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パンドラの箱

#みんなの文藝春秋


デュラスのような愛人(ラマン)


女の経験人数の多さや回数は男とは比較や比例はしない。18の時に送別会があって社会人になって初めて飲み会に行った時、隣の席の女子ばかりのOLの女子会の盛り上がりがスゴくおもしろかった。

「何人とヤったかは覚えていてもひとりの子と何回ヤったかなんてぜったい覚えてない!」ものすごい盛り上がりで合コンの経験もない私はその居酒屋のアツいムードがけっこう好きになった。

セクシャリティを話題に出す時、身持ちがカタイほうがいいのか、抑圧を解放しているほうがいいのか(だってそんなの正解なんてないし)

性癖のこういうのを(マイノリティとか)フェミニズムというとかまた、ウンザリする。

そういう話じゃない。

だけど男と違うのは精神年齢と成熟が比例していないと問題を起こしやすく引き寄せやすい。

タイの売春村みたいな貧しくて幼いのに生きるために、売るというのと全く違う日本のような豊かな国での話。


「顔に大きな傷跡があるんだ、カレシの車で事故って車のフロントガラスが割れて」そう言われてよく見るとなんとなくある。

でもほとんどわからないよ、と言うと笑いながら化粧で上手くかくしてるんだ、とホントに明るい人。

よく家族の話をしてくれた。理想的なホントにいい家庭の育ち、大倉山に住む事になったと言うと「大倉山ならいいよ、綱島はダメだよ!ヤクザが多いからね!」横浜で地元育ちだからそういうアドバイスもしてくれる。

少しも噛み合わない男の話にならなければホントにいい友人。それは恋愛の話ではなくて「性的」な話ということで。

とにかく開放的というか、10代でものすごく好きになった人がいた、という話から始まった。ここらへんは過去に実は私の周りにもよくいたのでヤリマンになる気持ちの存在は解る。10代の中学生や高校生ぐらいでその好きになったカレシ(相手がベッドで上手い年上なら特に)とあまりにも濃厚な男女関係を長期で繰り返すと、どうも女には

「開けてはいけない箱」を開けてしまうことがある。

これは臨病心理士から聞いた話だけど未成熟なうちに官能的な体験が多いと性的なモラルがなくなるらしい。

そしてそれが暴力的な嫌な体験(レイプとか)ではなく、自ら望んでその人のプロセスの中でもっとも人に誇れる「家族以外に女として愛された記憶」としてインプットされる。男女関係に罪があるとしたらそれは蜜のような時間の体験かもしれない。

私は男女関係についてはそれが不倫であろうが略奪でも浮気でもなんでも本人たち(2人が)が望んでそうしたら社会的には間違っていてもホントのところ、誰にも何も言えないという意見を持っている。

これは心(恋愛)をお金に換算してはいないというのもあってその2人の問題だと思う。

そして人を好きになることは決して悪い事ではないからだった。

蜜の味

たとえば不慮の事故のようにレイプ被害やこんな星の下に生まれてしまったというような貧困層の国の売春とは違った「崩壊」がある。

だからその恋愛経験豊富な友人からサラッと遍歴の話が出ると悲壮感も全くないし、その後の遍歴もとても軽いモノになっている。

学生時代に六本木のキャバクラでバイトした時にヤクザだと思わなくて調子に乗っていたら他のキャバ嬢が連絡先(自宅の電話番号/スマホのない時代)を教えてしまって自宅に脅しの電話をかけてきて仕方なくヤラれてしまった話も普通ならトラウマになるような事もその人の中ではちょっとショックなトラブルで終わっている。そういうの、めっちゃこわいよ、と言ってもそれだけで済んだからさ、という。

渋谷の街の雑踏のイメージ

渋谷のビルの一角を指さしてあれ、なんだと思う?と聞かれた事があった。

なんかの事務所?と聞くとあれはデークラ(デートクラブ)だよ、デークラと教えてくれた。どんな事するの?デークラって?と聞くと「待ち合わせてデートするんだよ」どんな人が来るのかきくと「それはね~おてんとう様の下を歩けないよーなのがくる」と教えてくれた。そして「ヤルの?」と聞くと、えっ?私はヤラないよ!オマエはヤルなっていわれたし、そういう話をした後で東横線の駅で笑顔で手を振ってくれた20代の男の子がいて「今はまともに仕事やってる!」と大声で挨拶をした。知りあい?と聞くとあの子さ、チーマーだよ、女の子を何発もブン殴って鼻血の顔をみないとイカないんだって。とサラッという。ドン引きするのは男の話がでる時だけで後はかわいい人。

道徳観念と倫理観

道徳観念と倫理観において例えば自分に14才の娘がいたとする。なんで援交したらいけないの?男も喜んで自分もお金貰って喜んでハッピーなのに?と言われたらなんて言う?

仮に自分が過去に人に言えないような事をしたとしても親としてはそれは絶対してはいけないというのがモラルだからでそこに自分はいいけど、とか変な理由はない。

男のホメに敏感じゃないとオンナじゃない!

お水で汗水?たらして稼いだ高給をなんでホストクラブで使うのかわからないというとホストっておもしろいよ、と笑う。だって考えてみてよ?散々男に酒をついで心にもない事ばっかり言って稼いだのに今度はそれをおなじように男に払うなんてバカバカしい、全然わからないんだけど?なんていうと世の中お金ばっかりじゃない、恋愛とか遊びはだいじだよ~なんていう。

しみじみと私は母親が2回も離婚(考えられないらしい)していろんな意味で貧しい母子家庭育ちだから愛とか知らなくて「愛や恋の戯れ言よりも1円玉のありがたみ!」なんていうと笑うけどそればっかじゃないよ、なんて言う。彼女からみれば人並みのモラルがないのは私のほうで時々「それ最低だよ」みたいな事も言われた。たぶん言いたいのは正解な人生なんてない、時々は間違うことだってバカやったって人間なんだから当然だよ、みたいな失敗して傷ついた人に寄り添えるヘンな情がその人にはあった。

バカができるほどの余裕がその先もやってこない事を考えたら言ってる事は普通かもしれない。

女としての自尊心が持てるようになるにはキレイだよ、かわいいよ、オマエだけなんていう言葉に敏感じゃないとよくないということだと思う。

私はそれがイマイチわからないということはきっと私の開けてはいけない「パンドラの箱」を開けてしまったのかもしれない、箱に入っている魔物が違うだけで。

私たちはそれぞれに極端に揺れる気持ちが片寄る時パンドラの箱を隠し持っているからかもしれない。

その当時の東横線で横浜に向かって帰る時、渋谷で降りた20代前半ぐらいの女の子とすれ違う、その時買おうか、悩んだパッションフルーツがトップノートに香る「Paris」の香水の匂いがした。

さんどりあん/saloonfreak