やRENEWに関わっていくための「窓口」をつくろう、という動機から始まったチームです。

RENEWはリピーター率が高く、アンケート結果(2020年度)によれば、来場者のおよそ1/3がRENEWに複数回参加してくださっています。

ならば、来場者の中には、もっと産地やRENEWに関わりたいと思ってくださっている人がいるのではないだろうか?そんな仮説から、「RENEW主催者」と「RENEW来場者」という主客の二項対立を融解させ、来場者にも産地をともに盛り上げる「仲間」になってほしい。産地やRENEWにグラデーションある関わり方をつくっていきたい。そんな思いのもと生まれたのが「あかまる隊」です。

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あかまる隊の創設には、RENEWを開催している私たちなりの課題もありました。

ひとつめは、RENEW事務局はその多くが学生インターンなど入れ替わりが激しく、ナレッジの蓄積・共有に大きなコストがかかってしまっていたこと。年度ごとに事務局が入れ替わるのではなく、あかまる隊の隊員のなかから、長期的に伴走してくれる仲間が増えてくれたらいいな……と考えていました。

もうひとつ重要なことは、私たちRENEW事務局が、RENEWが近づくとそれにリソースを全て投入してしまい、余白や遊びのあるプロジェクトを実施する余裕がないということ。

持続可能なエコシステムを築いていくためには、一緒につながったり、遊んだり、飲んだりといった、目の前の成果につながるかよくわからないアクションは不可欠だと私は考えています(これを私は、さまよう=wanderという言葉を用いて「ワンダリング wandering」と呼んでいます。クランボルツの偶発性理論とも近いでしょうか)。

あかまる隊は、個々人の「おもしろがる」気持ちをベースに駆動する組織。産地との新しい関係性を育み、私たちRENEW事務局が思いもよらなかったような波紋を広げていってほしい。あるいはこれはまた、産地の中の人たちにとっても、これまでに全く出会ったことのないような人々と出会い、新たな知見につながる(「なじみからの切断」)という利益もあるはずです。その意味で、あかまる隊は非常に重要な役割を担っているのです(あかまる隊のみなさんへ:気に負う必要はありません!笑)。

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あかまる隊は県外の参加者も多いため(もちろん、コロナ禍という状況もありますが)、主にオンラインでMTGを実施。

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自主的に産地ツアーを実施したり、Instagramなどでのオンライン工房見学プロジェクトに携わってもらったりと、多様な活動に取り組んでくれています。

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あかまる隊がスタートして1年。あかまる隊をきっかけに、私が運営するシェアハウスに移住した方がいたり、RENEWの事務局側に参画する人があらわれたり、RENEWの参加企業で働く人が出てきたりと、実際に少しずつ少しずつ、変化が生まれています。

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RENEW/産地を取り巻く環境は、たくさんの関係性の余白を備えています。

そこでRENEWが外と内をつなぐ窓口となって、「わたしとあなた」から、主客を溶かしあい、「わたしたち」へと関係性を変容させていく。そして、それぞれが思い描く未来を形にしながら、波紋を起こし、その波同士が強めあって、新しい絵柄が生まれていけばいいなと思っています。

そんな未来は実は、RENEWのビジュアルイメージにもこめられた願いでもあります。

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(RENEWのビジュアルイメージ。漆器や眼鏡から引用した赤い円をモチーフに、地域内外から集う多様な人々が重なり合いながら、ひとつの模様を形成していく未来像を可視化したデザインです。)

※あかまる隊へのご参加に興味のある方は、RENEWのInstagramtwitterより、DMなどでご連絡ください。

4-4. 火種をはぐくむ:行政/外部との関係性、および外部の人々は、どんな目的を持って地域へ関わるべきか?

「わたし」から始める、というフレーズを「民間と行政」、あるいは「地域の内と外」、という構造で捉えて直してみると、RENEWは行政主導/外部主導ではなく「民間主導」だ、という言い方をすることもできるでしょう。

この「自分たち自身で未来を描き実現する民間と、それを支えてくれる行政」という主従関係の重要性について(そしてRENEWと行政の関係性について)、ここで触れておきたいと思います。

行政や外部の人々が、予算や補助金をもって内側の人に動いてもらう(外部の人々が主導し、それに牽引される地域/民間)という構図では、継続的で発展的なプロジェクトは生まれづらいのではないかと私は思います。

