まさ(精神科医)

精神科専攻医 専門医試験を受けるに当たり、この年次で得た考えを吐き出してみようとしてます

まさ(精神科医)

精神科専攻医 専門医試験を受けるに当たり、この年次で得た考えを吐き出してみようとしてます

最近の記事

結局カルテって結局何書けばいいのよ!? 精神科専攻医の徒然草5

◯カルテの書き方なんか決まっちょらんばい  その精神科医の臨床能力がどの程度かを知るにはカルテを見るのも一つのようだ。人の精神症状という曖昧なものをどう言語化して捉えられるか、そこからどのような治療方針を立てるのか、精神科臨床は意外にも非常に論理的な思考プロセスを経て行われるため、効果的な診療ができていれば自ずと説得力のある論理的なカルテを記載することができる。  とはいえ具体的にどのようにカルテを書けば良いのかというのは常に悩ましい。しっかり書こうとすると冗長で読みにくくな

    • 傾聴と共感と必殺の一撃を叩き込むこと、そんな精神療法 精神科専攻医の徒然草4

      ◯精神科を訪れる人々  精神科を受診する人は様々な困り事を抱えてやってくることが常である。もちろん中には本人は全く病識や病感がない場合も多いが、その場合でも家族なり支援者なりが困って何とか本人を連れて受診に至る。そのような病める患者と接するのに重要な姿勢とは「傾聴と共感」であると我々は医学生時代から何度も教育されてきた。  しかしこれは「うつ病患者に頑張れと言ってはいけない」というレベルのごく初歩的な題目に過ぎない。うつ病患者であっても治療が進んだタイミングでは本人が踏ん張っ

      • 斜陽地域の没落を看取る 精神科専攻医の徒然草3

        〇無限の精神力で以て臨むしかない地域の現状  いくつかの病院で勤務経験のある医師ならわかるように、「地域性」とでも言うのかその地域ごとによって様々な特徴がある。それは産業だったり歴史だったり人柄だったりと様々で、各地域も精一杯PRに励んでいる。  現在関東圏では医師の供給過多を危惧されているようだが、ほとんどの都道府県においてはやはり医師は慢性的に不足しており、私もそのような慢性的な医師不足の環境で身を粉にして働いているつもりだ(ちなみにR5年度の休日を数えてみると40日/年

        • 怒鳴る患者・家族への対応 場数踏んで慣れろ 精神科専攻医の徒然草2

          ◯キレることが正当化されてたまるか  医者をやっていると患者や家族に怒鳴られることも多いし、まして精神科は他の科よりもその機会は多いかもしれない。若手のうちは特にそうで、単に若いからだったり、業務に不慣れでつい礼儀を欠いてしまうこともある。それでも不意に怒鳴られると落ち込んでしまうし惨めな気分になってしまうので、できれば上手な対応ができるようになっておきたいところである。  クレーム対応について学び始めてまず出会うのはクレームの裏にある心理的な訴えに耳を傾けようという考えであ

        結局カルテって結局何書けばいいのよ!? 精神科専攻医の徒然草5

          精神科の勉強のしにくさ 精神科専攻医の徒然草1

          ◯初学者が躓くポイントなんか決まってらぁ  学生や初期研修医にとって精神科は非常に勉強がしにくい。医局の専攻医においてはとにかく上から与えられた業務に食らいついていけば自然に知識がまとまっていくので良いが、学生が自分らだけで学ぼうとしてもこれはなかなか難しい。例えば「気分の落ち込み」一つ取ってもうつ病なのか適応障害なのか情緒障害なのかそれぞれの違いがよくわからない。実習場面でも、学生が感じた見立てと実際の診断が大きく異なる。慌てて教科書や国家試験対策の精神科講座を見てもそれぞ

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          精神科専攻医の徒然草 0 自己紹介

           現在私は卒後5年が終わり6年目に入る年次、つまり専門医・指定医レポートを書いている最中の時期です。書かなきゃいけないレポートを書くにはその何倍もの「今書かなくても良いもの」が必要なので徒然なるままに精神科診療で思うことについて色々書いてみようと思います。  誰に対してよりもレポートからの逃避に過ぎないので杜撰な内容になるかもしれませんが、他の精神科専攻医や精神科志望の研修医・学生、精神科医療に興味のある一般の人に向けるつもりで書き連ねてみます。  文豪でもない自分には青臭

          精神科専攻医の徒然草 0 自己紹介