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学習習慣のつけかた

学習習慣の価値

みなさんは「希望の学校に行くこと」や「若かりし貴重な時間の大半を勉強に使うこと」、そして「大金を払って塾に通うこと」が、将来(の自分)にどう役立つと考えていますか?
・人脈や所得につながる
・頭が良くなる(良さそうに見える)
など、いろいろと思います。
私は、こう考えます。
まだ気づいていない人や、気づいているが見て見ぬふりをしている人も多数いますが、人類史上最高速度でテクノロジーは発展し、我々の生活、仕事、人生が変化しようとしています。
昭和型大量生産、大量消費の時代は終わり、一人ひとりを大切にする知識社会が到来しています。
有体に言うと、「大学を出れば一生安泰ではない」ということです。
今や「4年で得たスキルの賞味期限は4年」とまで言われ、誰しもが自分を常にアップデートする必要があります。
スキルをかけ算し、自分オリジナルのキャリアを歩める世界、一人ひとりがオーナーシップを持てる世界に変わってきています。
しかもテクノロジーと医療の発展、そして長寿社会日本にいる我々には「人生100年時代」が待っています。
これらを客観視した場合、社会に出て最も苦労するのはどんな人物でしょうか。
・持病を抱える人?
・お金がない人?
・親がいない人?
・学歴がない人?
いろいろな意見はありますが、私は「学ぶ習慣のない人」だと思っています。
逆に言うと、学びの習慣さえあれば世の変化に対しキャッチアップでき(「英語」の学習習慣を「データサイエンス」に置き換えれば良いだけ)、その時代その時代で世の中から必要とされる「何者か」として生きていくことができます。
ですから私は学習習慣こそ宝だと思っており、これこそが今後の世の中をつくる子供たちに永遠に必要だと思っています。

理想は、幼いころから学習習慣をつけることです。
ある程度こどもに自我や反抗期があらわれる10才から15才くらいまでがポイントと感じます。
ですが、現実的にほとんどの子供に学習習慣がないのが実情だと思います。
そんな方のために、今回は今からできる学習習慣習得法について経験をもとにお伝えします。

1  まずやってみる

世のなかには、「やる気が出てから勉強に取り組む」と考えている人が(大人に)多い気がします。私は、この考えが唯一の正解とは思っていません。
仕事や家事を例に考えてみるとわかりやすいですが、いずれも必ずしもやる気が出てから取り組んでいるわけではないはずです。「今日も仕事か」と出勤前は憂鬱でも、いざ出勤してメールをチェックしてみるとその後も次々に業務を片づけられたり、「洗濯するのが面倒だな」と思っていてもいざ洗濯機をまわしてみると面倒と感じなくなる経験はあると思います。要するに、やり始めると次第に気分が乗ってくるのです。これを子供に応用します。
子どもの「やってみよう」という気持ちを引き出すには、まずはアクション数を減らします。人は、必要なアクションの回数が少ないほどその行動が増え、逆に回数が多くなるとその行動が少なくなるという性質があります。個包装でないクッキーと個包装されたクッキーとでは、同じ枚数でも前者の方が一箱を早く完食するといった研究結果もあります。椅子に座らせ、勉強に関係のないものをしまい、鉛筆と消しゴム、テキストとノートを机上にセットし、姿勢を正してあげて、子供のアクション数を最小にしてから「さあ、勉強をがんばろう!」と声をかけます。 
また、スタートは好きな教科、内容、或いは気乗りすることからやってみるのも良いでしょう。

2  成長の可視化

皆さんは、スイミングでもゴルフでも自分のお金で習い事をしたことはありますか?
自分ができるようになったことをできれば毎回把握、そしてそれが可視化されていると、習慣化につながりませんか。
人は本来、他者との比較ではなく自らの成長にやる気を感じます。
また、人は皆成長意欲を持っています。
そして、「自分を成長させてくれる、より高い視座、より良い景色を見せてくれる人」を信頼し、ついていくものです。
それを示し気づかせるのも、人間としてのコーチに求められ、人の役に立つことです。
最初は問題の正解率が低くてつらいと思うので、コーチの励ましを得ましょう。この正解率が60%くらいを超えてくると楽しくなります。
その意味では、逆に60%以上できる内容に戻して一旦やる気、習慣を取り戻すことも一案です。
これも、もうしばらく人間がやることとして残ると思います。