地域にあたたかい目を向け続けた民俗学者・宮本常一も、下記を鋭く指摘しています。

「誰かがやってくれるという意識だけがそこにある。それが振興だと考えている。これは観光を中心にした町のひとつの悲劇ではないでしょうか」宮本常一『日本人のくらしと文化 炉辺夜話』河出文庫、2013年、159頁

これは、炭火をおこす、という行為とアナロジーで捉えてみるとわかりやすいように思います。

炭がないのに、外側からいくらマッチを投げ入れたところで、火はつきません。しかし炭があれば、火はつきます。いわんや、炭の中に火種があるのなら、マッチさえいらないのです。

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(RENEWの写真の中に焚き火の写真がありました!和紙の里・今立地区の、紙の神様を祀る神事。)

とはいえお読みの方々の中には、行政の方や都市圏のデザイナーの方々のように、実際の現場に住んでいるわけではないのだけれども、そのまちに変化を起こしたい、元気になってほしい、という方もいらっしゃるでしょう。こうしたケースで、私たちは一体どのように振る舞うべきでしょうか?(私自身が移住者として、そういう感覚を抱えてきました)

地域の外側の方が関わるケースでは、「その人がいなくても回る環境」をつくること(=脱属人化)が、最も重要な評価指標になると私は考えます。

つまり炭火の例でいえば、「炭と火種をつくること(そして、継続的に炭がくべられる状況をつくること)」こそが、外側にいる方の仕事です。そしてその人の仕事は、これができたかどうかで評価されるべきだと私は考えます。

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私もRENEWのプロジェクトマネージャーとして、常にこのことを意識してきたつもりです。

しばしば、私たちは「あなたはかけがえのない人だ」「あなたの代わりなんていない」という言葉を、嬉しく感じてしまうものです。しかし私たちが"外部の人"である限りは、その言葉をそのまま受け入れてはいけない。本当の意味での継続・発展を考えるなら、外部の私たちはむしろ「私がいなくても大丈夫」であるためにこそ、全力を尽くすべきです(もちろん、自身が産地の内側で火種になろうとするならば話は別です)。

*

さて、民間主導とはいいながらも、RENEWを語るうえでは行政の方々への感謝に触れないわけにはいきません。

RENEWは開催範囲が鯖江市・越前市・越前町の三市町にまたがっていることもあり、行政との連携という視点では福井県・鯖江市(以上、特別協力 2020年度)、越前市、越前町(以上、協力 2020年度)から、広く協力を得て運営されています。協力は予算面での支援だけでなく、バスの運行にかかる協力や警備事業者との連携、広報面での協力、コロナ禍での開催においては三密を避けるための支援など、広い範囲にわたります。

行政、とりわけ鯖江市の方々と関わっていて、本当にありがたいのが以下の2点です。

ひとつめは、「できない理由ではなく、やる方法をともに考えてくれること」

例えば、RENEWは行政単位を超えて連携しているために、ある事業が、複数の自治体にまたがって実施されることは日常茶飯事です。こうなると「どこまでの予算がウチの範囲か正確にわからないと協力できない」という状況に陥りがちです。しかしRENEWに関わってくれる自治体は、そういった状況がありつつも、どうやってできるかをともに考えてくれる。私たちと同じ側にたって、実現に向けてアクションをとってくれるのです。

もうひとつは、「私たちが抜けてしまいそうなポイント、弱いポイントを支えてくれること」

例えば、バスや警備、コロナ対策といった領域は、私たちのような民間アプローチでは、しばしば手が回らなかったり、細かい部分が漏れてしまったりしていることも少なくありません。ここで鯖江市は直前設営の人手不足になる時期にバス停の設置を請け負ってくれたり、交通事業者との間のつなぎを担ってくれたり、RENEW当日も現場に来て、コロナ対策のためにこういう部分を気をつけてほしいと伝えてくれたりと、私たちがRENEWを実現するうえで、思わず漏れてしまいそうになるポイントを見守り、支えてくれています。

民間のアクションに対して「それを監視し制限する行政」ではなく、「ともに実現するための、異なる役割を担う主体」として、私たちと同じ側に立ってくれる。これが、私たちが本当にありがたいと感じている点です。

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このような態度で私たちと戦ってくれるからこそ、私たちも安心して、思いっきりチャレンジができる。その環境がなかったら、できなかったこともいっぱいあっただろうと思うのです。

