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骨密度を低下させたくない人必見 #1


いつも読んでくださりありがとうございます!

前回までのおさらい

股関節骨折はとても致命的であるということが分かりました。
股関節骨折後20%の人が1年以内に
亡くなるという研究結果をご紹介しました。
論文によっては30%近くなくなると発表している物もあります。

股関節骨折の1番の原因は転倒

転倒には様々な原因があるが、
骨粗鬆症で骨が弱くなっていると
しりもちをついただけでも骨折してしまうことがある

骨粗鬆症になりやすいリスクファクターを紹介

加齢とともに下がる骨量・骨密度の低下を最小限にし、
ピークの時の骨量・骨密度をなるべく維持することが大事

骨量・骨密度に影響を与えるものはあるのか?
今ココです。


今日の論文

骨粗鬆症患者の骨密度を増加させるために
最も適切な運動と運動量について 調べるために

PubMedやCochran Libraryなど(医学論文を検索できるサイト)
エビデンスレベルの高い文献をレビューした論文です。
65歳以上の人、英語、原発性骨粗鬆症でレビューの対象となる
論文をフィルターしています。

運動は大きく2つの種類に分けられます。
1.Weight bearing aerobic exercise
2.  Strength and resistance exercisesです。

この論文ではこの2つの運動とBMD(骨密度)との
関連性を分析しています。

ということで今回は
1 weight bearing aerobic exerciseについて
この論文で分かったことをご紹介します。

Weight bearing aerobic exerciseに関して分かったこと

まず、weight-bearing  aerobic exercise とは
体重を支えながら行う有酸素運動のことで
歩行、階段昇降、ジョギング、太極拳や、
腕や足により衝撃のある運動、
テニスやバレーボール、ダンスなどもこれに分類されます。


体重をかけたり支えるたりする有酸素運動

ウォーキングは有酸素運動の中でも、
一般的に多くの人が簡単に始めることができ、
高齢者の間でも広く受け入れられている運動です。
そのため、ウォーキングのBMD(骨密度)に対する効果は
数多くの研究で検討されていることです。
ですが、これらの研究のの結果は必ずしも一貫していない
のが現状です。

2010年と2018年に発表されたメタ分析では、
ウォーキング単独では腰椎や大腿骨頚部のBMDへの
有意な効果はないことが示されました。

同様に、2007年に分析された研究からは、
BMDの増加と歩行運動の間に密接な相関があるという
証拠は見つけられませんでした。
しかし、BMDのレベルを維持し低下を防ぐことに
ウォーキングは有効ということは分かっており、
BMDを維持し低下を防ぐことができる
ウォーキングはとても優れた運動です。


実は、いくつかの研究では、早歩きやジョギングが
閉経後の女性の股関節のBMDにプラスの効果を
もたらすことが示されましたが、
ウォーキング単独がBMD増加に良い影響をもたらす
と分析することができた研究は少数派でした。

2013年に発表された系統的レビューとメタ分析では、
更年期および閉経後女性の骨密度維持のための
理想的なウォーキングの期間について調べました。
その結果、6ヶ月以上にわたるウォーキングは、
閉経前後の女性において、大腿骨頚部のBMDに
有意かつプラスの効果をもたすのではないかと分析しました。

2018年に発表されたcross-sectional 研究
2012年に発表されたけど、RCTのメタ分析で分かったことは、
ジョギングに昇降運動やウォーキングを組み合わせた場合、
更年期女性の股関節と脊椎の両方でBMDの減少が緩やかに
なる
ということです。

まとめ

  • 残念ながら、ウォーキング単独では、BMDの減少を抑制することはできません。ただ、BMDの減少を防ぐことができない=ウォーキングに全く意味がないということではありません!!健康維持のためには、少なくとも1日30分歩くことが推奨されています。

  • ジョギングや台の昇降運動、足踏みなどを取り入れた強度と速度の高い 有酸素運動はBMDの減少を抑制することが可能である。

  • BMD維持のためには、ウォーキングを6ヶ月以上継続していた場合にプラスの効果がありそうということでした。やはり継続は力なりでしょうか

  • 体重を支える運動を効果的にするためには、着地衝撃がある一定の強度に達する必要があります。ジョギングやランニングでは着地する際に体重の2〜3倍の衝撃が加わるので、普段運動をしていない人はウォーキングから始めるのが良さそうですね。

最後に

どうでしたか?
ただ歩くだけではBMD増加の効果は薄そうです。
ですが、BMDの維持、低下を防ぐという点では
効果があるようですね!!!
やっぱり、ウォーキングは結構最強だと思いませんか??


その上、ウォーキングの効果はもちろんBMDの
維持・低下を防ぐだけではないので、
今から何かを始める方にとっては
1番手軽に始められる運動ではないでしょうか。

次回は


今日ご紹介をしなかった、もうひとつの種類の運動、
Strength and resistance exercisesに関して
今回と同じようにいくつか論文を紹介し、
そこから見えてくることをお伝えします。

Strength and resistance exercisesは高齢者の骨量増加
のために最も研究されていることです
ので、
ぜひ次の記事も読んでいただければ幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
Moet

参考文献


Benedetti MG, Furlini G, Zati A, Letizia Mauro G. The Effectiveness of Physical Exercise on Bone Density in Osteoporotic Patients. Biomed Res Int. 2018;2018:4840531. Published 2018 Dec 23. doi:10.1155/2018/4840531

Daly R. M. Exercise and nutritional approaches to prevent frail bones, falls and fractures: an update. Climacteric. 2017;20(2):119–124. doi: 10.1080/13697137.2017.1286890.

Nikander R., Sievänen H., Heinonen A., Daly R. M., Uusi-Rasi K., Kannus P. Targeted exercise against osteoporosis: a systematic review and meta-analysis for optimising bone strength throughout life. BMC Medicine. 2010;8, article 47 doi: 10.1186/1741-7015-8-47.

Hingorjo MR, Zehra S, Saleem S, Qureshi MA. Serum Interleukin-15 and its relationship with adiposity Indices before and after short-term endurance exercise. Pak J Med Sci. 2018 Sep-Oct;34(5):1125-1131. doi: 10.12669/pjms.345.15516. PMID: 30344562; PMCID: PMC6191778.

Ma D, Wu L, He Z. Effects of walking on the preservation of bone mineral density in perimenopausal and postmenopausal women: a systematic review and meta-analysis. Menopause. 2013 Nov;20(11):1216-26. doi: 10.1097/GME.0000000000000100. PMID: 24149921.

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