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#120 平清盛(2012)-記録より記憶に残る最強の大河ドラマ

NHK紹介文

親を知らぬ清盛は、養父・平忠盛に一人前のサムライとして鍛えられ、やがて日本の覇者となる。これまで反英雄の印象が強かった清盛に新たな光を当て、争いよりも交易がこの国を豊かにすると信じる躍動感とエネルギーにあふれる男として描いた。作:藤本有紀。音楽:吉松隆。語り:岡田将生。出演:松山ケンイチ、松田翔太、岡田将生、上川隆也、深田恭子、杏、加藤浩次、玉木宏、阿部サダヲ、ムロツヨシ、武井咲、二階堂ふみほか。

空前の低視聴率に喘いだワケ

大河ドラマ51作目にして、上記のキャストを揃えたにもかかわらず、史上最低視聴率(平均12.0%)に喘ぎました。そもそもヒールでお馴染みの清盛に闇を照らす力はなく、終始、平安貴族のドロドロが描かれ、挙句の果てに、当時の兵庫県知事から「画面が汚い」と罵られる始末。高くて当然とされる最終回の視聴率すら、9.0%という壮絶な結果に終わりました。※こののちの「花燃ゆ」や「いだてん」よりはマシなのですが。。。

記憶に残るワケ(1)院政の鬱

妾(吹石一恵)に産ませた清盛(松山ケンイチ)を「もののけ」と罵る白河法皇(伊東四朗)。白河法皇の院政により、帝として自尊心を傷つけられ鬱に苦しむ息子の鳥羽上皇(三上博史)。鳥羽法皇の院政のため、政治に一切関与できないまま不幸な死を遂げる高倉天皇(千葉雄大)と崇徳上皇(井浦新)。逆に上皇の立場を利用しつつ、清盛との駆け引きを楽しむ後白河上皇(松田翔太)。とにかく朝廷の人間関係がぐちゃぐちゃでした。

何もできないまま逆賊として討たれた崇徳上皇(井浦新)

記憶に残るワケ(2)禿(かむろ)の鬱

禿(かむろ)とは清盛の政治に抵抗する勢力を暗殺するために、戦争孤児で構成された集団。指揮するのは、清盛の嫁・時子(深田恭子)の弟・平時忠(森田剛)。清盛の意図に反して暴走する時忠、ひたすら不気味な禿、清盛の没落とともに暗殺される禿。見ているだけで「鬱」が高じました。

夜に現れるとおしっこをちびりそうになる

記憶に残るワケ(3)平重盛の鬱

前半は比較的元気ハツラツだった清盛(松山ケンイチ)が権力の椅子に座った瞬間にサイコパス化します。その影響をモロに食らったのが正義感の塊の息子・重盛(窪田正孝)。このドラマでは父親の理不尽な指示に抗いきれずに、徐々に正気を失い、鬱を通り越し、死に至る重盛の様子が赤裸々に描かれます。演じ切った窪田正孝さんを称賛するのが億劫になるほど、ヤバすぎる展開でした。

これはまだマシな状態

まるで絵巻物(またはドキュメンタリー)

白河法王の息子・清盛を実の子として厳しく育てる父親・忠盛(中井貴一)のように、感動的な場面もあるのですが、基本的に救われないシーンが多かったように思います。清盛との確執の末、落馬して亡くなる弟・家盛(大東駿介)。清盛を支え続けたにもかかわらず誤解を受けて首をはねられる忠正(豊原功補)。常に判断を間違え続け清盛に虐げられる頼盛(西島隆弘)。頼朝(岡田将生)の子を宿しながらも引き離される八重姫(福田沙紀)など、酷い目に遭う人物が多かった。最終回、頼朝の世になっても全然、喜べなかったですね。原因は、安徳天皇の入水自殺ではなく、平安末期の陰鬱な絵巻物にただただ鬱屈していたため。それでも最後まで見切ってしまった自分、そして、Amazon primeでもう2巡してしまった自分をほめちぎってあげたい、そんな突拍子もない最強のドラマです。

このころが全盛期(玉木宏×松山ケンイチ)

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