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レーザーサイトにノーベル賞を、ジェフにウォッカを [Half-Life: Alyx/感想]

"Take aim, then fire, let's not complicate it."
(『照準を定めて撃つ』、 シンプルに行こうじゃないか。)

── Chamber, VALORANT
"Surely? you can't be serious?" 
(お前マジで言ってんのか?)

── S.A.S, Call of Duty 4: Modern Warfare

まぁチェンバーはナンパしてるからShirly(無愛想でむっつり)とは真反対だがな!




ネタバレは「中盤の難所」を除けばありません。
プレイする予定が既にある方、また判断中の方は、記事序盤で紹介している
「2つのコラム」を参考にして頂ければと思います。
あと下ネタは一応あるといえばあります。

! ATTENTION !

"Half-Life: Alyx"……Steamの生みの親・Valveの本気。VRゲームの革命児、特異点といっても差し支えない最高傑作。プレイ前の印象はこんな感じだったかな。

Half-Life: Alyx(以下、Alyx)はサバイバルホラーのVRゲームだ。時代を先取りする異様な完成度の高さは、これまでのHalf-Lifeが担ってきたパイオニアの意志を見事に受け継いだ。本シリーズがどのような技術の歴史を歩んできたかを知るには、古嶋誉幸氏による記事が非常に分かりやすい。

僕は以前初代Half-Lifeのリメイク作品、Black Mesaをプレイしたが、原形が20年以上前の事実が信じられない程、「普通に」面白かった。少々古臭さは感じられるものの、多くのFPSタイトルが参考にしただけのある普遍的な面白さがあった。ちなみに続編のHalf-Life 2はやってないのでガッポイがなにかも知らない。

話をAlyxに戻そう。今回プレイするにあたり、とにかく期待と不安が膨らんでいた。なにせ、当時値上がり前だったとはいえ4万弱もの大金をかけて作ったVRプレイ環境。
Meta Quest2を買ったときは深夜テンションだったものの、流石に鼓動が尋常ではなかった。

そんな浪費野郎からこのゲームをクリアした感想を述べさせて頂く。


神ゲーだ。これまでプレイしてきたゲーム体験とは全くの別物、極上の体験だ。
正直、どう面白いのか、なぜ面白いのかは ぱソんこ氏の自由研究を参照した方がバチバチに効率が良い。
さっさと見てくれ。

あっちこっちポータルサイトみたいにリンク貼っても見づらいだけなので、2点だけ。多くの面白かったポイントのうち2点だけ挙げる。その後必ず上記の記事を見て、如何にこちら側の文章が口下手かを悟り、そして是非とも自分の身体でAlyxを体験してみてほしい。

まぁ実質3点だけどね。





Ready.0 全ては目前

誰もが一瞬でHands Up!する名シーン。ビビっちゃう。

Half-Lifeシリーズの一貫した特徴といえば、やはり「一貫して主人公の視点から事件を描ききった」表現だろう。

例として本作Alyxのストーリーになぞらえて説明しよう。
主人公であるアリックス・ヴァンズは、地球を支配したコンバインに対抗する者たちの1人。父のイーライ・ヴァンズが奴らに捕まったので、救出するぞおおおおwという展開。しかし奴らの拠点には妙な物があると知り…

ここで重要なのが、一切「視点が切り替わらない」ことだ。
これがTVドラマなら、コンバイン視点の「妙な物」を取り扱うカットシーンが入るはずだ。父のイーライ視点で彼がどう生き延びたかのシーンも入るだろう。だが、本作には主人公であるアリックスの視点が変わることは、一瞬として無い。
何なら、操作できないムービーシーンも殆ど無い。いつでも身体の自由性が徹底して確保されている。

つまり、事件の詳細な全体像よりも、今貴方が見ている、肌で感じている光景が全てなのだ。

ムービーシーンではないのでいつまでも見ていられる

これがVRと組み合わさるとどう面白いのか。結論として、これまでとは一線を画す緊張感を生むことに成功する。

まず、VRでの移動方法は断続的なテレポート、連続的なスティック入力、中間策のシフトの3つが存在する。

センキューHalf-Life公式サイト! 俺は連続的でやって最初はかなり酔ったよ!

そして、VR初心者が選ぶであろう断続的操作のテレポートは、一番酔いづらいが棒立ちの時間が増え、ゲームのテンポがスローになりがち。
そこでValveはAlyxをよりサバイバルホラーに仕上げ、スローテンポを逆に活かすことにする。うーん天才だ。僕がホラー苦手なことを除けば。

サバイバルホラーはバイオハザードが良い例だろう。弾がねェ、救いがねェ、ゾンビ毎日ぐーるぐる。
とはいえ、弾の少なさに辟易して、恐怖などよそに一発一発懇切丁寧にゾンビにヘッドショットをお見舞いするゲーマーは少なくないだろう。僕もそうだ。

だが、そんな節約家は困った難題を突き付けられる。



Point.1 "ブギーマンに構うな!"

Half-Life Chapter13は "フリーマンに構うな!"(Forget About Freeman!)まぁまぁ難しかった。

「アイアンサイト、これ当たる?」「あれ利き目どっちだ俺?」

今回はマウスじゃねえ。VRのコントローラーで狙うんだ。

両手をまっすぐ伸ばして照準を合わせる。ピントが合って「お、撃てる」と思ったら、何故か当たらない。構えが悪いのか?いや真っ直ぐ立ってるぞ?
ジョンウィックや千束に憧れた奴はピストルをCAR System Extendでやってみろ。クソ程面白いがマジで全然当たらない。すぐ構えられない。もう一度言うが当たらない。
あーあ、次のヘッドクラブゾンビがやってきたよ。

やはり俺はブギーマンには成れないのか、いやまだ早い。もっと絶望すべきことがあるだろう?

