【コラム】枸杞 東方神草と呼ばれた生薬
生薬にまつわる伝説
盛唐時代、西域の商人が中国にきて、
ある夜、宿に泊まったところ、
少女が老人を叱責し、
鞭で打っているのが見えました。
商人は看過できず、
老人を殴り、ののしっている理由を尋ねると、
女性は「ひ孫を罰しているのだ。」
と答えました。
驚いたことに、少女は既に三百歳を過ぎていて、
老いた男性は九十代、
薬草を服用する家訓を守らず、
年齢より老けており、両眼はかすんでいるので、
責めているのだと。
商人は驚き、また興味を抱き、
それがなんという
神草(霊草)、仙薬(霊薬)なのか、
教えを乞いました。
女性は最初のうち、明らかにしませんでしたが、
商人がひざまずき、懇願したところ、
「この薬草には五つの名があり、
異なる季節に異なる部位を服用する。
春に採るのは葉、その名は天精草。
夏に採るのは花、名は長生草。
秋に採るのは実、名は枸杞子。
冬に採るのは地骨皮、又の名を仙人杖。
四季服用すれば、
天地同寿
(不滅である天地と寿命を等しくすること)が
できる。」
と言うのでした。
その後、枸杞は中東や西洋に伝わり、
東方神草と褒め称えられました。
枸杞の実(枸杞子)の働き
枸杞の実(枸杞子)は神農本草経に収載される、
生命を養う上品(じょうほん、上薬ともいう)のひとつです。
多く服しても、久しく服しても、
人に影響を及ぼすことがなく、
身を軽くし、気を益し、不老延年を欲する者は
上品を服すとよいと記されています。
いつまでも若々しく、健康で長生きしたい、
これは現代人も叶えたい願いです。
枸杞の実には肝腎かなめの腎と肝を補い、
目の疾患を改善し、肺を潤す働きがあります。
枸杞の実というとすぐに思い浮かばない方も、
中華料理店の杏仁豆腐にのっている赤い実と
言えば、
わかってくださるかと思います。
比較的、手に入りやすい生薬なので、
日常的に召し上がってみませんか。
そしてまた、枸杞の木を植えて、
育てられるものなら、
通年楽しみたいとも思っています。
薬膳コラムを書いています
毎月1日、15日に
名古屋・大阪 薬膳資格取得 一般社団法人 紡ぐしあわせ薬膳協会 (yakuzen.or.jp)ホームページで、薬膳コラムが更新されます。
普段は薬局薬剤師として働き、
国際中医薬膳師、国際中医師、
紡ぐしあわせ薬膳協会の認定講師となり、
2017年2月よりコラムが掲載されています。
2024年10月1日付で、
薬膳コラム「枸杞 東方神草と呼ばれた生薬」が掲載されました。
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