「前例のないことにチャレンジするのは本当に大変ですよ。成功は保障されませんからね。リスクやハレーションも当然つきものなので、それも覚悟しておかなければいけない。行政の場合はどんな小さいことでも責任を取るのが首長の役割。」――前鯖江市長・牧野百男(LIFULL STORIES「“ゆるい”取り組みでは地方創生はできない、なんてない。」 2021年5月27日確認)

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(RENEWにて、鯖江市長とのトークイベント)

加えて、最近は福井県庁も「一緒に面白がってくれる」仲間になってくれつつあります。近年、福井県庁は「現場主義」を打ち出し、2020年には短期間ではありましたが、県庁の職員3名がRENEWにインターン。

私たちとしても非常に助かりましたし、同時に県庁の人々にとっても、民間の働き方を肌身で体感し、それを県庁にフィードバックすることで、県庁が現在推進するDX等にも、多少は貢献できたのではないかと思います。

(実際、事務所がなく、固定電話を持たず、紙もなく、slack、dropbox、google document、zoomなどのオンラインツールを多用する仕事環境は、私たちにとっては今や当たり前でも、インターンに来てくださった行政職員の方々にとっては相当異文化だったと聞きます。こうした異なる文化にあえて飛び込み、自分の常識の枠組みを変容させていこうとする方々に、敬意を評したいと思います)

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(準備期間中から当日にかけてインターンしてくださった県庁の若手職員)

皆様、毎年本当にありがとうございます。簡単ではありますが、ここに感謝を述べておきたいと思います。

5. 大事にしていること③ 地域のエンパワメント

大事にしていることの最後に、「地域のエンパワメント」について述べます。

5-1. RENEWのアプローチ:内と外に向かう2つの車輪

まず、ここで前提として、RENEWの「アプローチ」についてご紹介しておきましょう。RENEWでは、アウターブランディングとインナーブランディング、2つの方向のブランディングを大事にしています。

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「アウターブランディング」は、わかりやすいですよね。

RENEWが開催される丹南エリアは、下請け産業が多いのが特徴。例えば漆器を例にとってみると、漆器をつくる人がいて、あいだに卸業者が入り、旅館に販売され、料理を盛られて……、こうしてやっと、はじめて使う人の手にわたります。

そのため、越前漆器を使っている人も、それを「越前漆器」だとわからずに使っていることが、とても多いのです(業務用漆器=旅館や割烹料理で出てくる漆器などは、越前漆器が8割以上のシェアを占めています。つまり、ほぼ皆さん、人生で一度は越前漆器を使ったことがあるはずなのです。しかし皆さんも「越前漆器」という名前は、ほとんど聞いたことはないのではないでしょうか)。

こうした、作り手と使い手が断絶されている環境だからこそ、実際にモノを生み出す産地に来てもらい、一体どんな顔の職人が、どんな思い、どんな技術を使って、どんな空間の中でものづくりをしているのかを感じてもらう

これによって、「越前漆器」といった産業を知ってもらい、職人を知ってもらい、産地/産業のファンになっていただくこと。

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これがRENEWが目指す「アウターブランディング」=消費者の方々に、産地/産業のファンになってもらうことを目指すアプローチです。

5-2. インナーブランディングと地域のエンパワメント

一方で、普段表には出てきませんが、実はとても重要なのが「インナーブランディング」の考え方です。インナーブランディングとは「地域の内側の人々=私たち職人」に対する、内側へのブランディングのこと。

上述したように私たちの産地は下請け産業が多く、産地の人々は消費者の方の顔を意識する機会は多くはありません(でした)。それゆえに、「魅せる」、「伝える」ということに意識が向きにくい状況に陥りやすいように思います。

しかしRENEWでは、たくさんの来場者が私たちの産地・工房に訪れてくれます。実際のお客様がモノを手に取り、かわいいとか、素敵だとか、あるいは工房を見て、すごい、楽しいという声を伝えてくれる。こんなに私たち産地の人々を鼓舞してくれる言葉はありません。

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RENEWをやるまで、実は職人さんらのなかには「こんな小さくて散らかった工房に、人なんてくるわけないだろう」と言う人も少なくありませんでした。

しかしRENEWによってたくさんの人々が訪れて、声を交わすことを通じて、私たちのなかで「もしかしたら私たちには、もっと誇るべきものがあるのかもしれない。来てくれる人のために、もっとできることがあるのかもしれない」という意識を共有できるようになってきたのではないかと思うのです。

