2023年8月31日 「ご無沙汰日記」

しばらく日記を更新しなかった。25日から友達が泊まりに来ていて、昨日の朝帰った。

京都・奈良・大阪のだいぶベタな観光地を回った。関西に住んで3年目だがこんなにベタなところを回ったのは初めてかもしれない。

京都では銀閣寺・清水寺、奈良では東大寺、大阪では道頓堀と大阪城、最後にもう一度京都で嵐山。京都・奈良はホームグラウンドという感じだが大阪には苦手意識があり、さらに道頓堀というベタ観光地かつ汚いエリアなので私はご機嫌斜め気味だったかもしれない。

銀閣寺も清水寺も人が多すぎるし暑すぎるのでギリ苦痛が勝つ。奈良も暑いが東大寺は行くたび新鮮に感銘を受けるので良い。だが、大阪。これが問題である。

大阪は街の汚さも人の押し出しの強さも広告のどぎつさも、うっすらと苦手意識がある。京都は学生の街で、学生たる私はホームという感じがあって居心地がいいのだけれど、大阪は完全に商売の街で、ビジネスマンでも商売人でもない私はアウェーで居心地が悪い。

一緒に回った友人も、友人ではあるのだが趣味が合わずタイプも違い、好きになりきれない部分があるので、4日間も二人で過ごすのはさすがにストレスが溜まった。夜はバスケのワールドカップを観ながらでかい声で色々喋っていた。スポーツを観る人ってどうしてああ声がでかいのだろう。そしてどうしてああ喋るのだろう。どうも違う生き物のような感じがする。

昨日は話題のグレタ・ガーウィグ監督『バービー』を観た。大変良かった。観た人の中でも評価が分かれているらしい。「フェミニズム映画として一級品!」というものから「使い古されたネオリベ自己実現的なフェミニズムから抜け出るところがない」というものまで色々あるらしいのだが、私は素晴らしい映画と思う。

まずギャグがキレキレである。あるあるネタから「どうして男ってこうなのか」ネタ、名作映画パロディ、下ネタまで多種多様で、ずっとけらけら笑っていた。

フェミニズム的には基本のキという感じなのだが、しばしばマンスプレイニングに陥りそうになるし生きているだけで特権を持っている”男性”たる私としては身につまされる部分もあり、現代日本人男性たちにとっては入門編としてはありがたいんじゃないだろうか。

今日はデヴィッド・クローネンバーグ監督『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』。ヴィゴ・モーテンセンがずっと呻いている。色々な要素が絡まるストーリーではあるのだが、一つの予想されうる結論のほかはまったく結論が出ない。個人的にはラヴクラフトが書いたクトゥルフ神話のある一篇を思い出した。

でもやっぱり一番は美術じゃないだろうか。タトゥーの入った新しい内臓、「ライフフォームウェア」のデザイン、人体を傷つけ切り開く映像。クローネンバーグならではのヴィジュアルに、最初は気持ちの悪さを感じるものの徐々に癖になってきて面白い。

それほどクローネンバーグ映画を観てきていないので滅多なことは言えないが、人体を切るとか、クリーチャー的なヴィジュアルのものを指先で弄るとか、全然美味しくなさそうに、むしろ苦しそうに食事をすることとか、そういういわゆる「クローネンバーグ的なもの」ってどこから来ているのだろうか。気になる。

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