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ずっちのこと

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伴侶であった雄猫のずっちのことを、写真と文章でここに残します。 共に過ごした時間の後半に入ったあたりまで書いてあります。 もう少ししたら続きを。
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#記録

ずっちの後をつけたこと

ずっちの後をつけたこと

2004年の夏になっていました。

その日はよく晴れていて、日差しが強かったのを覚えています。

午後のまだ早い時間でした。わたしは何か必要があって外へ出たんだと思います。とても暑かったので、自動販売機のコーラを買いに出たのかもしれません。

野原のほうに行くと、やや先をずっちが歩いていくのが見えました。声をかけようとして、ちょっとためらいました。なんだか急いでいるように見えたのです。

ずっちは

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ずっちともう一度

ずっちともう一度

ずっちの二重生活が発覚してから半年が経ちました。今は2005年1月です。

来月にはこの渋谷区の部屋を出て、練馬区の「はんの木緑地」を背にした家の2階に移ることにしました。
1995年11月にここへ越してきましたから、9年半ほど住んでいたことになります。ずっちはもうすぐ10歳、2回目の引っ越しです。

ここに住み続けていたのは、ずっちが憩っていたあのすばらしい野原があったからです。ところが、しばら

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ずっちとの新しい日々(『ずっちのこと』後篇①)

ずっちとの新しい日々(『ずっちのこと』後篇①)

さて、ずっちを連れて2回目の引っ越しをしました。2005年3月のことです。

袋小路の行き止まりに立つ一軒家の2階部分を借りました。家のすぐ裏には「はんの木緑地」が広がっています。広い出窓が東と西の2方向にあって、東の出窓からは道路の様子を、西の出窓からは緑地の木立を眺めることができ、南側にはベランダもあります。木造の古い家ですが光はふんだんに入ってきました。

写真は東の出窓です。ラベンダー越し

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「はんの木緑地」とずっち(「ずっちのこと』後篇④)

「はんの木緑地」とずっち(「ずっちのこと』後篇④)

写真は2005年4月末、寝室から撮ったものです。向こうの家がずっと遠くにあって、樹木が繁ってくると屋根しか見えなくなります。

以前、新しい部屋のすぐ裏手には「はんの木緑地」が広がっていると書きました。建物の背がブロック塀を挟んで緑地と接している格好です。ブロック塀から向こう側を覗くと、ここが崖っぷちで、5メートルくらい真下からさらに下がっていく形で、なだらかな緑地が広がっているのがわかります。「

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