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普段とは異なる環境で、異なる出会いを通じて自分自身の捉え方・考え方が変わっていくまなびは、近年自己変容型フィールド学習(Self-transformation-oriented Field Learning: SFL)」として提唱されています。さらに、デザイン研究者・Ezio Manziniは、私たちは誰もが「デザイン能力 Design Capability」(=社会のなかでプロジェクトの主体になり、社会をつくっていける力)を持っている、と述べています。

上記を踏まえて、RENEWにおけるインナーブランディングの本質とは、以下の二つにあるのだと私は思います。

・地域の内にいる私たち自身が出会い、まなび、変容していけるような下地をつくっていくこと。
・私たちが暮らす地域を、私たち自身で変えていける、作りだせるような下地をつくっていくこと。

そしてこのことを、私はエンパワメント(日本語では、後押しする、という意味です)という言葉を用いて「地域のエンパワメントによる、内発的動機のデザイン」と呼んでいます。

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こうしたエンパワメントを続けてきた結果、RENEWの参加企業のなかから、2015年からの6年間で、なんと30を超える新規店舗・工房・ギャラリー・宿が新たに開設されました。

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(見えないかもしれませんが、「いっぱい増えてる」感を感じていただければ幸いです!)

地域の景色も、少しずつ変わってきています。まだまだ大きな流れにはなっていないかもしれませんが、週末になるとものづくりの産地に人々が訪れ、「Instagramで見てきました」、と声をかけてくれるようになったのです。

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(上・土直漆器、下・SAVA!STORE

その他にも、新たにロゴの変更、WEBサイトやECサイトの構築、産地を超えた商品開発など、新しい取り組みも次々に増加しています。

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(RENEW LABORATORYをきっかけに開発されたバッグ「NOTA ME.」)

内側の熱量をじわじわとあげていくこと。それが、私たちが「持続可能な地域」を目指すうえで、極めて大事なことなのではないかと私たちは考えています。

5-3. マーケットを通じたエンパワメント

上記のひとつの例として、マーケットを通じたエンパワメントについて触れます。

RENEWでは例年、全国から前向きなチャレンジを続ける作り手が集う、大規模なマーケットを同日開催しています。

2017年「大日本市博覧会(中川政七商店による)」、2018年・2019年「まち/ひと/しごと Localism Expo Fukui」、2020年「ててて往来市 TeTeTe All Right Market(ててて協働組合による)」……。いずれも、マーケットイベントやワークショップ、トークイベントなどが同時に開催され、たくさんの事業者に集っていただいています。

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実はこれらのマーケットイベントもまた、地域へのエンパワメントが目的のひとつです(もちろん、たくさんの来場者に来ていただきたい、という思いで実施している側面も大きいですが)。

産地でものづくりに取り組む私たちは、各地の先進的な取り組みに触れたくても、日常業務の中で、各地に視察に行ったりすることは難しいのが実情です。

それなら、全国で試行錯誤しながらアクションに取り組む事業者に、RENEWに来てもらうという選択肢はないだろうか。そして、全国の事業者の人々と、私たち産地の人々が、ともに交流できる機会がつくれないだろうか……。

こうした動機から、マーケットイベントは生まれました。だからこそマーケット出展の方々には、時機を見ては「訪れる方々に、ぜひ思いや経緯を語ってほしいです」とお伝えしています。また、「RENEW」と「まち/ひと/しごと」などは、例年日程を1日ずらして開催しています。それはなにより「私たちRENEW参加企業こそ、県外のプレイヤーと出会い、話をすべきだ」と思っているからです。

気づけばマーケットイベントは、全国で革新に取り組む事業者たちが互いに交流し、それぞれのプロダクトが生まれた経緯や、こめた思いを共有しあう、私たちにとっても、年に一度の大事なイベントになっていました。

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今では、RENEWでの出会いがもとになり、商品開発やポップアップイベント、継続的な仕事の発注などに発展した事例も生まれています。

6. 持続可能な地域へ向けて

ここまで、RENEWが大事にしてきたこと、というテーマで、3章を使って以下のように述べてきました。

3章:RENEWを担う人々の間に、多様な役割をつくることが重要だ。
4章:「わたし」からはじめ、「わたしたち」へと裾野を広げていこう。
5章:地域の人々が、まなび、変わり、ともにつくる下地をつくっていこう。

