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新創刊「ギャングスター・タイムズ」Vol.1

『ギャングスター・ラップの歴史 スクーリー・Dからケンドリック・ラマーまで』(ソーレン・ベイカー著、塚田桂子訳・解説)の発売を記念して、ギャングスター・ラッパーたちの最新情報をお届けする隔週連載「ギャングスター・タイムズ」をはじめました。好評発売中の『ギャングスター・ラップの歴史』とあわせて、お楽しみください。

Ⓖケンドリック・ラマーが新記録樹立

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 ケンドリック・ラマーの12年作『Good Kid, M.A.A.D City』がビルボード200に358週連続でチャート入りし、ヒップホップ・アルバムとしてはこれまでエミネムの『The Eminem Show』(02年)が保持していた記録を抜いて、最長となった

 ケンドリック・ラマーについては、『ギャングスター・ラップの歴史』のエピローグ「30歳を迎えたギャングスター・ラップ」でくわしく紹介している。

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Ⓖザ・ゲームの『Born 2 Rap』が発売

 ザ・ゲームの待たれる次作『Born 2 Rap』の発売日が11月29日になると発表された。ザ・ゲームは、本作が自身最後のスタジオアルバムになると話している。
 アルバムからの先行シングル"West Side"のミュージックビデオも公開中。

Ⓖハロウィーンのコスチュームはお父さん

 ザ・ゲームの娘カリ(Cali)が、父に仮装したハロウィーンの写真を投稿して話題に。

 ザ・ゲーム(および50セント)については、『ギャングスター・ラップの歴史』第15章「お前の命は危険にさらされている」でくわしく紹介している。

Ⓖ夢のコラボはお父さんとあの人

 XXL誌がツイッターに投稿した「ラッパーひとり。プロデューサーひとり。あなたの夢みる共演は?」という質問に対し、アイス・キューブの息子であり、N.W.Aの伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』では若き日の父を演じた俳優のオシェイ・ジャクソン・Jrが「アイス・キューブ。カニエ・ウェスト」と答えた。

*本連載の姉妹企画「週刊カニエ・ウェスト」も更新中。

ⒼTDEは“善良なデス・ロウ・レコーズ”

 ヒップホップ業界関係者が多数参加したイベント「リヴォルト・サミット」が、10月25日から3日間にわたってロサンゼルスで開催された
 本イベントのパネルディスカッションに登壇したスヌープ・ドッグは、ケンドリック・ラマーやスクールボーイ・Q、SZAらを擁するレコードレーベルのトップ・ドッグ・エンタテイメントを「善良なデス・ロウ・レコード」と呼び、注目を集めた。

 スヌープ・ドッグとデス・ロウ・レコードについては、『ギャングスター・ラップの歴史』の第9章「世界を制したスヌープ・ドギー・ドッグ」、および第12章「間近に迫った死——いわゆる東西抗争」にてくわしく紹介している。

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 また、スヌープ・ドッグは今年8月にリリースした最新作『I Wanna Thank Me』に収録の”Let Bygones Be Bygones”で、デス・ロウ在籍時のことやレーベルオーナーのシュグ・ナイトについてラップしている。

Ⓖ50セントが“ハッスル”の極意を伝授

 50セントが新著『Hustle Harder, Hustle Smarter』の刊行を発表した。本書では、駆け出しラッパーからトップ・アーティストに上りつめ、いまでは人気テレビ番組のエグゼクティヴ・プロデューサーを務めるまでになった彼の成功の秘訣が綴られているという。発売日は2020年4月28日を予定。

Ⓖ“マラソンは終わらない”——故ニプシー・ハッスルの伝記が刊行

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 今年3月に惜しくも亡くなった故ニプシー・ハッスルの伝記『The Marathon Don’t Stop』が刊行される。
 ニューヨーク・タイムズ紙やビルボード誌などにも寄稿する著者のロブ・ケナーはヴァイブ誌創刊時の編集者であり、90年代のヒップホップ東西抗争をよく知る人物として『ギャングスター・ラップの歴史』にも登場する(第12章「間近に迫った死——いわゆる東西抗争」)。彼は本書の執筆について、コンプレックス誌のインタビューで次のように語っている

