見出し画像

研究開発職もポータブルスキルを磨こう。

研究開発職の最も磨くべき力は、自分の研究テーマに関する技術・知識であることは間違いない。

しかし最近は技術イノベーションが早く、自分の専門領域の技術が一瞬で廃れてしまうことがある。

最近だとCRSPR-cas9の登場は際たるものかもしれない。これまでのジンクフィンガーやTALENを専門としていた人は中々の苦境に陥っていると思う。

企業研究者にとってはもっとシビアな問題かもしれない。事業がなくなったりすると瞬時に仕事がなくなる恐れがある。デジカメとフイルムカメラ、液晶テレビと有機ELテレビ、ガソリン車と電気自動車等、今後も世の中の発展と共に技術は移り変わるだろう。

その時うまく新技術に移行できれば良いが、専門領域を変えるのは歳を重ねるほど難しい。そして、うまく変えられたとしても、元々やってる研究者にどう立ち向かうかの戦略も必要だ。

キャリアを考える上で専門領域の選択というのは思っているよりギャンブルだったりするのだ。

キャリアを考えると専門分野や職場とは関係なく、仕事に使える技術を持っておくことはとても大事だと思う。いざとなった時に転職したり、独立したりできるように準備しておくのだ。

こういった技術はポータブルスキルという。ポータブルスキルを持てば持つほど、市場価値は高まり、転職もしやすいだろう。

では研究開発職で身につけられるポータブルスキルとは何だろうか?改めて考えてみると、意外と応用力のあるスキルを身に付けられる職種かもしれない。

英語力

研究者であれば、少なくとも英語論文を読んだり、書いたりする経験は積めるだろう。学会等で発表したりする機会もあるかもしれない。

ビジネスで交渉するレベルではないだろうが、社内の人間と仕事を回すくらいの英語力は身につけられると思う。何より英語力よりも話す内容に価値があることが重要であるということには気づけると思う。

私がヨーロッパで参加したとある国際学会で、日本人の大御所の方が招待講演を行った。パワーポイントのスライドは論文の図を貼っただけだった。そして英語も紙に書いた原稿を辿々しく読んでいた。いずれも学生がやるとぶっ飛ばされることである。

しかし、その内容のレベルが高すきて、講演が終わった途端スタンディングオベーションであった。

もちろん英語力を磨き、スライドも作り込み、完璧な講演にする努力は必要だ。それでも、コンテンツである研究内容こそが大事であり、それを引き立てるのが英語力だと思い知った経験であった。

文章作成能力

報告書や企画書といったドキュメント作成はどの仕事でも避けては通れない。いかにロジカルに、そして端的に上司や関係者を説得できるかが仕事を進める鍵である。

従って論文執筆という最も論理的な文章を作成する技術というのは貴重な技術になり得るのだ。

多くの場合、初めて論文を書くと指導教官にボコボコに直される。日本の教育では文章作成でそこまで教育されるチャンスはないので、論文を一本書くだけでも大きく成長するだろう。

論文を書いたことがある人とない人では、文章力に大きな差があるし、研究の進め方にも差がある気がしている。

論理思考

これも研究をする上では当たり前のものだ。それでも社会では出来る人は少ないらしい。

論理的であるからと言って正しいとは限らないが、論理的でないことはただのアホだと聞いたことがある。

研究を進めることは論理を突き詰めることとと等しいので、論理思考は磨かれているはずだ。何か仕事を与えられても漠然とこなさず、論理的に考えるだろう。その結果、やってられない、と感じることも多いだろうが。。

仮説思考

仮説思考とは、仮説としてこういうことかな?と予想を立ててから、物事に取り組む姿勢だ。そうすることで一つずつあってるかどうか結論をつけながら前に進むことができる。

研究活動では基本的にこの仮説(作業仮説ともいう)を立てながら実験をして、考察をしながら進んでいく。

研究をやっていない人にとっては未知の活動のようである。それでもコンサルのような仕事でも当然のように使われているので、サラリーマンとしても重要なスキルなのだと思う。

プレゼンテーション能力

研究成果を学会等で発表することも多い。難しい内容をわかりやすく伝えるためのスライド作成技術や話し方もとても重要なスキルだ。

大学から企業に移って学会での発表の機会は減ったが、日常業務の中で発表することは依然として多い。

ある程度場数を踏むことも大事なので、スキルとしては重宝すると思う。

調査能力

自分の知らないことをざっと調べる能力は言うまでもなく重要である。研究活動では、基本的に誰も知らないことに挑戦するので、その過程で英語論文等の原著論文を読んだり、英語のサイトを漁って必要な情報を集める経験を積める。さらに集めた情報から主張に即した形で仮説としてまとめ上げる技術にもつながる。

まとめ

以上のようなスキルはどんな業界やどんな職種でも役立てそうな気がしないだろうか?

少なくともスーパーサラリーマン達は身につけていることばかりだと思う。

この辺りは意識してスキルアップしておくと、転職を含めたキャリアアップにも役立つに違いない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?