こうした内側におけるアプローチは、外側からRENEWを見てもなかなか見えづらいものなのではないかと思います。

特にここで4・5章で述べた「『わたし』から始める」、および「地域のエンパワメント」には、根底にRENEWのビジョン「持続可能な地域をつくる」が根ざしています。6章では、4・5章で述べたことを足がかりに、それらを包括して説明してみたいと思います。

6-1. 「持続可能な地域を目指す活動体」としてのRENEW

この記事の冒頭から、一貫して私は、RENEWを「産業観光イベント」だと述べてきました。「RENEWは、たくさんの人が訪れ、職人の案内のもと工房見学やワークショップ、ショッピングを楽しめるイベントだ」と。

しかし実は「産業観光イベントとしてのRENEW」は、RENEWの一側面でしかありません。それは持続可能な地域に到るための、ツールのひとつだと私たちは捉えています。

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RENEWとはなにか?

RENEWとは、「持続可能な地域を目指す活動の総体」です。

上記で述べたように、持続可能な地域を実現するためには、産業観光イベントとしてのRENEWがあれば十分なわけではありません。

重要なことは、RENEW事務局だけではなく、産地のそれぞれの事業者が、「持続可能な企業」、「持続可能な産地/産業」、ひいては「持続可能な地域」をも目指していこうとする主体性(Agency)を持つことにあります。……事業者が、企業のまわりを取り巻いている「産業」や「地域」、「未来世代」といった範囲にまで視野を広げていくこと。それこそが「持続可能な地域」を目指す鍵であるはずなのです。

しかし今や、企業は自社のことだけを考えることが当たり前で、"地域貢献"をしている余裕なんてないのだ、と言われてしまいかねません。かつては密接な関係にあった「地域」と「企業/産業」は、時代を経るごとに、どんどん遠いものになってしまっています。

でも、例えば未来世代に焦点をあてて考えたわけでも、「漆器職人って、めちゃくちゃイケてる」と思ってくれる未来世代を育てていかなければ、漆器産業の未来はありません。その意味でRENEWという活動は「地域」と「企業/産業」の関係性を再び編み直していく運動でもあります。

――2020年度には、コロナ禍で「来たれ若人」と呼びかけることが難しくなったこともあり、コンセプトとして「共につくろう、変わり続けるものづくりのまちを」を新たに掲げました。私たちがずっとRENEWを通じて体現し続けてきたメッセージが、ここに込められています。

この「地域の内側にいる私たちこそ、地域をつくり、変えていく主体なのだという意識を育む試み(=つくることの民主化)」こそが、「まちの景色をつくるのは私たち自身なのだ」という意識と、地域に新しく生まれた30超の店舗へとつながっているのではないでしょうか。

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6-2. 「持続可能な地域」に向けたプロジェクト

私たちは、RENEWとは「持続可能な地域を目指す活動の総体」であるという前提に立っています。その結果当然のことながら、産業観光イベントだけではない、様々な「持続可能な地域」を目指すプロジェクトが立ち上がり、実行されてきました。

ここでは、そんなプロジェクトのいくつかを紹介してみたいと思います。

※他にプロジェクト「あかまる隊」(3-3)、「大日本市博覧会」「まち/ひと/しごと」「ててて往来市」(以上4-3)は上記にて既出。

1)産地の合説

「産地の合説」は、産地の企業が合同で開く「産地の合同説明会」

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「合説」という名を冠しつつも、いわゆる合説と異なるのは、実際の工房をめぐり、職人らとともにお酒を酌み交わし、工房で職人体験するまでを通して、産地と関係性をつむぐプロジェクトであるということ(まさに、「来たれ若人、ものづくりのまちへ」を真っ直ぐ体現しています)。

伝統産業の産地は、どこも人手不足。そこにはもちろん「給料が低い」という課題点が第一にありますが、一方で、採用にかけられるリソースが少ないという側面もまたあります。特に社員が2,3名の事業者や、あるいは家族経営から脱却し、はじめての新卒採用を試みようとする事業者にとっては、採用のために10万、20万というコストをかけるのは容易ではありません。

しかし、産地をひとつの事業体と見立てることで、RENEWが「産地/地域の人事部」としての役割を担うことができたら、地域としてのスケールメリットを創出できるのではないだろうか。そんな着想から、産地の合説はうまれました。

