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2拠点生活のススメ

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#コラム

2拠点生活のススメ|最終回(365回)|明日へ

徳島に拠点を構えて、今年で5年目を迎える。 初めて徳島に来たときとは自分を取り巻く環境も大きく変化した。入退院を繰り返していた母は亡くなり、父は老人ホームへ入ることを決めた。コロナがやってきて10年に渡って営んできた事務所とギャラリーを閉鎖し、事務所を自宅へと移転。リモートワークも増え、月の半分以上を徳島で過ごす生活になった。 まわりからは羨ましいなんて言われたけど・・・、仕事も減って、不安を打ち消すようにサーフィンに没頭して、心の平静を保っていたというのが本音。 なん

2拠点生活のススメ|第364回|モヤモヤの消し方

徳島から帰ってきて、いきなりの仕事モード。 正月休みの間も頭の中だけはいろいろ動き出していたので、うまく切り替えできたようで一気に活性化、こうして暇を見つけてnoteや短歌も書けている。 そう言えば、今年になってほとんどテレビを見ていないし、夜は短歌本を読みあさるようになった。そうしたことも良い影響を与えているのかも知れないな。短歌を始めたことで言葉に上手く出来ない状況や心情みたいなものを知らぬ間に探している自分が居る。そういうアンテナが立っているせいか、同じ物を見ても感

2拠点生活のススメ|第363回|宿プロジェクト〜もっと自由に宿を捉えようと思った

東京から徳島まで、キャンピングカーに乗って友人夫婦が尋ねてきた。 行政書士になると言って長年勤めた会社を辞めて猛勉強、せっかく試験に合格したというのに、キャンピングカーを買った縁で、キャンピングカー製造販売の会社に就職。今はキャンピングカーを販売するのが楽しくて仕方ないらしい。人生何がキッカケでどうなるのか、分からないものですね。 旅行業界は低調だというのに、キャンピングカーの販売は伸びているそうだ。空前のキャンプブームというのもあるのだろうが、確かにコロナ禍の旅行には向

2拠点生活のススメ|第362回|我が家が簡単炉端焼き屋に

年末に買ったイワタニの炙りや2。 炙りやの名前の通り、食卓で肉や魚や野菜を炙りながら食べられるコンパクトな炉端焼きセット。カセットコンロなのでコードも無いし、キャンプにも最高。直火ではなく赤熱させた輻射板の上で焼くので、何を焼いてもムラなくしっとりと焼ける。焼き鳥の串が置けるステーも付いているのも嬉しいんだな。 ずっと前から欲しかったのだが一時は人気で品薄になっており、年末ドンキにふらっと立ち寄った時にかなり安くなっているのを発見し即買い。 しかも、いつの間にか新製品が

2拠点生活のススメ|第361回|おみくじリベンジ

2022年、初徳島。1ヶ月ぶりにようやく戻ってくることが出来た。 年が明けてすぐに川西で初詣に出かけ、今年を占う気持ちでおみくじの列に並ぶ。かなり念入りにおみくじ箱を振って、取り出した棒を巫女さんへ。希望に胸を膨らませておみくじを見るとなんと「凶」。お正月から凶を引くなんていつぶりだろう 新しいことを始めるのは控え、従来の仕事に邁進すべきとのお言葉。 徳島で宿をやりますと宣言したばかりなのに、真正面から強烈なパンチを食らったような気分。やっぱり初詣は徳島で、みくじも徳島

2拠点生活のススメ|第360回|徳島宿プロジェクト始動します!

明けましておめでとうございます。 正月早々、いきなり宿プロジェクト始動なんて偉そうに言ってはみたものの、あくまで現時点では宣言に過ぎず、実はまったくの白紙状態です。 2年前コロナ禍で、事務所兼ギャラリーを整理したときから密かに考え、理想に相応しい物件は無いか、ずっと探し続けてはきましたが、やっていたのは物件を見ながらの単なる夢想。どこかで、面白そうな物件を見つけたら始動しようとか、まだまだコロナ禍だしなとか、すぐに始めないことの言い訳を確保しながら過ごしてきただけでした。

2拠点生活のススメ|第358回|大掃除あるある

今日は朝から大掃除。 仕事場に溜まった書類を整理し、入らない物を処分、掃除機から雑巾がけ、窓ふきとまじめに掃除していたのだが、リビングの棚を拭いていて、ふと並んだレコードが気になり、手が止まってしまった。 結婚してからほとんどレコードを聴かなくなったので、かなりの数を処分したのだが、それでも手放せなかったレコードが100枚ほど、棚の一部を占拠している。 ほとんどが1970年〜80年代に買った物ばかり。コルトレーンやキャノンボールアダレイ、ビルエバンスなど、古いJAZZの

