2023年10月20日 沖縄からBAD
先週の金曜日から今週の火曜日まで、沖縄に行っていた。高校時代の友人たちと一緒に、ロッジ的な建物を借りて。
しかし、この旅行、この集団からある人を排除して成り立っている。だから私はあまり完全には楽しめなかった。楽しいなあ、と思っては、でもこの楽しさは排除の上に成り立っている、と自覚して楽しくなくなる、という悪循環。私は輪の中心ではないどころか周縁なので発言力はない、という一点だけで自分を弁護している。
それは置いておいて。海に入った。うっかりサンダルを脱いだら、左足裏に傷ができてしまった。あらま、と思ったが痛くもなかったし、しばらく遊んでいたけれど、そのうちに海での傷はちょっとやばいんじゃないかしらと思い至った。でも痛くないものだからすぐに忘れてしまう。海から上がる。時間が経つ。しばらくして、痛み出す。足裏だから痛いのか、やばい傷だから痛いのか。この時点でかなり精神的には不安定だ。お昼の沖縄そばも味がわからなかった。それほどまでの私の健康に関する精神はナイーヴなのだ。そのくせ体に気をつけたりしないからタチが悪い。結果的に、その傷は2日もすれば治ったし痛みも引いたので問題はなかった。が、こういう不安全てを排除するのは難しい一方で不安を振り切る精神力すらないのなら、こういう精神とうまく付き合って生きていくのはちょっと嫌だなあと思う。
さておき。排除の中心人物は、一見子供っぽいが人間関係において残酷な一面もある変な奴だ。奴は突飛な発想と発言で笑いを巻き起こし、目立つことを厭わない。歌謡居酒屋みたいなところに行ったときも、率先して壇上で「島人ぬ宝」とか歌っていた。迂闊にも感動してしまった。人間というのはわからない。「島人ぬ宝」は良い曲だ。
ボンタンアメを見かけて、買ってしまった。昔私といい感じだった人がよく持っていて、たまにくれたのを思い出したのだった。なぜあの人が私なんかに好意を寄せてくれたのか、未だにわからない。ボンタンアメはまだ食べていない。
帰ってきて、また生活が始まる。生活。今度は生活するように沖縄を旅したい。観光はもういい。
『くるりのえいが』を観た。拾得ライブの映像は、映画館の自分も拍手しそうになった。新譜『感覚は道標』も素晴らしかった。今回はオリメンの森信行が参加していて、でも彼らは「おじさんの同窓会にはしたくない」という。実際、同窓会にはなっていない。しっかり、「今のくるり」になっている。とはいえ昔の、この3人ならではの素晴らしさも蘇っていて、なんともうっとりしてしまう。映画は、その様子がじわじわと体感的に伝わってくるドキュメンタリーで、ありきたりな感想だけれど、「これがくるりだ」という感じだった。私は何様なのだろう。
京極夏彦『鵼の碑』(講談社ノベルス)を読んでいる。まだ何も言えないが、やっぱり素晴らしいと感じる。京極夏彦ほど、何度も読んで何度も楽しめる作家は少ないのではないかと感じる。「噛めば噛むほど味が出る」という渋さとは違う。「食べても食べても食べきれない」というのが正しいのではないか。
火傷もしていないのに、指に水脹れができている。それも別々の場所に。具体的には右親指の第一関節と、左中指の先。ざっと調べても、熱が出ていないから細菌とかの病気じゃないだろうし、火傷じゃないし、皮膚に問題があるんじゃないだろうか。もしかして知らないうちに火傷していたのだろうか。そりゃ熱いものは持ったけど、火傷するほどの温度じゃなかったし。この文章を打っているときも、中指でキーを叩くたびに違和感がある。痛みとも違う。あまり使わない方がいいのではないかとも思う。もしかして深刻な皮膚病だったりしないだろうか。まただ。体にちょっと異変が起きたら、ものすごく深刻なんじゃないかと疑って勝手に気分をどん底まで落とす。とはいえ病院に行くのはめんどくさい。ダメダメだ。
ちょっと咳が出ればコロナを疑い、ちょっと耳裏のリンパ節が痛めばビタミン剤を飲んで寝、ちょっと脚に力が入らなければALSを疑い、ちょっと傷が傷めば敗血症を疑い、ちょっと水脹れができれば深刻な皮膚病を疑う。でもすぐに病院に行かない。そこが一番やばい。体に異変があればすぐに病院に行けばいいのだ。でも週末だからとか予定があるからとか色々理由をつけて病院に行かない。病院が嫌なわけではない。なぜかめんどくさいのだ。
私にとって、「めんどくさい」という精神はあらゆる欲求を超える。めんどくさいから食事を取らなかったり、めんどくさいから寝なかったり、めんどくさいからムラムラも無視したりする。自分で準備や後片付けをしなくても、自動的に腹が満たされたり、自動的に睡眠後と同じ状態になったり、自動的に性欲が発散されたりすればいいと思う。もちろんずっとそれがいいとは思わない。ちゃんと美味しいご飯を食べたいと思う。でもめんどくさいときにその選択肢があってもいいなとは思う。それですらめんどくさいのだから、勉強や家事や通院や事務作業ややらなきゃいけないことなんかは、推して知るべしである。
長々と最悪な気分を書きつけている。ボンタンアメのあの人はどうしているかな、と思う。それくらいしか救いがない。
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