#私の作品紹介
連載小説『モンパイ』 #10 Fin.
荷物を持って立ち去ろうとした時、先ほどまで道路脇に立っていた男性がいなくなっていることに気がついた。
僕がてんやわんやしている間に、待ち合わせの人間と落ち合って出発したのだろう。
もしかすると、誰かと待ち合わせていたのではなく、ただ時間を潰していただけかもしれない。
真実を知る術はないけれど。
想像するしかないけれど。
モンパイを開始した時よりも、人通りや車の往来はずっと多くなっている。
連載小説『モンパイ」 #7(全10話)
生徒の集団は、ぞろぞろとやって来るのではなく、周期的に群れをなしてやって来る。
信号機のせいだ。
駅から学校までの生徒の流れは、赤信号によって周期的にせき止められる。
そして信号が青に変わると同時に、まるでダムの水が放水されるが如く、大群となって一気に押し寄せる。
先輩と一緒に配布するときは、校門の両脇に二人で立ち、大群を挟み込みながら配るのだが、一人だとそうはいかない。
配布漏れがどう