転職に失敗した、親父と仲直りできた。
突然ですが、僕は転職に失敗したことがあります。
今回は、「転職に失敗したけど、それで良かった。」というテーマで書いていきたいと思います。
自己紹介代わりにそれまでの経緯を書いていきます。
新卒で入社した会社
新卒で入社した会社は600名程度の全国規模の会社でした。会社を辞めた今でも同期と連絡を取ったり飲みに行ったりできているし、先輩や上司からも可愛がられていて、とても良い環境でした。
社長からも色々と目を掛けていただいて、退職する前に何回か辞めたいと相談した時には、わざわざ時間を取ってくれて面談もしてくれました。
仕事の方も嫌なことや面倒なことは色々とあったけれど、様々な部署の人たちと信頼関係を築くことができて、やりがいや楽しかったことも沢山ありました。
連日深夜2時過ぎまで頭が狂いそうになりながら仕事をしていた時も、大変さよりも非日常感が逆に楽しかったです。たぶん、普通なら絶対に嫌だと思うんですが、職場環境が居心地良いとそこまで苦にはならなかったです。
入社4年目くらいに大きなプロジェクトのメンバーとして招集された時には、最年少ということもあって自分に誇りも持てていました。
退職した理由
プロジェクトが終わって燃え尽きた
いざ、プロジェクトが始まると怒涛の如く押し寄せるタスクに溺れかけながら、毎日必死になって死に物狂いで仕事をしていました。
その中で、普段の業務では絶対にできないような体制変更や業務改善も行って、色々と今までに無かったことを実現しながらプロジェクト完遂までの1年半を駆け抜けました。
終わってみると、会社史上最高益を叩き出し、ロスやクレーム発生率も低く、今後に繋がりそうな業務改善も次々と生み出せました。僕が退職した後もシステムとか業務方法が残っているのは嬉しいことです。
そんな恵まれた環境でしたが、僕はプロジェクトが終わってからつまらない日々を送っていました。
プロジェクト中は、通常業務よりも何倍ものタスク、複数部門と連携しながら進めないといけない緻密さ、期限が決まっているというスピード感、全てをクリアしながら進めないといけませんでした。
元々、「自分の持っている仕事は早めに終わらせたい」「自分のところで仕事を止めたくない」「今日できることは今日やる」というモットーがあったので、それがプロジェクトでも活かされて自分の業務スキルは急成長を遂げることができました。
しかし、通常業務だけの日常に戻ってしまうと、出社して半日で自分の仕事は終わってしまうようになっていました。それ以外の時間は、他のメンバーのサポートやトラブル対応を代わってあげたり、課内の業務改善を色々と提案していました。しかし、業務改善をしようと思うと、数多くの保守派の他部署が関わるたびに難色を示されて頓挫することが多くありました。
そんな日々を過ごしていくと、「これまでも、これからも、同規模のプロジェクトは無い」と言われてきたプロジェクトの日々が恋しくなってきました。そして、もうあのワクワク感が無いと思うと、この先の定年までの数十年間に希望が持てなくなりました。
コロナで2週間のホテル療養
無気力な毎日を過ごしていた矢先、まだ世界中がここまでコロナ禍が続き、人々の生活様式が変わるなんて想像できていなかった頃、僕はコロナに罹患しました。
たぶん、全国で感染者数の累計が1000人を越えたくらいの超初期の頃でした。
その当時の内容は、こちらにも少しだけ書きました。
ホテルに仕事用のPCも持ち込み、仕事自体はリモートワークで乗り切っていました。ただ、先述したように半日で仕事が終わってしまうレベルでしたので、それ以外の時間はひたすら考え事をしていました。
「コロナで死ぬかもしれない」
「人は、いつ死ぬか分からない」
「このまま同じ仕事でいいのか」
「結婚とか考えるともっとお金が欲しい」
ここで、「転職しよう!」と決意しました。
若者の低賃金問題
あとは、「やっぱり結婚とか考えると今の会社だと共働きじゃないとキツいだろうな。」という思いもありました。
共働き世帯って当たり前だと思いますが、人生は何があるか分からないですよね。ペアローン組んで住宅購入して子育てしていて、どちらか片方が就業不可の状況になった時を考えると恐いというのが個人的な意見です。
だから、もう少し日本人全体の給料を底上げしてほしいし、安くても働ける外国人労働者を受け入れるんじゃなくて、もっと日本人全体が豊かになっていけるようにしてほしいです。切実に。というか、ゆとり世代って本当にツラい。軍資金貯めたら政治家になって、この日本を変えていくんで同世代のみんなは待っててください。
ちょっと話は脱線しましたが、もう少し給料が高いところに行きたいと思い始め、今の自分なら何でもできるだろうとたかを括っていました。
不動産会社へ入社
ここに転職したのが失敗でした。
お金欲しさに転職しましたが、それを人生の後悔として、一生の教訓にしていこうと固く誓いました。
というのも、そもそも入った会社は大所帯のところではなく、その理由も採用面接では「業務が手一杯で人員拡大できない」ということでしたが、実際は「辞めていく人が多すぎる」という典型的な理由でした。ネットにも口コミは無かったので、入社してから発覚した事実でした。
