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2021年4月 活動報告

月次報告を、noteで公開する形で行うことになっている、大槌町地域おこし協力隊。僕はブログ形式で、写真を交えながらお送りしようと思う。
ちなみに協力隊のFacebook では、各人が週次報告することになっている。どちらも、ご覧いただければ幸いである。



【大槌町に来るまでの経緯】
福井県・関東山地・北海道と、有害鳥獣捕獲に携わってきた。
ニホンジカ・キツネ・アライグマ・カラス・ハト。多くの獣を葬ったが、ほぼ全て埋設処理せざるを得ず、疑問を感じていた。
「有害鳥獣」と呼んでいるものの、究極を言えば、それは人間のエゴに他ならない。それでも殺さなければならないのであれば、ありがたく命をいただき、活用すべきではないのか。

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そんな想いを抱くなか見つけたのが、大槌町の求人。
高品質なジビエを活用・普及させようとする姿に本気さを感じ、またラブコールをいただいたこともあり、移住する運びとなった。

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【委嘱】
町長(右端)より委嘱状を交付された、第1期 大槌町地域おこし協力隊。左端は、副町長。
東日本大震災津波から10年。「復興」から、「発展」という新たなフェーズに向け、満を持して協力隊募集をしたとのこと。身が引き締まる想いである。

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観光3名・ジビエ普及2名・震災伝承1名・農業1名。そして僕が、シカの解体等。見た目だけでは、誰が何担当か分からないね。

一般的に、役場と雇用関係を結ぶなどの形が多い、地域おこし協力隊。僕も嘱託職員の扱いだったことがあるけど、制約があったり動きが不自由になったりと、スムーズにいかない部分もある。
一方で大槌町は、業務委託という形にしてくれている。配属先の指示で仕事をするものの、それぞれ個人事業主になるわけだ。サポート体制等も色々と考慮してくれているし、このあたりにも町のやる気を感じる。

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というわけで、開業届を税務署に提出。
フリーター的な時期に白色申告していたことはあれど、青色申告するのは初めてだ。まあ仕入やら売掛金やら減価償却やらがあるわけでもないし、それほど難しいことは無いだろうと思う。
実は商業高校(情報処理科)出身なので、簿記は少し齧っている。ここに来て役に立とうとは。

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【配属先】
仕事をするのは、MOMIJI株式会社
2020年5月、代表の兼澤さんが身銭を切って開業し、シカの捕獲から解体まで、ほぼ一人で担っている。初年度は260頭ほどを捌き、黒字にしたとのこと。全国的にジビエ施設は増えているものの、大多数は赤字経営らしいから、大変な努力の賜物だろう。もちろん、奥さまと事務員さん、そして多くの関係者の方々のサポートもあってのことだ。

ジビエの世界では、捕獲後2時間以内に施設に搬入し内臓を取り出すこと、となっている。時間が経てば経つほど、肉が悪くなるし臭くなってしまうのだ。そこをMOMIJIでは1時間以内としているし、肉質の良い若い個体を、頭部か頸部のみ狙って撃ち、夏場は運搬時に氷で冷やすなど、厳しいルールを課している。このあたりにも本気さを以下略。

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【協力隊としての職務】
僕としては早く解体技術を身に付け、MOMIJIの人手不足を解消し、ジビエ事業を加速させる一助となりたいところだ。兼澤さんが打合せやらその他の業務やらで忙しく、じっくり教えていただく時間は、まだあまり取れていないけれども。
練習させてもらっても、なかなか上手くできず、ちょっと落ち込む。
自分で言うのもどうかと思うが、わりと何でも器用にこなせるタイプではある。しかし解体に関しては、どうやら苦手な気がする。死活問題だね、シカだけに。

夏場が繁忙期とのことなので、それまでにはある程度の形にしなければならない。とはいえ焦っても包丁で指を切るだけなので(既に一度、ザックリいっている)、少しずつ一歩ずつ、覚えていきたい。
そして冬の猟期以降は僕にも許可が下り、自分でも捕獲できるはずなので、供給量も増やしていきたいところだ。

