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#1 シルビアのいる街で

シルビアのいる街で(2007) / ホセ・ルイス・ゲリン

何から書くべきか迷いましたが、最後に観た、ホセ・ルイス・ゲリン監督の「シルビアのいる街で」という作品について書いてみようと思います。映画批評(と言えるようなものではありませんが)を書いたことが無いので、拙く、目に余る部分もあるかと思いますが、何かあればコメントにお願いします。自分はこんな見方をしたという意見や、関連作品のおすすめなどありましたら、それらもコメントしていただけると嬉しいです。

作品情報

シルビアのいる街で En la ciudad de Sylvia (引用:Wikipedia)

シルビアのいる街で

2007年のスペイン・フランス合作のドラマ映画。フランスの古都ストラスブールを舞台に、1人の青年がかつて出会った女性の面影を求めて想い出の街をさまよう姿を静謐かつ詩的な音響と映像で描いた斬新且つ野心的な異色作である。

2008年に第21回東京国際映画祭の「World Cinema」部門にて上映された作品で、ホセ・ルイス・ゲリン監督の作品の中では一番日本での知名度が高い作品であると言えます。他にもヴェネツィアやトロント国際映画祭にて上映されています。

日本での配給は紀伊國屋書店とマーメイドフィルムとなっていますが、私は英語以外のヨーロッパ映画をあまり観たことが無いので、マーメイドフィルムというのは初めて聞きました。基本的にはヨーロッパ映画を中心に扱っているようですが、大杉漣さんの最後の出演映画である「教誨師」の配給も行っていたようです。

感想・考察

この映画は1人の青年と、彼がかつて出会った「シルビア」によく似た女性をメインに映していますが、2人が会話を交わすのは終盤に差し掛かる頃です。また、その会話に深い意味があるわけでも新しい発見があるわけでもありません。そしてそれまでは、ストラスブールの街の中を、女性が歩き、その後ろを青年が追うという映像が続きますが、ここで監督が映し出したかったのはストラスブールの美しい街並みと特徴的な住民たちの様子なのではないかと思います。

冒頭では男性が滞在しているであろう民宿の前の通りが映し出されます。そこを通る様々な人たちはここで出番が終わるわけではなく、映画の途中でまた通行人として登場します。それを発見するのが楽しく、キャラクターに愛着が湧き、映画への集中も高めていきます。

映画の序盤ではカフェで人間観察をしている青年の様子が映し出されます。カフェで会話を楽しんでいる様子の市民たちの中には、会話を楽しむ気が感じられない気の抜けた人や、じっと考え込む人、恋人の話を楽しそうに聞いていたかと思うと数分後にはうんざりした顔をしている人など様々な人がいて、その様子をかわるがわる、何度も映すので、そういった人たちの顔と置かれている状況を把握できるようになり、自分が人間観察をしているような気分にもなります。

最後のシーンでは若さと老い、美と醜の対比を感じさせる演出がありますが、フランス映画らしいと感じました。監督はスペインの出身なので、ストラスブールの美しさに惹かれつつも、美へのこだわりが強いフランス人を少し否定的に演出しようとした意図があるのかもしれません。(これについては自分でも少し考えすぎかと思っていますが、一応感じたことの記録として残しておきたいと思います。)

また、「シルビア」や、追いかけられる女性について深く語られることは無く、推察や高度な理解を強いられることがあまり無いので、全体を通してのんびりと観られます。私はストーリー性よりも、映像や音楽の美しさを感じられる映画だと感じました。平日のお昼過ぎに観たのですが、風が心地よく部屋に入ってくるのもあり、涼しく、さわやかな印象でした。

ただ、映画を立て続けにみている中でこの作品を観ると、何かメッセージが込められているのではないか、何か起こるのではないかと考えすぎてしまいますが、気を張らずにみるのが一番だと思います。本編時間は84分と短めなので、自粛期間に初夏の心地よい涼しさを感じるにはとても良いのではないかと思います。


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