「わたしは、彼が"Dedication"という曲で自身のことを“俺の時代のトゥパック”と呼んでいることについて尋ね、説明してもらったことがあります。もちろん、彼は自分が短命に終わることを言っていたわけではありません。彼にはやりたいことが山のようにありました。彼を愛してやまない大勢の人たちに囲まれ、たくさんの大事な仕事が残されていました。わたしはヴァイブ誌の編集部にいて、2パックとビギーの悲劇的な死を目撃した経験から、ニプシーに起こったことが、ふたりの場合とは大きく異なっていると確信しています。煎じつめていえば、本書は彼の人生についての1冊です。ニプシー・ハッスルの遺産が今後も人々に受け継がれ、刺激を与えていけるように、その最良の部分を取り上げることが、わたしの使命だと思っています」

(「ギャングスター・タイムズ」Vo.1 2019年11月5日発行 文:編集部)

お知らせ

『ギャングスター・ラップの歴史』訳者・塚田桂子さんがラジオ番組「MUSIC GARAGE:ROOM 101」11月1日放送回にゲスト出演されました。インターネットラジオ「radiko」では放送後1週間限定でタイムフリー聴取いただけます(聴取はこちらから)。

 また、塚田桂子さんが『ギャングスター・ラップの歴史』をより深く楽しむためのブログシリーズを開始されました。ぜひこちらも一緒にお楽しみください(第1回はこちら)。

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《書誌情報》
『ギャングスター・ラップの歴史 スクーリー・Dからケンドリック・ラマーまで』
ソーレン・ベイカー著、塚田桂子訳・解説
B5・並製・280頁
ISBN:9784866471020
本体2,500円+税
https://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK251

〈内容紹介〉
80年代後半、その暴力的かつ過激な歌詞で若者の心をわしづかみにし(そして大人たちを激怒させ)、今なお進化を続ける「ギャングスター・ラップ」。
過酷な社会環境に屈しないハングリー精神、リアルな言葉、優れたビジネス感覚でアメリカを制した“ストリートの詩人”の歴史をたどる一大音楽絵巻が邦訳刊。
18年に史上初のピュリッツァー賞受賞ラッパー、ケンドリック・ラマーを輩出したギャングスター・ラップの誕生から現在までを、豊富な図版とコラム付きで紹介。
日本版にはLA在住の本書訳者・塚田桂子による解説を追加収録。

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目次
まえがき
序文 文:イグジビット
第1章 アメリカの息子
第2章 引き金をひけ
第3章 喧嘩腰の黒人たち
第4章 革命はテレビ中継される
第5章 アイス・キューブ——“ギャングスタ流おとぎ話”
第6章「これがご挨拶だ」——ギャングスター・ラップ、『スカーフェイス』とザ・ゲトー・ボーイズに出会う
第7章 俺の名前はギャングスター・ラップだ
第8章 夢のカリフォルニア——ドクター・ドレーの余波
第9章 世界を制したスヌープ・ドギー・ドッグ
第10章 レコード上でのギャングバンギン——やだな、来ちゃったよ
第11章 Gファンク、モブ・ミュージックに出会う
第12章 間近に迫った死——いわゆる東西抗争
第13章 俺のせいじゃねぇ——マスター・Pとノー・リミットの革命
第14章 ドクター・ドレーとスヌープ・ドッグの再燃——中傷者に送る“アップ・イン・スモーク”
第15章 お前の命は危険にさらされている
第16章 カネで大人になった少年
エピローグ――30歳を迎えたギャングスター・ラップ
謝辞
解説——アメリカの東西海岸を知る訳者が読む、ギャングスター・ラップの苦節の歴史(マラソン)とウィニングラン(ヴィクトリーラップ) 文:塚田桂子

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