映画感想⑧『パラサイト 半地下の家族』

こんチワワ。

『パラサイト 半地下の家族』だ!!!!!金曜ロードショーでやってましたね。

何故年始からこんなに暗い映画を選択したんだ。日テレよ。

「暗い映画」とは言いましたが、実際暗いのはテーマだけで全体的に面白くてどちらかというとコメディ寄りなんですがね。いや、それでもよ????最後それなりに胸糞じゃない????

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タイトル通り、貧乏家族が金持ち家族にパラサイト、つまり寄生虫のように寄生して生計を立てていく韓国映画になります。

半地下のアパートに住む貧乏家族キム家のお兄ちゃんがひょんなとこから金持ち一家パク家の娘の家庭教師として雇われるところから始まります。家庭教師をしている中で、彼は金持ち家族の純粋さに目をつけ、その後は姉を絵の家庭教師に、父に専属の運転手を・・・と徐々に自分の家族を別人と偽って金持ち家族に紹介していくのでした。最終的には、長年勤めていた家政婦を嘘の病気で解雇させ、そこに母を置くことで貧乏家族は無事皆手に職をつけることに成功。

しかし、パク一家が息子のバースデー旅行で家を丸々空けていた際、そこに解雇したハズの家政婦が「地下室に忘れ物をした」と押しかけてきて・・・・・・。家にあがりこんでいたキム家一行は怪しみながらも彼女を家にあげると、地下室には見知らぬ男が。実は、金持ち家族の地下室には元家政婦の夫が住んでいたのでした。

実は寄生しているのはキム一家だけと見せかけて、元家政婦夫婦もガッツリ寄生していたんですよねー・・・・・・。自分たちが蹴落とした人にも生活があって、更に同じ家に寄生していたと驚愕するキム一家。でも、綺麗事言ってられません。どちらも生活がかかっていますから。この映画の良いところはつまらない綺麗事や感動ポルノで終わるんじゃなくて、ちゃんと”人間の醜さ”とか”現実”を映し出してるところなんですよね。

後、この映画の何が素晴らしいって、貧乏(下の者)と金持ち(上の者)、職を手に入れた者と失った者の対比が気持ち悪いぐらい綺麗に描かれていることなんです。

例えば、「におい」。金持ち一家にはダソンという息子が居るのですが、この子が鋭くて、「家に来ている家庭教師と家政婦は同じ臭いがする」とか言うんです。その後も、運転手の父親も陰で「人柄は良いんだが、臭いがなぁ」と言われてしまうんですね。これっていうのは、家族がお風呂に入れていないとかではなく、”半地下の臭い”。上に住んでいる人たちにしか分からない独特の臭いです。この表現、凄いですよね。言いたいことは凄く分かるんですけど、言い方によっては差別とか偏見になり得ないので例え話とかはしませんが。

後は表情や雰囲気でも比較されてますね。特に、金持ち一家が大雨で息子のバースデー旅行がダメになり、翌日大々的にパーティをしようと準備するシーン。もちろん、キム一家が仕えてますので、パク家はそれぞれに電話をし準備を手伝ってくれと頼むのですが・・・・・・。キム一家の家は昨夜の大雨で家が浸水してしまっていました。ここでは、ルンルンで上機嫌なパク一家の様子と今後への心配と焦り、絶望に駆られたキム一家の様子が表情や仕草で対比されています。

否応なく格差を見せつけるシーンですよ。私はこの表現方法に感動してしまって。コメディのような雰囲気で映画は進んでいくのに、嫌でも目に入る格差の描写に怯えるほかなくて、映画の中盤からはずっとドキドキさせられっぱなしでした。

又、貧乏家族の父が放った言葉もかなり衝撃的で。それが「絶対に失敗しない計画って何だと思う?無計画だ。」というものんですけど。この考え方ってほとんど諦めの意味が込められてますよね。

計画しなければ失敗して落ち込むこともない、何かを望むこともないからどうでもよくなる。確かに、その通りではあるんですけど、現状を打破するにはまず考えて行動するしか人間にはできないんですよ。それでも、計画には限界があって、現に家族は詐欺まがいのことで職を手に入れてるわけですから、どう足掻いても超えられない壁みたいなものが現実にはあるんですよね。

実家で母親と映画を見ていたんですけど、上記の言葉に「良いこというやん」とか「悪いことすると天罰が下るってことね~」とか言ってたんですけど、私はそれとちょっと違ってて。

韓国には実際半地下のアパートってあって、貧困にあえいでる人がごまんと居るんですよ。てか日本でも実際貧困って大きい問題じゃないですか。映画ではその貧困層を「犯罪すれすれで生きていかないと生活ができない人たち」で表わしてます。現実でも、貧困によって犯罪に手を出してしまう人、少なくありません。だけど、金持ち層はそういう現実は知らなくて(もしくは知ってても自分とは関係ないと見て見ぬふり)、格差がどんどん開いてしまうんです。

『パラサイト 半地下の家族』はそういう社会に警告を鳴らすために作られた映画だったと私は思っています。だから綺麗事じゃなくて現実を描いているんだなと。


総合的に見たらガチガチの社会派だし暗いし最後も別に良い終わり方じゃないんですけど、各々のシーンを見てみるとギャグありコメディありハラハラありのエンターテインメント映画ではあります。全然考えずに見ても理解しやすいし面白いと思います。ぱっと見ホラーなのかなみたいなポスターですけど全っっっ然ですからね。

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