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足で稼ぐ

足で稼ぐという表現があります。

文字通り、
歩き(動き)まわって、
たくさんのお客様、
既存のお客様をはじめ
新しくお付き合いしたいお客様も含む、
に足繁く通い、
新しい仕事が始まりそうなときに
いち早く声をかけてもらえる関係を築き、
そのようにして始まった商売で
儲けを出すことを指します。

昨今、情報通信技術の進歩により、
遠隔で働く人たち同士の
社内の打ち合わせは、
Polycomなどに代表される
音声によるものや
Skypeなどに代表される
映像+音声によるものが普及して、
出張は最低限に
抑えられるようになりました。

物理的な距離が遠い
お客様との打ち合わせでも、
それらが活用されている場合があります。

昨日、あるお客様と話していて、
こんな話になりました。

『10年ほど前に北海道で
新たに始まる仕事があって、
事前打ち合わせのために
出張する機会があったんです。

冬場には気温が
マイナス30度にもなる
場所だと聞いていたら、
私が行ったときに
本当にマイナス30度だったんです。

自分が履いていた革靴のつま先が
凍ったことを今でも覚えています。

それを体感したので、
仕事上で使用する製品が冷えることによって
悪影響がでるかもしれないと感じて、
仕事が動き出す前に必死になって
寒さ対策をしましたよ。』

そんな話を聞いていて、
彼が実際に現地へ
足を運んでいなければ、
事前に寒さ対策をして、
事故やトラブルの発生を
予防できなかったのではないかと
率直に感じました。

冬場はマイナス30度になる場所ですという
情報だけを得ていても、
革靴のつま先が凍るくらい
寒いことを体感していなければ、
事前対策という行動へ
移せなかったのではないかと。

人間はそんなに賢い動物ではありませんので。

もしそうなっていれば、
実際、寒さによって
扱う製品に不具合や故障が発生してから、
初めて寒さのために何か対策をという
事後対応になっていたはずです。

事前に予防のための対策が打てるのか、
何か起こって事後の対応になるのか、
これが、そのお客様と
末永くお付き合いができるか、
今回だけのお付き合いになるか、
明暗をわけます。

例えば、北海道や東北地方で生まれたり、
暮らしたことがあって、
過去にマイナス30度の寒さを
体感したことがある人であれば、
情報だけから想像力を働かせ、
もしかしたら扱う製品への影響が
でるかもしれないと
事前の対策へ考えが及び、
適切に対処できるかもしれませんが。

それでも、上司に
『マイナス30度って言っても、
まあ大丈夫だろう。
わざわざ追加で費用を
かけてまで寒さ対策を
する必要はないだろう。』
と諭されたときに、

『そうはおっしゃいますが、
実際に行ったら、
革靴のつま先が凍るくらい寒かったので、
何かしら対策をしないと
事故やトラブルにつながります。』
と主張できるか、

『そうですね。
まあ何かあったら、対処しましょう。』
と受け入れることになってしまうのか、
現地へ足を運んでいるかどうかで、
相手に対する説得力にも差がでます。

僅かな情報であっても、
それを受けとったときに、
身体感覚で理解できるか、そうでないかが、
事故やトラブルを回避するための対策を
事前に打てるかどうかの分かれ道になります。

(若いうちに)どんなことでも経験しておけ、
と年配の人にアドバイスを
受けることがあります。

これは何事も経験することで、
危機を察知する嗅覚が研ぎ澄まされ、
実際に危機に直面する前に
事前に対策が打てる人間になれ
ということを示唆しているのだろうと
気付かされました。

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