ゆとり教育の功罪!ーなぜ天下の愚策が始まったのか? Part1

現在、受験期、1年で最も繁忙期。それでなかなかnoteの更新ができませんでした。今日は「ゆとり教育の功罪」の背景から書いていきます。

 結論から言えば、「ゆとり教育」は天下の愚策です。従って「罪」は数え切れないほどありますが、「功」は皆無と言っていいと思います。だから、終わったのです。被害者はその時代の子どもたち。

 皆さまは「受験戦争」とか「偏差値教育」といった言葉を耳にされたことがあるかと思いますが、「受験」は本人が納得してそれを目指して勉強することです。以前も触れましたが「偏差値」は単に統計上のある集団における
特定個人の位置を表す数値に過ぎません。

 それなのに「偏差値」というと悪者扱いする傾向があります。「ゆとり教育」は、勝手にその頃の子ども達には余裕がない、もっと「生きる力を」、という、どんな力かよくわからない用語を使って、学習指導要領を大幅に簡素化した上、各都道府県にあった高校入試のための業者テストで、その公立中学の生徒はどの位の難易度の高校に入れるか、ものさしになっていたのに、その業者テストを突然廃止したのです。

 これがどれだけ、教育の現場を大混乱に陥らせ、学校の教諭や保護者、生徒を不安にさせたか判りません。定期試験の結果は、その中学の進捗状況に合わせて、元々範囲が決まったもので受けるので、既に試験範囲をしっかり勉強すれば良い点が取れますし、怠けていれば点数は悪くなります。

 しかし、この定期試験と受験とでは、大きく異なるのは、例えば高校入試なら、中学で習う全ての範囲が対象となるので、所謂「業者テスト」が実力テスト代わりの役割を果たしていたのです。各都道府県の公立中学で一斉に生徒が受験するので、同一問題でどれだけ得点できるか、客観的な数値が「偏差値」として出ます。進路指導担当の教諭は、これを参考に、保護者、生徒の希望を聴きながら、指導することが可能でした。

 ところが、ある時「ミスター文部省」の異名を取る当時の文部省のT氏が
突然業者テスト廃止を決めたのです。私も博士号を取得したばかりの学者としては駆け出しの頃、彼と議論しました。大変頭脳明晰で、回転も速く、優秀です。ご自身が地方の有名全寮制の中高一貫校を出て東大から文部省の官僚になった方で、塾を文部省か当時の通産省か、で綱引きした方です。

 今の子どもにはゆとりはない。その思いつきだけで、学習指導要領から、
「π=3.14は難しいので3とする」「不等号は難しいので失くす」・・・と信じられない内容に簡素化していきました。
 
 でも、不等号「>」って難しいですか?どの生徒に聞いても、大きく開いてる方が大きくてくっついている方が小さい。簡単過ぎなのに。

 次回から、実際に私が目撃した「ゆとり教育」の授業の現状をお伝えします。これを話すと皆さま、唖然とするはずです。

 

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