残弾は常に分かる訳ではない。リロードもRなんて使わない。マガジンを変え、スライドを引くんだ。
「近くにゾンビが!」「バーナクルに捕まった!」だからって残弾を数えずに撃ち切ってみろ。絶対にマガジンを取りこぼすかスライドを引き忘れる。

これがねぇ、楽しいのよ。「俺はCity17で生きてる」って感じる。
コースティックだって言ってるじゃないか。「死が急速に迫ってくる間が、一番生を実感する!」って。


しかし外れるばかりでは進まない。そこで輝くのが、レーザーサイトだった。

No Skill Weapon キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

ドットサイトもあったが、結局は覗く必要がある。レーザーサイトならば覗かなくても、赤点を見れば狙いがつく。正直言って、Alyxはレーザーサイトの有無だけでも遠距離戦の戦いやすさが段違いに変わる。
マジでノーベル賞をデンジ君じゃなくてコレ発明した奴にあげた方が良い。

いきなりヘッドクラブが出てきても、落ち着いて赤点を見つめる。飛び掛かる前に奴は必ず動きを止める。そこに鉛弾を4発撃ち込む。

ブギーマンには成れないが、少なくともCity17の英雄には近づける。コンバインは大体蹴散らせるぞ。

ホントになんなんだろうね一連の速度と正確性…



Point.2 ジェフとアリックスのドキドキ♡エレベーター!

これが一番書きたかった。まず、僕はホラーが苦手だ。それも、青鬼や魔女の家のようなチェイス系の敵が出てくるものが一番ダメだ。

なのに、だ。出てきやがった。Chapter7。ジェフだ。
まるで…いや俺アレやってないからネタにするのはやめておこう。

結構見た目はグロいので上から

ジェフは目が見えない為、聴覚に従って行動する。幸いロケーションにはウォッカの入ったガラス瓶が大量にあり、各地で割ってジェフを誘導しつつ脱出を図るのがこのチャプターだ。

ぶっちゃけもう二度とやりたくない。体力テストのハンドボール投げがいつも最底辺だった自身の投擲能力の低さのせいで、ウォッカがいつも僕の足元で破裂する。

まぁそれでも何とか進んだよ。停電やらクランクやら色々あったが、セーフゾーンらしきエレベーターまで滑り込んだ。

よーし上に上がるぞ。あれ?この配電マズくね?ドア開くんじゃ・・・
ジェフ「おじゃましま~すw^^」

Fandom, Added by EveryCafe44 Posted in Jeff

あああああああああああああああああ!!!111!!!ああああああああああああああああああああああああ!11111!1!
困ります!!あーっ!!困ります!!お客様!!あーっ!!窓に!窓に!お客様!!お客様困り!!あーっお客様!!困りますあーっ!!困ーっ!!窓に!窓に!お客困ーっ!!困ります!!困り様!!あーっ!!お客様!!困ります!!お客ます!!窓に!窓に!困ります!!あーっ!!おいジェフ!!!!!!!!!入るな!!!!!!

3分クオリティ

ホントに嫌だった。しかもこれ、正規ルート…。右手にあるエレベーターのボタンを押さなければならないという鬼畜Valve鬼畜。
あまりにも嫌すぎて暫くエレベーターの中で2人きりのまま悟りを開いていた。うーん、これはもう1周回ってドキドキ展開。

「いっけなーい!遅刻遅刻~!」と走り込んでくるジェフ。いつもの女子高生と違うのは性別が多分男なのと、パンじゃなくて異臭ガスを蓄えているところだけ!うん、誤差だな!

んな訳あるか。2度とやらねぇ。丁重にゴミ処理してやった。ちなみに終盤はジェフとかくれんぼしながら電源コアを3つ集める展開で、「クソだね!」と言いそうになったが、Good Luck guyがいたので頑張った。ありがとうGLニキ。

ジェフ終盤にサムズアップするコンバイン兵の死体。粋



Close.3 おわりに

夜明けはまだ遠く

繰り返し言うが、本作AlyxはVRの特性をこれでもかと活かした傑作だ。

しかし、過去のHalf-Lifeがそうであったように、これもまたいずれ「新鮮さを失った普通の名作」に成り果てると指摘する者もいる。だからこそ、後ではなく今遊ぶべきだ、と。

確かに4万弱は結構高い。正直現時点でこの価格分楽しめたかと言われると「やー4万かぁ…」と少々考えてしまう程の高さなのは重々承知だ。

しかし、Alyx以外にも特筆すべきVRタイトルは存在する。その1つ、Boneworksは ぱソんこ氏により、「偏執的な物理演算とVRの身体感覚を組み合わせたことでかつてない没入感」を生み出したと紹介されている。ちなみに僕は買ったがまだ遊んでいない。

まぁ、VRは個人的には未来からやってきたような面白いゲームへの投資費用みたいなモンですよ。おすすめはしないけどオススメしたい。

Alyx、素晴らしいゲームでした。





参考資料

  • Valve, Steam, Half-Life: Alyx

  • Valve, Half Life Alyx 公式サイト

  • 古嶋誉幸, IGN Japan,「Half-Life」はなぜ歴史的な名作なのか

  • ぱソんこ, 【コラム】至高のVRゲーム『Half-Life: Alyx』はなぜ怖くて面白いのか?VALVEがとった逆算のVRゲームデザインを考察しよう。

  • そにっく885, ASTONESS, Half-Life: Alyx レビュー:全作プレイした筆者によるAlyx徹底解説(後半に攻略法有)

  • GAME LIFE, Half-Life 批評 評価:秀逸な演出、高いインタラクティブ性、練りこまれたバランス


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