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【大槌のシカ】
大槌町をはじめ周辺地域では、異常ともいえる数のニホンジカが棲息している。狩猟同行で山(高原)に行けば必ず姿を見るし、数十~百頭の群れというのも当たり前のように存在する。町中や川沿いなどを闊歩していることもあり、人を見てもあまり警戒心を抱かない。これまで僕が見てきた地域とは、かなり違うなという印象だ。
ジビエ事業に取り組む環境としては、ある意味で恵まれているともいえるのだろう。

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住宅地にも現れるということで、囲いわなの設置もお手伝い。米ぬか・ホウレンソウなどをエサとして撒いておく。
センサーがシカを捉えると、担当者のスマホに通知が入る。ボタンを押すとゲートが閉まり、捕獲できるというICT技術になっているわけだ。ただ小動物などにも反応してしまうため、兼澤さんの就寝中にもピロンピロン鳴っているらしい。熟睡できないのはイヤだな…

シカの被害として、農作物の若芽や稲を食べてしまう、というものがある。しかし民家の近くで銃を発砲することは禁じられているため、電気柵・わな等を使い分ける必要があるわけだ。
ただ、わなに掛かったシカは、暴れて打ち身になったりストレス過多になったりしてしまうから、基本的に食用には適さない。ペットフードなどとして流通していければ良いのだろうが、現状は僕の練習として活用させてもらうことになろう。

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【大槌ジビエソーシャルプロジェクト(OGSP)】
害獣を「まちの財産」に。
そんなキャッチコピーで、持続的なジビエサイクルの実現を目指している大槌町。多くの人や機関の協働で、前進し続けている。
僕も一員として、月例ミーティングなどに参加。今後は、狩猟ツアーやハンター育成といった分野でも、役立っていきたいところだ。

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【イノシシ進出】
全国的に野生鳥獣が増加し問題となっているが、分布には地域差がある。福井など北陸ではイノシシの方が多かったり、北海道ではそもそもサルもイノシシも存在しなかったり。
そして大槌町周辺では、これまでイノシシは皆無だったらしい。それが最近、目撃情報や痕跡が増えてきているとのこと。

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そんなわけで、箱わなとトレイルカメラを設置。
イノシシもジビエとして出していけるようになったら、MOMIJIに加えて、BOTANブランドも作っていけるね。

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【消防団】
地域を守る一助になれればと、さっそく消防団に入団。その矢先、林野火災に臨場することとなった。兼澤代表と共に仕事をお休みし、出動。
平日の早朝でも、数十人の団員が集まる。足場の悪い山道を30分ほど上がっていくと、焦げ臭さが鼻に、灰に覆われた一帯が目に入ってきた。

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既にほぼ鎮火しているものの、まだ煙の上がっているところや、火種の残っているところが散見される。みんなで手動式ポンプを使って散水し、完全に鎮圧。

福井県で暮らしていた頃も、2年ほど消防団で活動した。しかし平和にも災害等は発生しなかったため、一番の思い出は、操法大会への出場であった。いちおう、市の大会で個人賞を受賞したことはある。

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【生活面】
大槌町内の、桜木町という地区に居住することとなった。かつて、お隣の釜石市にある製鉄所の人たちが、移り住んできたそうだ。元々は「祝田」という地名だったらしい。
碁盤目状というか、『冊』の字のような綺麗な区画になっており、それぞれの通りには連番の標識が立っている。情緒ある、穏やかな雰囲気を醸し出しているね。

海からは2kmほども離れたエリアであるものの、川沿いのため、2011年には一帯が浸水している。有事の際には、避難が必要だ。

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パンダ焼き。たい焼きのパンダver.といったところか。町内のキッチンカーで販売されており、古くから親しまれている、大槌銘菓の一つのようである。

今のところ、土日は休み。だが4月中は事務作業や、新生活に伴う細々したタスクなどが多かった。それでも買い物がてら町外にドライブするなどして、息抜きをしている。
まあ隣町や、一時間ほど離れた街でも、知人に会ってしまったけど。福井にいた頃のような田舎あるあるは、大槌でも普通に存在するのだね。



まずは、長かったような短かったような一ヶ月が終わった。この記事を執筆している今は、ゴールデンウィーク中。張っていた気を抜いて、リフレッシュしたい。
この月次報告も、もう少し面白味のある内容にしていきたいところである。

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