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台湾最大級の音楽賞にして、「インディー」に焦点を当てたGIMAを、キミは知っているか? エントリーの仕方などを、2022年1月刊行予定『アジア都市音楽ディスクガイド(仮)』収録コラムより一部抜粋してお届け!

第十二屆金音創作獎主視覺

金音創作獎(Golden Indie Music AwardsまたはGIMA)とは?

音楽賞といえば、世界で一番有名なのが全米のグラミー賞だが、台湾でグラミー賞にあたるのが、金曲獎(Golden Melody Awards)。それに対して、本記事で紹介したいのは「金音創作獎(Golden Indie Music Awards)」(以下、GIMA)だ。「創作」という単語が入っているように、アーティストの創造性にスポットを当てたアワード。音楽に関わる各フィールドのスペシャリストたちが審査員となり、時間をかけて選考するフェアな仕組みとなっている。インディーズ愛聴者としてはうれしくて、日本にもこんな音楽賞があったらなぁと思ってしまう。

アジアの若手ミュージシャンとの交流が深く、現地のシーンに詳しい関俊行さんには、DU BOOKSから刊行予定の『アジア都市音楽ディスクガイド(仮)』でレヴューやGIMAについてのコラムを執筆いただきましたが、いよいよ来る11月6日に第12回『金音創作獎 Golden Indie Music Awards』の授賞式が開催されるタイミングで、関さんのコラムから一部抜粋させていただき、GIMAについて詳しく紹介できればと思います。

すべてのジャンルの音楽の「創作」を促すことが目的

GIMAの設立は2010年。多くのクリエイターをフックアップし続けてきた。ロック、フォーク、エレクトロニック、ヒップホップ、オルタナティブ・ポップ、R&Bなど、各ジャンルでその年の最高のアルバム・曲を決めるほか、新人賞や審査員賞も含めて、なんと計23部門ある。ちなみに、GIMAは歌詞の言語に制限がないので、マンダリン(台湾の公用語)である必要がない。そして、近年は海外からの応募も可能になり、アジアから秀でた音楽作品を招き、GIMAをアジアのインディーミュージックシーンにおける代表的な賞として確立すべく「亞洲創作音樂獎(Best Asian Creative Artist)」も設立される。昨年の受賞者はインドネシアのラッパー、Rich Brian。日本からはNulbarich、空音、Rina Sawayamaがノミネートされている。

第12回 日本人アーティストのノミネート

今回、日本人の作品は、東京中央線のアルバム『Fly By Light』がベストジャズアルバム賞、DJ Mitsu the Beats(GAGLE)が台湾の女性ソウルシンガー、9m88と共作した「Tell Me」がR&Bソング賞、アメリカの老舗レーベルSUB POPと契約しているCHAIと、バークリー卒のピアノデュオEIKO+ERIKOがベストアジアンクリエイティブアーティスト賞にノミネートされている。

ノミネートアーティストのプレイリストもあるので、今から「推し」のアーティストを見つけて、応援するのも楽しいかも?


第12回金音創作獎の各賞のノミネート一覧はこちらの記事でどうぞ!


第12回金音創作獎スケジュールとみどころを解説

GIMAは授賞式だけではない。アジアのクリエイティブなアーティストたちの交流を促すAsia Rolling Music Festival(亞洲音樂大賞)、台湾の音楽業界の人々が参加するGolden Indie Musicフォーラム、そしてノミネートアーティストによるショーケースと、さまざまなイベントが1週間にわたって開催される一大イベントなのだ。

今回のスケジュールは以下の通り。公式サイトやYouTubeでも確認してほしい。せっかくなのでそれぞれのイベントも解説しておこう。

11月1日(月) Golden Indie Music フォーラム①
11月2日(火) ショーケース➀
11月3日(水) ショーケース②
11月4日(木) Golden Indie Music フォーラム②
11月5日(金) Asia Rolling Music Festival WATCH PARTY
11月6日(土) 授賞式
11月7日(日) ショーケース③

※Golden Indie Music フォーラム、ショーケース①と②、授賞式はYouTubeとFacebookにてストリーミングあり。

Golden Indie Music フォーラム(業界マッチング・交流アクティビティ)  11月1日のセッションのテーマは「ローカルクロスメディア: 音楽制作とセールスミーティング」で、台湾の音楽に関連する業界の人々が参加する。11月4日のセッションのテーマは「アジアにおけるインディー音楽サークルとマーケット交流の分析」で、キーノート登壇者を招いて、北東アジア(日本と韓国)、東南アジア、そして中国の音楽マーケットについてそれぞれ3つのステージでトークセッションが行われる。

Asia Rolling Music Festival WATCH PARTY
台湾の音楽ファンたちは台湾各地(台北・台南・台東・高雄)の会場に集い、あらかじめ収録されたアジアのさまざまなアーティストのライブパフォーマンスのプレミア公開に出席する。台湾のアーティストのパフォーマンスもここで行われる。それぞれのパーティーは、アジア各国の気鋭のアーティストによる20分のパフォーマンスが2セット、そして選抜された台湾のアーティストによる40分のパフォーマンス。日本のロックバンドCody・Lee(李)や、韓国のエクスペリメント・ノーウェーブ・デュオWEDANCE、シンガポールのインディーポップバンドM1LDL1FEなどアジア各国のフレッシュな才能がショーケースされている。

最後に

Asia Rolling Music Festival WATCH PARTYのアジア各地のアーティストたちによるパフォーマンス映像は11月12日にYouTubeとFacebookで公開され、世界中から見ることができるので、興味がある人はGIMAをフォローして最新の情報をキャッチしよう。                                                                                      
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Official website: https://gima.tavis.tw/index.php

自国の文化を反映したオリジナルな作品をクリエイトし、インターナショナルな野心を持ったアーティストがノミネートされるGIMA。GIMAを入口に台湾のインディーシーンや、アジアの音楽に興味をもってもらえたらうれしいし、さらに良質な音楽を探したい方は、鋭意制作中の『アジア都市音楽ディスクガイド(仮)』をぜひ!

関俊行(せき・としゆき)
ミュージシャン/プロデューサー/ライター。MIDI Creativeにて自身のアルバムをこれまでに2枚リリースするかたわら、A&Rや新規プロジェクトの立ち上げなどにも携わる。ライターとしてはMikikiにて連載〈台湾洋行〉を執筆中。
■Twitter:https://twitter.com/tsekimusic
■Instagram:https://www.instagram.com/sekitoshi_/?hl=ja
《書籍情報》
『アジア都市音楽ディスクガイド(仮)』
菅原慎一+パンス 監修
レヴュー執筆(50音順):石黒ユウイチ、Itch、内畑美里、HIRO a.k.a. Travel Digger、金悠進、研究員B、菅原慎一、関俊行、辻村マリナ、寺尾ブッタ、永岡裕介、服部航平、パンス、村田健人、山田勇真、yuki
A5・並製・216ページ(予定) 予価:本体2,200円+税
ISBN: 978-4-86647-145-7

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