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産地の合説では、実際に職人とつながり、アカデミズムとは異なる"現場"の現実を知ると同時に、滞在拠点では地域に住むフリーランスなどと交流することで、全く異なる生き方と出会い続ける空間を設計。まさにここでは、上記に述べた「自己変容(Self-transition)」が目指されています。

例えば現場との出会いという意味では、うるしを大学で専攻していた参加者の一人からも、以下のような声を聞いています。

"大学での漆は、芸術工芸として「正しく、美しい」漆器をつくることが大事だった。しかしこのまちの漆器は、不要なものを省き、可能なところは機械化することを通じて、一定の品質のものを、大量に生産することができる。私は漆芸家を目指しているが、このまま大学を卒業していたら、「もしかしたら、より効率的なやり方があるんじゃないか」という感覚すら知らずに社会に出ていたかもしれない。ここで産地の合説に出会えてよかった"

1年目の産地の合説をきっかけに、現在2人が産地に就職。更に今年も、何名かがこのまちの就職に興味を持ってくれています。

2)産地DX

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コロナ禍で、日本全国の伝統産業が大きな打撃を受けました。2020年度のaeruのリサーチでは、このままの状況が続けば年末までに閉業の可能性あり、と回答した企業が4割。

こうしたなか、若手が集うRENEWとして、一体何ができるだろうか?という問いから、RENEWではRENEW参加企業全社(2020年度・76社)でのZOOM導入をリードしました。リードしましたと言っても、その中身は泥臭いことばかりです。つまり、マニュアルをつくり、日々工房へ通っては、ZOOMの使い方を伝え、実際に繋いでみる、この繰り返しです。

DX=Digital Transformationと横文字を使えばかっこよく響きますが、その内側にある本当の泥臭さと向き合えなければ、本当のDXなんてありえないと私たちは考えます。

RENEW参加企業ではいま、70を超える職人さんが当たり前のようにgmail、facebook messenger、slack、ZOOMを使いこなしています。去年(2019年度)まで、FAXしか使えなかった職人さんが、です。

"森くん、このZOOMっていうのは、ひっですごいの!!東京にいかなくたって、これがあればいつでも営業できるんやでの"

もちろん私たち自身にとって、多数の参加企業を巻き込むRENEWを実現してくために、DXは不可欠でした。でもやはりそれ以上に、上のような一言を聞くために、私たちはDXに取り組んできたのだろうと思います。

3)その他のプロジェクト

その他、商品開発プロジェクト「RENEW LABORTORY」、地域の小学生に地域のものづくりを伝える「小学生産地ツアー」、コロナ禍での映像制作などマーケティングを支援する「RENEW TV」「RENEW ONLINE STORE」「ECサイト開設支援」、産地のWEBメディア「産地の赤本」など、RENEWはこれまでも多様なプロジェクトに取り組んできました。

ここまでを見ていただければ、RENEWが今や、いかに「産業観光イベント」ではなくなってきているか、ということがわかっていただけるのではないでしょうか。

繰り返すようですが、私たちの目的は、RENEWをやることではなく、「持続可能な産地をつくること」。私たちの目的が「産地の観光振興」だけだったら、おそらく上記に述べたようなプロジェクトには取り組んでいなかったでしょう。

このまちの人々自身が、前を向き、創造的になり、変化を起こしていくことをエンパワーしていく。そして、みんなでまちを変えていく。それが私たちが取り組んでいることなのです。

実は上記のPJTの多くは、コロナ禍の2020年度に新しくはじまったもの。実はコロナのおかげで、「産業観光イベントとしてのRENEWができないのだとしたら、私たちがやるべきこととは、私たちのいる意義とはなんなのだろう?」と、改めて考え直す機会を持つことができたのです。

使い古されたフレーズではありますが、ピンチをチャンスに変えていくようなリフレーミングを通じて、私たちはRENEWというプロジェクトそのものを、イベントチームから「持続可能な地域をつくる活動体」へと、じんわりと変容させてきたのかもしれません。

7. まとめ

ここまで、本記事では、「RENEWの概要」、「RENEWが始まった経緯」、「実績」、「体制」、「大事にしていること」、「これまで取り組んできたプロジェクト」といった内容を通じて、RENEWの全体像をお伝えしてきました。

振り返ります。

RENEWとは、「持続的な地域を目指すための活動の総体」です。そのために特に重要なことは、地域の人々自身が、地域をつくり、変えていくのだという確信を後押ししていくことです。
RENEWに取り組んでいく上では、3点のことが大事だったと考えています。
1つ目は「組織に多様性をつくること」
2つ目は「"わたし"からはじめ、"わたしたち"へと広げること」
3つ目はそのまま繰り返しになりますが、「地域の人々自身が、地域をつくり、変えていくのだという確信を後押ししていくこと」