3  計画立て

必要となる学習内容がはっきり決まっていたり試験の出題範囲がある程度決まってる資格取得等の場合には、きっちりと計画を立て実施して行くことが正解にたどり着く最短距離となります。
計画が立てるのが苦手な方もいますが、その場合理想的には学習に伴走してくれるコーチの方にスケジュール管理の役を担っていただくと良いと思います。プロスポーツ選手が、トレーナーにスケジュールやメニューの立案を全て任せるのと同じ発想です。
計画を立てる際に気をつけることは、
・全体の学習量と必要時間を算出し、余裕を持って一日当たりに割り振る。
・同じ内容を繰り返す期間を必ず用意する
・予め学習時間を捻出できない日常を把握して計画すること
です。

予定を立てると、行動が変わってきます。立てた予定通りにうまく進まなかったとしても、それを叱ったり、自信をなくしたりしないこと。もう一つの注意点は、予定通りにうまく行った時に追加でもっとやらせないことです。


4  「やらない自分」の想像と事前準備

「やりたくない」や「やらない言い訳」をいかに減らすかも、大事です。
人間は弱い生き物で、子供ならなおさらです。
「今日は学校でたくさんプリントをもらったが、整理しきれない。こんなに渡してくる先生が良くないので、今日の勉強はやめよう」みたいな思考は当たり前と思ってください。
「やりたくない自分」を事前に想像しておいて(想像を手伝ってあげて)ください。
本ケースだと、「先生がプリントを大量に渡してくることがあるとわかったので、予め勉強部屋を整理し大量のプリントを一時的に置く用にトレイを用意しておこう」となれば、学習習慣への影響も少なくなります。
学びたいという気持ちを最優先で行動にうつせる環境づくりも、コーチの役目です。


5  生活習慣にくっつける

「帰宅したら学校の宿題を終わらせる」
「夕食を食べたら塾の宿題をやる」
のように、生活習慣にくっつけてあげることも学習習慣をつけるには良案です。
皆さんも、何気に日常で習慣化されていることを思い浮かべてください。「シャンプーしたら顔を洗う」
「朝ごはんを食べたら読書する」
など、人はそれぞれ行動をきっかけに習慣が結合していることが多々あります(しかも無意識に)。
1つの行動が結合するもう1つの行動を勝手に呼び出してくれるなら、こんなに楽なことはないでしょう。
音や人の声で次のアクションを誘発するのも、良いことです。学校のチャイムやアニメのオープニングテーマ、授業開始の挨拶も、それがスイッチの役目を果たしていると言えます。


6  周囲を利用する

もし塾や学校に通っているなら、予習をして目立ってやろうというのも、やる気アップ、学習習慣づけには有効です。せっかくだから、他者との関わり合いを自分のやる気アップに使いましょう。
テキストをパラパラと先に開いて「これ、なんか難しそう」とか「これ知ってる」とか興味に合わせてください。興味が湧かないときは太字をなんとなく眺めるでも良いです。
そうして予習をすることで授業がわかったり、皆の前で発表して承認されたりすることで有能感と心地よさを味わえるなら、それを続けると良いでしょう。対象は保護者や友人でも良いと思います。


7  報酬

まずは短期からでも習慣をつけるには、報酬がもってこいです。
保護者が金銭を渡す、先生がほめる、勉強出来たらケーキを食べるなど、それぞれで良いと思います。
ただ、最大の弱点はそれが長くは続かないことなので、各自にとっての習慣化の意味を報酬制の間に見出しておく必要があります。
できれば上記1~6とセットにしておくことをお勧めします。
コーチとそれを話し合うのも良いかもしれません。



8  スモールステップ、ベイビーステップ


これら全てが効かない強者(!)には、スモールステップやベイビーステップが有効です。一例を挙げます。

・テキスト太字の音読
・1日1単語を日常会話で使ってみる
・日常で使っている(気になる)英単語(外来語)を覚える、スペルを調べる(リサーチ、スティックなど)
・「微妙」を使わず1日を過ごしてみる(=他の言い方に気づく)
・作問してみる(なぜ雲は白い?なぜ総理大臣がいるの?)→AIにきいてみる
・桃鉄をやってみる
・グーグルアースで近所を探検
・歴史で習った人物1名を調べてみる
・日常会話を録音し、自動翻訳
・(文字は疲れるので)資料集だけに目を通す
・YOUTUBEで織田信長の解説動画をみる
・理科だマンやDr.STONEなどマンガを読んで、感想を録音

これに関しては、それぞれいくつもアイデアが出ると思います。
ポイントは、その取り組みが何の教科、どんな技能アップと関連するのかを事前にコーチと話し合っておくことです。
そして、スモールステップ、ベイビーステップをいつ卒業するのか(教科によって変えても)を決めておくことです。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
かつて有名校(御三家、東大など)に受かった生徒、保護者からも「入試を経て得たものの中で、永続的な価値は学習習慣だ」という声をよく耳にしました。
進学のための勉強が、その後の人生における興味、関心や出会う人物に直結します。
ぜひ、重要視してみてください。





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