2拠点生活のススメ|第357回|消えない罪

気分はすっかりお休みモード。 本来は年末の大掃除などをするのが筋なのだろうが、お昼にだし巻きと具だくさん味噌汁で白ご飯をほおばって、すっかり和んでしまい知らぬ間にソファーでうたた寝。気が付けばすでに昼の3時を回っており、今日はもう何もしなくていいやと、気になっていた映画を見ることにした。 サンドラブロック演じるのは、許されぬ罪を背負って生きる元受刑者ルース。出所後も世間の厳しい目にさらされるルースの表情になんとも言えない疎外感と絶望感が滲み出ていて、その鋭い眼差しを見るだ

2拠点生活のススメ|第356回|自分へのお年玉

2021年もあと少し、今日で年内の仕事を終了した。 今年は全体に仕事も暇で、早々と仕事納めだなと思っていたら、年末になってコンペが通ったとの報告。おかげで、人並みな時期に仕事納めを迎えることが出来た。あとは仕事場の掃除を残すのみ。最近図書館で大量の短歌本を借りたり、買ったりしているので机の上は本だらけ、収める場所が無いのでどうしようかな・・・。 そういえば、ある短歌本を出版社から取り寄せると、郵便振替の用紙が本と一緒に送られてきた。ネットでカード決済が当たり前の時代に、郵

2拠点生活のススメ|第355回|「正しい」の使い方

正しさは、時として人を傷つける。 90才になる父と話す度にいつも繰り返す同じグチに、もう何回も聞いたと正論で言い返し、怒らせてしまう。初めてみたいに相づちを打って聞いてあげればいいんだろうけど、どこかで間違ったことは言ってないと開き直る自分がいる。 そうした「正しさ」を盾に、鬱憤を晴らすかのように人を攻撃をするから炎上が起きる。正しいの使い方は、もっと慎重に相手を思いやる必要があるんでしょうね。 正しさは、すべてに優先するというわけでは無いということ・・・。 例えば、

2拠点生活のススメ|第354回|天気はアプリが知らすもの!?

行く先に赤色灯が回転しているのが見える。 ああ、事故か。遅々として進まない車の列に埋もれ、ため息が漏れる。しかし歩くようなスピードで幾つものカーブを過ぎても、事故現場は現れず。いつもなら15分で着くような道のりに1時間。何のことはない、土曜日とクリスマスが招いた自然渋滞に、同じようにパトカーが紛れ込んでいるだけだったようだ。 やっぱり師走というだけあって、みんなあちこちと出かけていく用事があるものなんだな。明日からは大雪なんてニュースが流れ、出かけるなら今日のうちにみたい

2拠点生活のススメ|第353回|ロマンチックではいられない

クリスマスというロマンチックな世界から、いつの間にか距離ができてしまった。 子どもがいないというせいもあるのだろうが、クリスマスも、ハロウィーンも、バレンタインも、良くできた経済活動の仕組みでしょなんて考えてしまう自分が居る。長年、経済を動かす側のPR活動をお手伝いしてきたせいかもしれない。 もうロマンチックではいられないのだ。 もちろん、クリスマスで潤う人も沢山いるわけで、老人ホームで暮らす父にはクリスマスプレゼントを送ったし、プレゼントを貰えば嬉しい。それが例え経済

2拠点生活のススメ|第352回|恐ろしい世界

年末年始はいつもよりたくさん本が借りられると知って、地元の図書館で短歌本ばかりをMAX15冊借りてきた。 ほとんど短歌の作家を知らないので、装丁が気に入ったものや、なるべく現代語で語彙の分かりやすいものばかりを選んだ。気が向くとパラパラとページをめくっているのだが、正直恐ろしい世界に足を踏み入れてしまったことに気が付いた。 死について、恋について、自慰について、青い春について、使われている言葉と言葉が響き合って、その向こうになんとも言えない世界が拡がる。とても自分には取り

2拠点生活のススメ|第349回|人の心を動かす方法

シンガーソングライターのあいみょんが、最近シビれた歌詞はありますかと聞かれ、浜田省吾の「もう一つの土曜日」を上げていた。 ♪テーブルの向こうできみは笑うけど、瞳ふちどる悲しみの影 この「瞳ふちどる悲しみの影」とは「涙」のことを言ってるんじゃないか。かつて「涙」のことをこのように表現した人はいなかったと熱く語るあいみょん。確かにそう言われるとそうだなと妙に感心した。 そう言えば、木下龍也さんの短歌本の中にも「固定されたものごとを分解し流動させろ」という章があり、同じような