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初恋の人の性別を知らない



初恋は、保育園の頃だったから
確か5歳くらい。

成人した今と同じく、人見知りで恥ずかしがり屋な性格なため、自由時間はよく図鑑などを読んで過ごしていた。
親の教育のおかげで、平仮名とカタカナ、アルファベットは読めていた。


ある時、好奇心で、英語で書かれた本を読み始めた。もちろん意味はわからないものの、
「I…M…どういう意味?」など考えながら単語を見ていた。



「君、英語読めるの!?!?!?」


真後ろで声がした。
この子は、定期的に保育園に来ていた子。
学童さんだった。

「……“((。。*)コクッ」←人見知り発動

「じゃあ、この文字わかる?(本のWを指差す)」

「…だぶりゅー」

「すっっっご!!先生!!ちょっと先生!!!この子英語読めます!!!!!」

保育士さん「えええええ!?!?!?」

保育士ですら気づいてなかったことに、その学童さんは気づいた。
読書好きだとは知っていたと思うけど、まさか英語の本を読んでいるなんて思わないだろうし、そこまで見ていなかったのだろう。

嬉しかった。
大して気にかけてもらっていないことを幼いながらに察していたからこそ、私をしっかり見てくれたことが嬉しかった。


その日以降、保育園で会う度、毎回声をかけてきた。


「泡沫ちゃん!!他の子と遊ばないのー?」

「…遊ばないの。(遊ばないというより、他人に声をかけるのが苦手)」

「じゃあ、お手玉見せるから見ててほしいな〜!!」


私をよく気にかけてくれて、
笑顔がとても可愛い子だった。

でも、私は保育園を卒業した後も、現在進行形で
その子の性別がわからないのだった。

いつもボーイッシュな格好をしていて、
髪型はウルフカットっぽかった。
声は綺麗で高すぎず、とにかく笑顔が可愛かった。
周りの学童さん仲間から「ゆう」と呼ばれていた。「ゆう」だと、女の子でも男の子でも有り得る名前なため、尚更性別はわからなかった。


中性的な見た目の、優しい子だった。
「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」どちらの呼び方をすればいいのかわからなかったので、
たまに目線で呼んでいた。


その子は、必ず私の目線に気づくのだ。
じーっと見てると、早めに気づいて、私にずっと構ってくれていた。
その子は、得意なお手玉をよく披露していて、
周りには子供たちが集まっていた。

本を片手に遠くから見つめていて、私の目線に気づくと「またやるね」とか言いながらお手玉披露をやめ、こっちに駆け寄ってきて1対1でお喋りをしてくれた。


惚れてしまうよ!!!!←←


笑顔がキュートなお兄ちゃんに恋をしたのか、
イケメンすぎるお姉ちゃんに恋をしたのか。
それは今もわからない。


私の初恋は、性別をも超えていた…
のかもしれない。

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