2021年度より、RENEWでは新たなプロジェクトとして、「部活動」がはじまりました。

これはまさに、「RENEW事務局がRENEWを開催し、産地を盛り上げている」という形式から、「地域の人々自身が、自分の興味・関心をもとにまなび、つながり、変容していく」という、それぞれが主役であるような未来へのジャンプを意味しています。それはいわば、一極集中型から自律分散型のエコシステムへという、非連続なパラダイムシフトです。

このようにしてRENEWは地域とともに変わり続け、おそらく最も理想的な未来では、RENEWはなくなっていくか、全く形を変えているでしょう。

なぜなら最も「持続可能な」未来とは、RENEWがあってもなくても、地域に住む私たち自身がまなび、変わり、変えていくという営みが自律的にうまれ、発展し続ける未来だからです。

あとがき

改めまして、森一貴です。2021年3月末にRENEWにかかわる役割を全て受け渡し、現在はこうして長々と記事を書いています。本来はいくつかの記事に分けて出すべきだったのでしょうが、笑 ここから編集して一部を切り出していくのは、それはそれでなかなかタフな作業なので、一度ここで世に出してみることにします。

これまで「自分がいないとRENEWはまわらない」と意気込んでRENEWに携わってきたので、(もちろん自分が不在でもまわるRENEWを目指してやってきたわけですが)こうして実際に自分がいないRENEWが動き出しているのは、とても不思議な気持ちです。

私が福井県鯖江市に移住してから早6年目。2021年度のRENEWではまた新たに「部活動」がスタート。歴史部やEC部などが立ち上がり、これから地域の人々や、あかまる隊のメンバーが参画しながら運営されていくことと思います。これはまさに、この地域の多様な人々が、それぞれの興味関心を軸に地域に関わり、役割を担っていくための余白を広げていこうとする試み。非連続的な未来を描こうとする、挑戦的なエンパワメントです。まだまだRENEWは、さらなる変容を遂げていきます。

こうしたトランジションの先にあるのは、明確ななんらかのゴールではないと思います。「変わり続ける」ことこそが、このまちの根幹を支えているし、支えていくのだろうと思います。

長文にお付き合いいただいてありがとうございました。以下、宣伝です。

1)視察をご希望の方は、RENEWウェブサイトより、メールアドレスまでご連絡ください。 https://renew-fukui.com/ 
2)今年のRENEW2021は3/11〜13の3日間にて開催。ぜひ、ご予定をあけておいてくださいね。詳細はWEBサイトにて https://renew-fukui.com/
3)RENEW運営のために、本記事最後の部分より、ぜひカンパをしていただけると幸いです(頂いたカンパ金のうち7割を、私からRENEWに寄付させていただきます)。
4)本書きたいです。

以下、自己紹介を書き残しておきます。

1991年生まれ、山形県出身。大学・就職と東京を経て、体験移住事業「ゆるい移住」をきっかけに2015年に福井県鯖江市に移住、「社会に自由と寛容をつくる」をテーマにフリーランスのプロジェクトマネージャーとして、RENEWやゆるく住んでみる移住プログラム「ゆるい移住」、PBL型の探究型学習塾「ハルキャンパス」、シェアハウスの運営などに取り組む。2021年9月より、フィンランド・Aalto Universityの修士課程に進学し、Collaborative Designを研究。

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(2019年度のRENEW実行委員会運営メンバーの写真。森は一番右側です)

森の移住の経緯等はこちらにて(RENEW初年度のことも詳しく書き残しています)。

参考書籍

箕曲在弘・二文字屋脩・小西公大編『人類学者たちのフィールド教育―自己変容に向けた学びのデザイン』 ナカニシヤ出版、2021年
イヴァン・イリイチ『コンヴィヴィアリティのための道具』渡辺京二・渡辺梨佐訳、筑摩書房、2015年
エツィオ・マンズィーニ『日々の政治 ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化』安西洋之・八重樫文訳、ビー・エヌ・エヌ新社、2020年
鶴見和子ほか『内発的発展論』東京大学出版会、1989年
宮本常一『日本人のくらしと文化: 炉辺夜話』河出書房新社、2013年



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