集団が組織になるためには使命(Mission)が必要。
『使命(Mission)を掲げることの重要性』
2019年の8月に足立区の五反野で整形外科の診療所と整形外科・リハビリテーション病院を新規開業いたしました。
2022年現在では120名ほどの規模まで成長しましたが、開院当初は60名弱の規模でした。
それでもそれなり大きな規模です。
このスタッフたちと歩んでいくために何が必要か。
そこまず私は『私たちの使命(Mission)』を明確に示すことをが大切だと考えました。
なぜ使命(Mission)を掲げる必要があるのか?
しかし、なぜ使命(Mission)を掲げる必要があるのでしょうか?そして、そもそも使命(Mission)とは一体なんのでしょうか?
これらを理解するためには、『集団と組織の違い』について知る必要があります。
集団と組織の違いは『その存在理由(=なぜ集まったのか)の有無』
集団とは、人の集まりを意味する言葉です。
集団は、なんとなくその場所に人が集まっただけの「明確に定まった共通の目的=集まった理由」を持たない人の集まりを意味する言葉です。
つまり、ある場所に2人以上の人間が集まれば、それは集団になります。
そして集団は集まった理由を持たないため、そこに集まった人たちは自分の考えに従い行動をとるようになります。
では、集団と組織の違いは何か?
それは『「明確に定まった共通の目的=集まった理由」を持っているかどうか』です。
つまり、ある集団が明確な共通の目的を持った時、集団は組織に生まれ変わるのです。
共通の目的があれば、その目的を達成するためにその集団に属する個人がそれぞれの行動を取るようになります。集団が組織に生まれ変わるのです。
組織は『価値』を生み出す存在
集団が組織になり、その組織が共通の目的を達成する、もしくは、達成する過程を進んでいく。
この活動の中で、組織は何かしらの影響を世の中にもたらします。
この何かしらの影響が『価値』です。
つまり、組織とは価値を生み出す存在です。逆に何も価値を生み出さない組織は、その存在自体が無意味になります。
具体的な例で考えてみましょう。
ある広場に特に理由を伝えずに22人の人々を集めたとします。集められた理由を伝えなければ、それぞれは自分の好きな行動をとることでしょう。このままでは、その集団の中から何かしらの価値が生まれることは難しいと思います。
そこで、『11人同士の2チームに別れてサッカーをやりなさい。』という目的を与えたとします。
集団は2チームに別れてサッカーを始めます。最初はチーム内のコミュニケーションはうまくいかないでしょうが、時間が経つうちに、それぞれがコミュニケーションをとり、楽しさ、笑顔、共感などのある価値が生まれるでしょう。
集団はその理由を持つことによって組織に生まれ変わり、何かしらの価値を生み出すことができるようになります。
使命とは集団が組織になるための十分条件
つまり組織とは、人が集まって集団を作るだけでは十分ではなく、その集団がなぜ集まったのかという存在理由=使命(Mission)が必要なのです。
存在理由の明確ではない組織は、組織として価値を生み出すことは難しく、集団のままとなり、バラバラな行動も増え、その場から離れようとする個人が増えるなどの内部分裂を起こす危険性を孕んでいます。
当院に開院から使命を掲げた理由
私は、2019年8月に整形外科の診療所と病院という、2つの医療機関=組織を同時にオープンしました。
通常、一つの診療所を作るだけでも、その組織化は難しいことが多いです。
仮に、少人数から徐々に人数を増やすことは可能であれば、動きながら少しづつ自分たちの進む方向性を固めて行くことも可能かもしれません。
しかし今回はオープン時点で60人を超える人々を集めなけれなりません。
明確な目的を始めから打ち出すことができなければ、当院は組織になることができず、集団のまま明確な価値を生み出すこともできず、早期に内部崩壊しまうのでないかという危機感を強く感じました。
また、この組織化の難しさは、単純に一つの組織を作ることの2倍ではなく、場合によっては3倍や4倍になるのでないかと危機感を持つようになりました。
確かに、『整形外科の診療をする』や『リハビリテーション病院を始める』といった大まかな目的はあります。しかしそれだけでは、集まった60人以上の方々を組織化し、素晴らしい価値を生み出す組織になる理由としては、非常に弱いと感じていました。
せっかくやるからには、日本を、そして世界を少しでも良いものにできる価値を生み出す素晴らしい組織を創りたい。
そのために、開院当初から明確で世の中に素晴らしい価値を生み出すような存在理由=使命(Mission)が必要だと考えたのです。
では、私たちの組織の存在理由とは何か?
次の記事でお話ししたいと思います。
*この記事は、2018年に医院経営を始める前に書き溜めた記事を、開院後に書き直した記事です。
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