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【お仕事】医者に博士号は必要か?〜大学院行くか行かないか問題〜


学位(博士号)を医者が取る必要があるのか、また実際の生活について、特に形成外科の視点から考えてみました。

メリット、デメリットについては他の記事で詳しく書いてがあるので、そちらをご紹介しつつ、私個人の意見も交えながら書きたいと思います。

6年間医学部を卒業すると、M.D.となります。
その後は医学博士号Ph.Dを取るかどうかの選択となります。

医師が博士号を取るには2つの方法があります。

1. 大学院に通う
完全に大学院専属になる方法と、大学院によっては社会人大学院制度があり許可をもらって認められれば臨床医として働きながら大学院に通うことが可能です。

大学院はいずれの場合も4年間(大学院にもよる)通うことになります。
入学試験があり、毎年学費を払う必要があります。
学費については、学校によりかなり違いがあるようです。

2.働きながら論文博士をとる
もう一つの選択肢としては論文博士という制度です。
これは日本独特のシステムのようです。
ある程度レベルの高い論文を書き(大学院によって複数の論文が必要)、それが学位審査で認められれば博士号を取ることができる制度です。
臨床医学の場合は7年以上の研究など、申請をできる要件が大学によって異なります。
論文博士のメリットデメリットについては
nick-blogさんの、こちらの記事にまとまってましたのでご参照を


そもそもキャリアに学位は必要か?

学位はなくても医師として働けます。
学位は取るか取らないかは、個人の自由だと思います。
それなりに、学位を取るのは大変ですし、時間もかかります。
教授に言われたから、渋々とる。。。というパターンが一番辛いと思いますので、自発的に取りたいと思う方以外は、学位をとる必要はないかと考えます。

自発に取りたくなる理由をいくつか挙げていきます。

1. 博士と名乗れる。


名刺にPh.Dと書くことができます。
これがおそらく一番のメリットです笑
そして、学位を持っていない人からは、学位取ったんだ!えらいね〜といってもらえます。

2. 大学病院でのポストアップ


大学病院によっては准教授や講師になるには、博士号を持っている必要があります。助教枠が限られている医局では、博士号を持っていない・専修医の期間は終わった人たちを、大学病院に全員残すことはできません。
枠からあぶれた人は、関連病院に派遣されることとなります。

博士号を持っていなくて、大学病院に残りたい場合は、人手が少ない病院もしくは優秀で何か一芸を持っているなどでないと残れないかもしれません。

3. 海外へのリサーチャーとして留学


海外留学の場合、クリニカルフェローかリサーチャーとしていくかの選択となります。
クリニカルフェローは国によって受け入れが難しかったり、海外の医師との競争ですので言語的な壁が高かったりします。

リサーチャーとしての選択肢が増えれば、海外留学もより行きやすくなります。リサーチャーとして採用の場合は、Ph.Dを持っていることや論文をいくつか書いていることが要件になることが多いです。
履歴書を書いて就職活動をする際も、きちんと海外の人にわかるような経歴として示せることがメリットです。

4.視野が広がる


基礎研究をすると、論文の特にmethod/result の実験内容がわかるようになります。また、実験の仕組みがわかるようになると、論文に示されている結果がどれほど確からしいかや、どれくらいの限界があるかを想像することができます。
臨床医として働くときも、小さな疑問に気が付きやすくなり、新たな研究課題を見つけられるかもしれません。その上、実験手技を知っていれば、どのような研究の手法が、その臨床の課題解決のために用いられるかの検討がつきます。

以上が私が考えた博士取得のメリットの4つです。
現在、大学病院にお勤めでなかったり、クリニックを開業することや市中病院で働くことが目的の場合は、1~4のメリットはあまり重要ではないと考えます。

大学院は4年で論文が書けなかった場合は、延長戦(留年し、毎年学費という名の課金)です。
結局自分が実験を進めなければ、誰もやってくれないので己との戦いです。
また、アルバイトはできるものの、どうしても臨床からの距離が開いてしまいます。臨床でバリバリ手術をしている同期を見ると、孤独との戦いになります。

大学院進学に向いている人は、

マイペースに仕事がしたい人
自分で計画を立てて実行することが好きな人


は向いていると思います。

お金と時間をかけることになりますので、
やみくもにはお勧めしません。
"研究したい!"と思う人にはお勧めです。

悩んでいる方、
私の他の記事も参考になるかもです!


形成外科で進路に悩まれている方
こちらの記事も新たな視点として参考になれば嬉しいです😊


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