社長以外は、本当に良い人たちばかりで優しくて沢山フォローもしてくださって恵まれていましたが、社長だけが本当にキツかったです。
特定されるのは嫌なので、場所は都内某所とだけにしておきましょう。
入社してすぐは物件確認や下見程度の簡単な仕事ばかりなのですが、他の先輩社員が入社当時に与えられたノルマよりも遥かに多かったみたいで、できないたびにほぼ毎日数時間ネチネチと説教されていました。
思いっきり一発だけ怒鳴られたり、不機嫌になると物に当たる人、は前職で慣れていたので、そういう人なら問題無かったのですが、ネチネチと説教され続けると精神的におかしくなってきます。毎回、最終的には僕の前職を小馬鹿にしたり、人格否定や自分以外の家族や恋人の悪口にまで発展するので、本当に地獄でした。
心身共に限界、すぐに退職
そんな生活が始まって数週間ですぐに身体に異変が生じました。夜は眠れないし、指先が常に震えるし、何も食欲が湧かないし、死にたくなってきました。
「様子が変だよ。」と彼女からも心配されました。
そして、「もうダメだ。」と思って、逃げるように退職することを決めました。社長以外の人は尊敬もできて頼りにしていたので、上長に辞めたい旨を相談しました。
「ここで辞めても俺は“逃げた”とは思わない、たしかに君に弱い部分もあるし至らない部分もあるけれど、この会社が全てではないから気にするな。」
こういう言葉を掛けてもらいました。そして、辞める時も社長が面倒な人なので、上長もサポートしてくださって退職しました。
心身共に既にボロボロで、涙を堪えながら会社を後にしました。
退職してその足で実家へ
突然ですが、僕は親父と10年以上ちゃんとした会話をしたことがありません。
理由としては、小さい頃から僕が何かをしたいと言うたびに「お金が無い」「うちは貧乏だから」と言い続けてきたし、お金の話になると途端に不機嫌になるような人だったからです。
大学まで通わせてもらったので恩は感じていますが、やはり転職に失敗した理由の「お金が欲しかった」というのは、この幼少期の環境があったのかもしれません。
会社を辞めてすぐにお袋に連絡をすると、「私は仕事でいないけど、“あの人”は家にいるから、きちんと自分で報告しなさい。」と珍しくキッパリとした口調で言われました。そもそも、両親共に不動産業界への転職は難色を示していました。
電車に揺られて地元に戻り、久しぶりに実家へと帰ってきました。
親父への報告
親父は、部屋着でリビングにいました。
そこで、退職したことを報告しました。
自分が未熟だったこと
何でもできると勘違いしていたこと
お金に執着していたこと
自分を育ててくれた親父の凄さを思い知ったこと
10年以上ぶりの会話がこんなものになるとは。報告をする中で自分が惨めすぎて涙が溢れて止まらずに流れ続けていました。
初めて知った親父のこと
一通りの報告を終えると、親父も色々と教えてくれました。こうやって親父の話を聞くなんて久しぶりでした。
若い頃はお金が無くて苦労したこと
僕のお袋は子供2人以上欲しかったけど、金銭的にそれを叶えてあげられなかったこと(僕は一人っ子なのです)
僕は農学部に通っていたのですが、親父も本当は農業を勉強したかったらしいが、家の金銭的な都合で夢を叶えられなかったこと、だから僕が農学部を選んだことが嬉しかったこと
親父は、夜間大学に通いながら仕事をしていた人でした。色々と自分の夢を諦めて実家のために仕事をしていたようで、そんなエピソードは初めて知ったし、それを聞いたらお金にうるさくなるのも今では少し納得できます。
失われた10余年を取り戻したい
色々と語ってくれた親父が、年老いて小さくなってきているのも感じました。そして、もう先が長くないからと遺産の話もしてきました。
小さい頃はあれだけ大きかった親父の背中が、10年以上の時を経ていつの間にか小さくなったことに悲しくなりました。
そして、今までは大嫌いだった親父の過去の苦労などを知って、親父への尊敬と親父と僕の今までの空白の期間を取り戻したいという思いが芽生えました。
そこから少しずつ、実家に帰るたびに、まだ少しだけぎこちなさは残っていますが、親父と二人で会話する回数も増えています。
多くの人なら当たり前のように両親と会話するのかもしれませんが、僕は10年以上の時を越えて、やっと親父とも会話できるようになってきました。
家族の大切さを改めて知ることができました。
転職を考えている方へ
僕は、転職に失敗しました。
でも、そのおかげで自分の傲慢さや勘違いを砕くことができました。それはきっと同じ職場や会社では実現が難しかったと思います。環境を変えたからこそ、見えてきた景色はありました。
そして、思わぬキッカケで親父と仲直りできました。「もう一生このまま親父とはまともに会話することもないだろう」と思っていましたが、転職に失敗したことで、親父の偉大さや苦労を知ることができました。
もしも、これを読んでいて転職を考えている方がいるならば、僕は全力で応援をしたいと思います。
たとえ転職に失敗しても、
人生の失敗ではありません。
入った会社でダメだったとしても
あなた自身がダメな人間ではありません。
自分の人生です。
自分が壊れてしまう仕事なら
それは自分のためではないです。
転職を考えている方の新たなご縁と新天地でのご活躍をお祈りしております。
宜しければ、サポートお願いいたします。