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働きたくない

わたしにとっての幸せは「嫌なこと」がないこと。
子供の頃の学校や親兄弟、学生時代の人間関係のような考えると憂鬱になるトピックが「嫌なこと」で、大人になり実家を出て好きな人とだけ付き合っていると残るのは仕事のことだけ。
願いが叶うなら、なにかがほしいというより仕事を捨てたい。
お金が入れば捨てられるので、欲しいものはつまりお金となってしまう。

大学在学中に好奇心から銀座のクラブでホステスを始めて、新卒ではどこにも入社せずに夏まで半年働いた。
太いお客さんに誘われた夏休みのグアムを断るのがどうにも面倒になったのをきっかけに、辞めた。

2、3ヶ月その稼ぎで働かずに暮らして、残高の尽きた頃に慌てて就職を決めたのが美容部員。決め手は当時化粧品オタクだったこと、面接と同月に入社できて給料が当月払いであったこと。
これを経て接客が嫌いだと気づけた。
とにかく毎日お客様にイライラした。
正月に初売りでひどく混雑する店舗に出勤し、好きで買い物に出かけているだろうにやれ待ち時間が長いだの欲しいものがないだの不機嫌に振る舞う人間たちを見て、次は絶対に接客以外でいこうと決めた。

ハワイで結婚式をすることにし、ハワイからこの職場に帰るのはごめんだというわけで、結婚式を前に2年と1ヶ月で退職した。

失業手当を使い切るまではのんびりしようと決めていたので、帰ってからは受給に障らない程度にバイトをしながらたまにハローワークに行く生活をした。
テレアポで、まともに働いている人に電話をかけ詐欺まがいの話を聞かせるのは胸が痛んだ。社会のためになりたいとまで思わないにしろ、人に迷惑をかけるだけで一切意義を感じないのは考えものだな...と思いつつ、受給が終わるまでは働いた。
ビルのすぐそばにとんでもなく美味しいベーグル屋があって、昼休みにみんなでベーグルを買いに行くのが楽しみだった。(辞めた後、「久しぶりにベーグル食べに来ませんか?」と上司からメールがきたので笑った。)

次は接客以外で、ついでになにか手に職をつけようと考え、社労士事務所に入所した。
働きながら社労士資格を取得する予定だった。
初めてのデスクワークは私にとても合っていた。抱えている仕事を効率よく処理していくのは楽しかったし、「1番にいってきます」などと声をかけずにトイレにも行ける。自由だし、座れるし、全然嫌じゃない!
と喜んでいたのもつかのま、入所2ヶ月目の席替えでわたしは所長の目の前に移動させられた。所長は落ち着いて話したのを見たことがないほどにいつも顔を赤くして怒鳴っているおじさんで、席替えから2日目の昼休みに辞めますと告げて席を立った。

さて次はと考える時には社労士資格のことはどうでもよくなっていた。
今まで仕事にやりがいを求めたことはなかったし、ここで一丁やりがいのある仕事を一生懸命やってみようかしら!と気分が変わっていた。

学生時代に塾講師として小学生のクラスと個別指導を担当したのが楽しかった経験から、発達支援の幼児教室に就職した。

みんな愛すべき子どもたちで、少しでも生きやすくなってほしいと心から願い、狙い通り仕事に一生懸命になった。
8時半には教室について帰りの電車に乗るのが22時、23時、という生活が続き、駅から教室に向かう道で涙が出るようになったのをきっかけに退職を決めた。
これをもって、やりがいは仕事に求めないことにした。やりがいなんてあってもなくても、わたしは働きたくない。どんな仕事でも休日のほうが楽しいようだ。

次の仕事が決まっているわけではないので、人員不足の教室になるべく負担をかけないように退職時期は設定していただき構わないと話して、しばらくは非常勤講師として頻度を下げつつ教室に通った。
時間に余裕ができたので並行して、ミステリーショッパーに登録している人に案件を紹介する電話のバイトをしたりもした。

美容部員を辞めたあとで始めたSM関係のバイト?で長く継続して稼げていて、それが非常に楽しくできていたので、稼ぎはそちらに任せて仕事には体裁とおまけを求めた。
当時目の下のクマをとる美容外科の手術がしたくて、カウンセリングで行ったクリニックの看護師に「美容外科で働けばタダでできますよ〜!」と聞き、それだ!と美容外科に受付として入職した。
これが大ヒットで、クマをとる手術に限らずレーザーを打ったり糸を入れたり注射をしたり、美味しい思いをたくさんした。
受付の仕事は楽だったし、そのままコロナ禍に突入してからは電話番をしに行き院内にひとりでいてテレビを見てUber Eatsを頼んでゴロゴロ....という日ばかりで、「明日は出勤」と思っても全く気が沈まないのは初めてだった!

コロナ禍というわけで、手当が出て出勤しなくていい日もちょこちょこあり、家から出ないしお金も使わなくなり、「これができるなら犬と暮らせるのでは?」という考えに至った。
美容外科に入職してからは副業(SM)で稼いだ分も使って毎月旅行をしてたし、食事も外食ばかり、そもそも副業もあるので家にいる時間が少なかった。
その生活を捨てられないと思い込んでいたけど、コロナ禍のそうじゃない生活がすごく幸せだったので、それが思い込みだと気がついた!

ちょうど夫の祖父が亡くなりその遺産も入ったりしたタイミングで、ペット可の部屋に引っ越しをし、保護犬を譲渡してもらうことになった。
犬が来てしばらくは出勤時だけ家族に留守番を任せていたものの、週に1、2回犬と離れることにストレスを感じた。
また犬を育てるなかでこの子のために使えるお金を増やしたい!より多く稼ぎたい!と初めて感じ(思ったことなかった)、在宅でできるCMを整理するバイトを兼業し始めた。
在宅でできるとは言ってもこれが週に1度は出社が必要で、美容外科も週1出勤で続けたために、出勤回数は増え出社回数は減らない上に給料が減る(CMのバイトの時給が安かった)とうう空回りっぷりで落ち込んだ。

そんな時に見つけたのが今の会社の完全在宅コールセンター勤務の求人で、久しぶりに正社員として会社に所属してテクニカルサポートをしている。
接客と言っても対面じゃないし、なにより完全在宅!ずっと犬といられる!!と始めた仕事で、初心に帰り「次は絶対接客以外」とまた思っている。お客さまは本当に揃いも揃って腹が立つ。でも後ろを向くと犬がいる。
大きな家に引っ越したあとで迎えた猫もいる。

なんだかんだ4月で入社して3年が経とうとしていて、これは正社員として勤務した中では最長記録。(美容外科には3年以上いたし、SMのバイト?は7年くらい続けてた)
接客以外と言ってもこんな職務経歴の人誰も雇いたくないわけだし、若い時とは違う転職の厳しさを感じている。
資格でもとってみるかととってみたのが宅建士で、在宅勤務できる不動産屋なんてないので、また間違えてしまったようだ。
簿記を受けようかな、もはや司法試験に挑戦しようかな、などと考えるこの頃。

犬と猫と家にいられて
接客じゃなくて
年間休日120日以上で
年収が今と同じかそれ以上!
ならなんでもいいんだけどな〜
って思うけど、これを満たしてもまたなにかしらの「嫌なこと」を仕事に見出してしまう気もしている。

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