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#77 おんな城主直虎(2017)-直虎を守る男たちのバトンリレーに見応えあり

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戦国時代に男の名で家督を継いだ「おんな城主」がいた--。遠江・井伊家の当主、井伊直虎。自ら運命を切り開き、戦国を生き抜いた女の激動の生涯を描く。

視聴率の低さは歴代大河でも最下層

大河ドラマファンには「戦国時代」「主役は男児」「史実に忠実」に異様なこだわりを見せる方が多いので、実際に存在したかどうかわからない女性にフォーカスを当てると、たいてい評価が低くなるのですが、脚本が素晴らしく、私はのめり込みました。特に、隣国からの圧力に翻弄される井伊谷の女城主・おとわ(柴咲コウ)を必死に守って命を落としていく男たちのはかなさに魅力を感じました。

哀愁と言えば三浦春馬

前半を牽引したのは井伊直親(三浦春馬)

幼い頃に井伊谷を追われ、井伊谷を守るために城主として戻るも、今川家の謀略にハマり、命を落とします。今川家への弁明のため山道を静かに行軍するシーンが長く続くシーンが続くのですが、まさかこれが山中で襲われる寸前の演出だったとは思いもよらず、今川家に囲まれて「つづく」が表示されたとき、背筋が凍り付きました。殺され方も哀愁たっぷりでした。

視聴者も騙された演技力

中盤の主役は小野政次(高橋一生)

前半からで出ずっぱりなのですが、井伊谷と今川家の間で蝙蝠のような存在を演じます。ドラマの登場人物だけでなく視聴者をも惑わせる演技力が凄まじく、最後は井伊家の存続のため、自ら罪をかぶり、阿吽の呼吸で直虎に槍で突かれ、悪態をつきながら絶命します。私はこのシーンで金縛りに遭いました。この数年間の大河ドラマでも最高の名シーンでした。

終盤はやや雑多(笑)

個人的には、直親➡政次➡海賊・竜雲丸(柳楽優弥)の順に渡されたバトンリレーを楽しみたかったのですが、直虎の病気・老衰に伴って、直親の落としだねで異様にテンションの高い井伊直政(菅田将暉)にバトンが渡ってしまい、コミカル大河になってしまったのが残念でした。

見応えのある総集編

大河ドラマは師走に60分4本の総集編が放映されます。そのラストシーンが本編のラストと少し変わっていました。本編では、(すでに亡くなった)直虎(柴咲コウ)が楽しそうにひとりで碁を打つシーンで終わるのですが、総集編のラストは、直虎を囲むように、直親(三浦春馬)と政次(高橋一生)も笑っていました。悲運続きの3人が幼少期の純粋な関係性を取り戻す瞬間でした。とても胸が熱くなりました。

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