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話題の健康診断


最近、小学生の健康診断が話題ですね。
話題の原点となったのは、ある活動家?の以下のツイートの様子。


ツイートから抜粋


まあこれだけだと切り抜きなのでフェアではありませんが、要は

検診で上半身裸にする必要ありましたか?

ということらしい。
ツイートと新聞記事の内容にずれがあるので、真偽のほどは定かではありませんが、この一言から様々な論争が飛び交っていたようです。



さて、ここで重要なのは

何を最優先するべきなのか?」かと思います。



上半身裸にすることのメリットとしては

・聴診がしやすくなる(布擦れの雑音の問題がなくなる)
・側弯、虐待跡等の視覚的な異常が見やすくなる
・短時間で大量の人数を捌く必要があり、検査の効率化に有用

デメリットとしては

・多感な年頃の子達の羞恥心に触れる
・性的な疑惑を持たれる
(一部の常識のない人たちのせいですが)

かと思います。



さて、ここで最優先するべきことは何か?
イチ医療者としては、異常を見逃さないようにすることだと思います。

心電図や胸部レントゲン等でもある程度は分かるかもしれません。
ですが、心電図が成人と同様になるのは18歳頃であり、心電図のみでは異常を拾うのは困難な可能性があります。

また胸部レントゲンでは弁膜症やシャント性疾患(胎児の時に空いていた穴が、出生しても塞がれていない)は聴診でないと分かりません。
心エコーでも描出が困難な可能性がありますし、そもそも誰に心エコーを行うのか、という問題もありますしね。

そして何より、
診察で集中しているときに、裸であることなど頭から飛んでいます。
例えば全身麻酔の手術の時は患者さんを全裸にしているワケですが、そこに性的興奮を覚えるまともな医療者はいません。

これはなかなか一般人に理解されないところですね。
勿論、羞恥心を蔑ろにしろとは思いません。でも必要以上に対応する必要はないと思います。


まあ過去に性的な犯罪を起こしてきた医療者も確かにいるから、何とも言い難いところですが。
それはその人の人間性の問題であり、「医療者」と一括りにされるのは・・・うーん。


医療者・患者、お互いに理解を深めていきたいですね。


私としては、やはり「検診で上半身裸にするのは問題なのか」というあまり中身のないことを問題にするのではなく、行政や親が「嫌であっても、これは必要なことである」ということをしっかり当事者に教えることだと思うんですよね。
多感な子供が嫌がるのは、正直しょうがないと思います。検診の大事さも分かるワケありませんから。

そこで大人が子供の感情を優先させてしまうこと、これこそが問題だと思っています。


あくまで一番大切なのは子供の健康です。
今回の件をきっかけに、検診をしにくくする方向に世論が動かないよう祈ります。


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