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産科麻酔科医が伝えたい’2022年’無痛分娩~自然分娩と比べて。赤ちゃんへの影響編~

こんにちは。産科麻酔科医ドクターまるです。
今回は無痛分娩の赤ちゃんへの影響編です。

無痛分娩をやりたいけど、もし赤ちゃんに何かあったら…
大きな懸念事項ですよね。

前回の記事で

妊婦さんの痛みが緩和されて、ストレスが軽減するのは
赤ちゃんにとってもメリットという話をしました。

ただ、そのスピードがあまりにも早いとマイナスになることがあります。

Abrao KC, et al : Obstet Gynecol 2009; 113: 41-47

上記の表は、
無痛分娩を希望した妊婦さんに2種類の麻酔方法を提供して、
赤ちゃんの心拍数や子宮筋の緊張具合の変化をみた研究の結果です。

赤ちゃんの心拍数(FHR)異常に有意に影響した因子は、子宮筋の過収縮だけという結果でした。
子宮が過剰に収縮すると、赤ちゃんに送られる血液量が下がることで、赤ちゃんが苦しくなります。
それが、FHR異常として現れます。

では、子宮筋の過収縮と無痛分娩とどう関係しているのか。

Abrao KC, et al : Obstet Gynecol 2009; 113: 41-47

先ほどと同じ論文で、
子宮筋が過収縮してFHR異常を来たしている郡では、
無痛開始後5分の痛みの緩和度が高かった、という回析結果が出ており、
痛みの緩和が早ければ早いほど、その確率が高くなると結論付けています。

現在は、強い痛みを急速に大きく減少させることがよくない
とされ、そうなる前に無痛の導入を推奨する流れになっています。

無痛分娩自体が悪なのではなく、
その術を使う側の技術や知識で大いに左右される、ということですね。


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